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三日目

「幹人、おはよう!」 もぞもぞと起きだした幹人に笑いかける 「…………かなた?」 「どうしたの?」 幹人に笑いかける 幹人は何も言わずにじっとおれを見てくる ……急にぎゅっとおれに抱きついてくる 「み、幹人?」 「ごめん、昨日はやりすぎた 今日は何もしないから 背中の手当てしようか」 「???」 そのまま幹人に背中の包帯を変えてもらう な、なんで? どうして?いつもなら怒られたり叩かれたりしてるのに なんでこんなに優しくしてくれるの? 「はい終わり」 「え、えっとありがとう」 おそるおそる振り返りながら幹人にお礼を言う と、振り返りざまにおでこに温かい感触 「うえっ?!あ、え?!」 「ははっ驚きすぎ、顔真っ赤にしてウブすぎ かわいい」 じゃあねと言って幹人が部屋を出ていく さっきのってちゅー、だよね 好きな人とか家族とか大切な人にやるやつ、だよね なんで、おれに 顔が熱くなって熱が引かない 幹人がどうしたいのか何もわからない 色んな思いに頭がぐちゃぐちゃになる 「うー……」 おれは真っ赤な顔を枕にうずめ呻いた その後も幹人は部屋にご飯を持ってくるだけで会話はほとんどないい 幹人がどうしたいのかわからない どれだけ考えても考えがまとまらない 「かなた、どうしたの?」 「え?!な、なんでもない!」 「……もう遅いから寝るよ」 「う、うん」 普通みたいになってるけど何故か幹人はおれの布団で一緒に眠る 幹人の部屋のベッドより大きいし二人でも寝れるけどなんでなんだろう? 一人のほうが寝やすいとおもうんだけどなぁ おれは幹人に背を向け眠ろうとするけれど眠れない 朝のことを思い出してうまく寝付けない 「……っ」 「?」 夜も更けてきた頃隣から苦しそうな声が聞こえてくる おそるおそる起き上がり声をかける 「み、幹人?」 「とう、さ、かあさん!」 ひどく苦しそうに助けを求めるように手を伸ばし呻く 「かなた……」 おれの名前? 「えっと」 おれは伸ばされた手を両手でそっと握りしめる 「……おれはここにいるよ」 「かなた…………」 眉間によっていたシワが消えていく すこしずつ呼吸が落ち着いてしばらくしてすぅすぅと規則正しい寝息が聞こえてくる 力が抜けた手をもう一度握りしめる ……温かい 生きているだけで疎まれて誰にも必要とされなくて、早くいなくなることを願われていたおれが必要とされている 幹人に必要とされている 昨日のように涙が溢れ出てくる でも昨日と違って苦しくない 嬉し涙っていうやつなのかな 幹人がなんでこんなことをしているのかはわからないけれど いや、わからなくてもいいんだ 今は、まだそんなことがわからなくても 「幹人が必要としてくれるならおれはどんなことされても大丈夫だよ 必要としてくれるんでしょ?一緒にいてくれるんでしょ? だったらおれはすごく幸せだしこれ以上望むことなんてないよ」

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