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木村勝編2-2 ※手コキ、フェラ

「まずは、自分の思うようにやってみろ」  勝は震える手で神嶽のペニスに触れ、そっと根元から握ってみた。勝の大きく温かな手に包まれ、芯を持った肉塊はピクッと微かに反応を見せる。  これを口に含まなければならないと思うと、勝はそれだけで喉奥から酸っぱいものがこみ上げてきそうになる。 (な、なんだって俺がこんなことしなきゃならねぇんだよ、クソがっ……。……はぁ……もう考えるのはよそう……探偵みてぇなことまでして脅してるくせに、俺の身体が目的だなんて、正真正銘の変態だぜ……。ふんっ、とっととイカせて学園長のアホ面拝んでやるよ)  いくら弱味を握られているといっても、大切な性器を無防備な状態にしている男を前に、勝はまだまだ優位の気でいる。  気持ちを落ち着かせるようにため息をついてから、手を上下に動かして緩く扱き始めた。  他人だろうが、同じ男である。テクニックは女がやっていたことを思い出しながら真似をするとして、具体的にどこが気持ちいいか、特に手の愛撫は日頃からオナニーで慣れているし、勝は身を持ってわかる。  勝は何も言わずに、機械的に扱き続けた。男のものを握っているところなど直視したくなく、視線も神嶽の太もも辺りを見ている。  それでも、神嶽のペニスは少し質量を増してきた。先走りも漏れ出てきている。それを潤滑剤代わりに、亀頭に広げて撫でたり、竿の全体に絡めたりする。 (うっ……駄目だ、やっぱ……気持ちわりぃ……他人のってだけでこんなに……)  静かな学園長室に、ねちゃねちゃと淫猥な水音が響いて、勝の耳をも犯していく。  涙こそ出ていないが、勝は歯を食いしばり、激しい憤りから頭に血を上らせている。 「よし、その調子だ。次は舌も使うんだ」  唐突に下された命令に、勝は神嶽をキッと上目遣いで睨んだ。感じているのかいないのかよくわからない、行為を始める前と何ら変わらない顔である。  勝は戸惑いながら、ほんのちょっぴり口を開けて舌の先を覗かせてみせた。 「もっと大胆に出してみろ」 「ぅ、むむ……っ!」  素直にやらないものだから、神嶽に頭を押さえ付けられ、舌に亀頭が触れた。勝が自分で塗り広げたせいで、神嶽の我慢汁の味をもろに知ってしまう。  勝がえずきそうになって、神嶽はいったん手を離した。 「余計に苦しみたくなければ真面目にやることだ」 (うぅっ……こんなこと、真面目になんて……馬鹿言え……最悪だ……)  胸の内で愚痴りながら、勝はさっきより大きく口を開け、舌を思い切り突き出して裏筋を舐め上げた。人間、同じ嫌なことであれば少しでも楽な方を選びたいものだ。  隠し切れない嫌悪感から小刻みに震え、すぐに引っ込んでしまいそうになりながらも、ぎこちない動きで浮き出た血管を愛撫する。 (……こ、こうやって……ちょっと舐めたら……口に……口にっ……。くそっ……こんな気色悪いことができるなんて……女ってやつは頭おかしいんじゃねぇのか……)  フェラチオをしてやるのは男への愛情や、あるいはそういった性癖や、仕事と割り切ってやっているのだろうが、勝はそのような女の気持ちなど全くわからない。  勝はアイスを舐めるように亀頭に押し付けた舌を二、三度往復させると、意を決してエラの張った部分までを口に含んだ。扱いていた手はそのままに、もう片方の手を神嶽の腿に置き、身を乗り出してくる。 「そうだ。頬を窄めてしゃぶるんだ。歯を立てないように気を配れ」 (偉そうにっ……マジで、噛んでやりたい……)  心ではそうは言うものの、勝は歯が当たらないようにしながら神嶽に奉仕することに集中していた。神嶽の言う通り、余計な苦しみを味わうのは御免である。 「ん、んんっ……ぢゅるっ……じゅるるっ……はっ……」  勝は息を吐くと、音を立てて吸い始める。男にとって特に敏感な部分を徹底的に責めようとしているのだ。あわよくばこれだけで絶頂してくれればと舌を転がして刺激を加えるが、なかなかその兆候は訪れない。  先に痺れを切らしたのは勝の方で、自らもっと奥の方までしゃぶりだした。唇をぴったりと肉幹に合わせ、軽く吸い付きながら頭を前後させる。 「はーっ……じゅぽっ……はふっ……んぐぐうぅ……」  女のやり方を思い出してきたこともあってか、勝は一心不乱に頭を動かした。  口いっぱいに神嶽を受け止めて、唾液が溢れることも気にせずダラダラと零し、その滑りの良さがまた神嶽を着実に射精に導くものと願いながら、ひたすらピストン運動を続ける。 (ぅ……これ、もう、完全に勃起したんじゃねぇか? こんなこと、早く終われよ……) 「ぬぽっ……ンッ! んぐぅふうっ!」 「やればできるじゃないか。その調子で続けろ」 (ぁあ……今、震えた……。良かった……もう少し、もう少しで終わる……)  男としての性的高まりを素直に見せてくるペニス。終わりが近いことを悟り、勝は少しだけ安堵した。  一刻も早く神嶽を追い詰めようと強く吸い上げ、最後は手コキでフィニッシュさせるつもりで口から出そうとする。  だが、神嶽は勝の頭を押さえつけ、それを許さない。 「ち、ちょっと待っ……!? ぅぐっ!」 (う、嘘だろっ、こいつ……まさかこのまま、口の中に……!?) 「お前の口に出す。全て受け止めるんだ」 「むぐふぅっ!? ぅぅっ! ────ッ!!」  信じがたい宣告に勝がカッと目を見開いた直後、神嶽は勝の口内に大量の熱い精を迸らせた。  味覚器官を恐ろしいほどの白濁で満たされ、勝は大して音になっていない声で呻く。

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