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「キラキラ」

 残ってた皆も池の石を渡って落ちたり、橋を渡ったり。 「えー、渡れたのは三人だけ? 難しすぎない?」  あはは、と笑いながら進むと、少し先にあったのは、水遊びができるところ。 「あーもう、濡れたらここで遊べよってことか」 「らしいよ。しかもあの石渡るとこは、冬はやってないんだってさ」 「もう濡れるの前提かよー。ていうか、啓介も結局落ちたしね」  皆で話しながら進み、オレが最後にそう言うと、皆、おかしそうにまた笑い出す。 「雅己を助けようとしたんやし」  啓介は苦笑しながら言ってるけど。 「遠かったしー」  と笑いながらも、なんだかオレの心は、ぽかぽかしてるけど。  啓介は、絶対無理そうでも、助けてくれようとしちゃうんだなーなんて思って。  ふふ。 「どうせ濡れてる奴多いし。あそこで遊ぼうや」  啓介の言葉に、皆、嬉しそう。  浅めの人工の小川には、澄んだ水が流れてる。靴を脱いで、日当たりの良いところに置いて乾かしておいて、小川の中に入る。 「わー。気持ちいい」 「思えば、バスケとか、真夏に体育館こもって、なにしてたんだろうなって感じだよなー、この旅行」 「こういうのが旅行っぽいよな」  皆で、確かに、と言いながらも。 「まあバスケもめっちゃ楽しかったけど」  クスクス笑って、皆頷く。  小さい子たちもいっぱい居て、シャボン玉を飛ばしてる子たちも多い。  日差しの中、シャボン玉がキラキラ光って、飛んでいくのを、思わず目で追ってしまう。  すっげー、綺麗。キラキラだなあ。  ふふ、と微笑みながら、割れるまで見送ってると、ひょこ、と啓介に覗き込まれた。 「わ。何」 「――子供みたいな顔しとるから」  クスクス笑いながら、啓介がオレを見つめる。 「シャボン玉、すげー綺麗で」 「まあ分かるけどな」  啓介と並んで、シャボン玉を見上げる。  たまたま周りに誰も居なくて、二人だった。 「啓介?」 「ん?」 「――さっきさ。すげー笑っちゃったけどさ」 「ん」 「――助けようとして、一緒に落ちてくれるとこさ」   ん? と、啓介がオレを見つめ返してくる。 「なんか、すげー好きだった」  ふ、と笑いながらそう言うと、啓介はちょっとびっくりしたみたいな顔をしてオレを見る。 「爆笑してたやんか」 「うん。面白かったし。なんでか啓介が落ちてるとこ」 「まあ、せやな。意味わからんよな」 「うん。意味分かんなかったけど――でもね」  クスクス笑いながら、オレは、啓介を見上げた。 「オレも、啓介が困ってたら、絶対助けるから――って、思ったよ」  ふ、と笑ってしまう。なんか勝手に顔が綻ぶ。 「だから、すげー好きだなと思ったし。ありがと」  ちょっと最後の方は照れてきて、視線をシャボン玉に戻して、そう言った。  すると。  不意に、むぎゅ、と抱き締められてしまった。 「――――雅己、好きやで」  一瞬抱き締めて囁くと、ぱ、と手を離す。  その一瞬を見られて、見た先輩たちに「何抱きついてんだー」とツッコまれていたけど、なんか啓介はものともせず、はいはい、とあしらってる。 「もー……」  オレは、水をすくって、啓介の背中に、びしゃ! と掛けた。 「つめた……」  振り返って、笑う啓介。  なんかそこから、わーわーと水のかけあいが始まり、参加した皆はびしょぬれ、  川辺や木陰で休憩したり、しまいにはちびっこたちと遊び始めたり。  太陽の光が、水面に反射してキラキラして。  水しぶきも、キラキラで。  なんか本当に、楽しかった。

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