「ただいまー」 ……？家から甘い匂いがする なんだろう、この匂い……オレンジ？ 「かなた？」 「あ！幹人おかえり」 「ただいま、甘い匂いするけど、何かやったの？」 「うん！これ！」 そう言ってかなたが出してきたのは…… パウンドケーキ？ 「ほら、この間応募した懸賞でオレンジ沢山当たったから何が出来ないかなーって思ってパウンドケーキにしてみました！ ちゃんとレシピ通り作ったから味は大丈夫なはず」 「へぇ、美味しそう 食べてもいい？」 「まってー、片付けしたらおれも食べるから一緒に食べよう」 かなたが片付けをしている間にお茶をいれ、少しだけ食べてみる 「……うまっ！」 「あー！幹人、先に食べないでよ おれもまだ食べてないのに」 ごめん、ごめんと軽く謝りながら、一口サイズにカットしてかなたの口に入れてあげる 「ん、おいひい」 「でもなんで急に作ろうと思ったの？ パウンドケーキなんて面倒じゃない？」 ごくん、と飲み込んだかなたが答える 「えっと、今日オレンジデーだって知ってさ、恋人とか家族とか大切な人にオレンジの食べ物とかオレンジ色の物をあげたりする日なんだって ……バレンタインデーもホワイトデーも幹人から貰ったから何かお返ししたくて」 「別に気にしなくていいのに でも、ありがとう、美味しいよ」 「良かった〜！」 かなたがへにゃっと嬉しそうに笑う 俺はもうひとつ食べ、 「……かなた」 「何ー？」 「…………いや、これ生クリームつけたら美味しそうだなって思って」 「……オレ、生クリーム、ミタクナイ」 「なんでカタコト」 ……恋人や家族、大切な人にあげる、か …………かなたは俺の事をどう思っているんだろうか