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木村勝編5-1 ※輪姦
これからの勝の運命を物語らせるような、重苦しい空をした夜だった。
神嶽は帰路につこうとしていた勝を捕まえると、学園から少し離れた駐車場に連れ出した。
何の用だと言いたげな勝だったが、神嶽が足を止めた先に停められていた黒塗りの外車を見るなり息を呑む。
「……俺をどこかに連れて行く気か?」
「黙ってこれを被れ」
言いながら、神嶽は口元だけに穴が空いた黒いマスクを手渡す。
それを受け取った勝は、不快感を目一杯露わにした顔で神嶽を見つめた。
(な、なんだよ……こんなのがなきゃ行けない場所なのかよ……。チッ、どうせろくでもない所なんだろっ……)
神嶽は今夜、勝をクラブへ連れて行く。
とは言え、まだ彼を売る訳ではない。これは彼の身体を目的に応じたものに開発する段階に過ぎないのだ。
渋々従った勝の視界が完全に奪われていることを確かめた後、神嶽は勝と共に車に乗り込む。
移動中、勝は終始無言だった。それはまるで、嵐の前の静けさのように。
ようやく車が停まる。神嶽は目隠しのせいで足元のおぼつかない勝を誘導し、広間に続く扉を開いた。
今宵の宴の始まりに、その場にいた者たちがどよめきだす。
(ん……なんだか騒がしいけど……ここ、どこなんだ……?)
神嶽はこれから自分の身に何が起こるか検討もつかない勝のマスクを外してやった。真っ先に飛び込んできたのは、壁紙や絨毯の赤。
その眩しさに思わず目を瞑った勝だったが、やがて明るさに慣れてきて、ゆっくりと目を開けた。
「────えっ!?」
勝の目の前では、老若男女問わず高価な正装に身を包み、悪趣味な仮面を被った会員達が、まるで映画でも観るかのようにソファーにもたれていた。各々のテーブルには酒やそれに合う料理等も用意されており、実にリラックスした様子である。
どれだけの金がかかっているかもわからない俗世離れした施設と人々に、勝は素直に驚いてしまっていた。
しかし、そのような異様な雰囲気に圧倒されて、勝は逃げ腰である。
神嶽は勝を羽交い締めにして、無理やり広間の奥、会員達からよく見える舞台に彼を引きずっていった。
「いってぇなっ! な、何しやがっ……うわっ!?」
次に、二人の男──蓮見と柳が、勝を舞台上に引き倒し、強引に服を剥ぎ取ると、持ってきた麻縄を使い慣れた手つきで手足を縛り上げていった。
体力の有り余った若い男達の力は強く、勝一人では大した抵抗もできずに、腕を後ろ手に組まれた四つん這いの格好で転がされてしまう。こうなっては、勝はもう逃げられない。
「ひっ……な、なぁっ……! 何だよこれ……!? あんた、人をこんなとこに連れてきて一体何を……!」
「皆様」
喚く勝を遮るようにして、司会を務める鷲尾が高らかに話し始めた。落ち着いたその声音が、余計に勝の不安を煽る。
「大変長らくお待たせ致しました。これより我が地下クラブの新人奴隷、木村勝の公開調教を開催致します」
これこそ会員達が待ちに待ったメインイベントだ。広間は期待の拍手に包まれた。
(奴隷……!? 公開調教って……何言ってんだよこいつ!? 冗談じゃねぇっ!)
あまりに非日常的な単語。今までとは決定的に違う状況。空恐ろしさを感じた勝は、拘束されていながらも激しくもがく。
そんな勝の髪を片手で掴み上げ、困惑する顔をまじまじと見つめた柳は目を細め、舌なめずりをした。
「おーおー、ヤッベ。わかってたけどこれ……マジで本物の木村勝じゃん!? スゲーよ神嶽さん! こりゃが然気合いが入るぜ……」
彼は勝のようなスポーツマンが好みであるゲイで、勝が甲子園球児だった当時、テレビでその白熱の試合を見てから、純粋なファンでもある。神嶽が勝を生贄に選んだと知って、妙に張り切っていた男だ。
柳は早々とズボンをくつろげ、自身の細長いペニスを取り出した。
「今から犯しまくってやっからなぁ、オラッ、しゃぶれよ」
「なっ……そんなもん近付けんじゃねぇよっ! やめろっ!」
神嶽にした経験があるとはいえ、奉仕を強要させられることに、勝はまだ抵抗がある。
だが柳もまた、一度言ったら頑としてそれをさせる男だ。勝が慌ててきつく引き結んだ口を開けさせようと、唇や頬にガツン、ガツンと半勃ちのペニスを容赦なくぶつける。
焦れた柳が勝の鼻を摘み、それによって僅かに開いた口内へ無理やり潜り込ませた。
「んうぅうっ!? ぐっ、おぇ……っ!」
(口に入って……! 嫌だっ、嫌だぁっ! くっ……気持ちわりぃんだよこの野郎っ……!)
「っ……いってぇっ! テメェッ!」
柳も興奮していたせいか、後先を考えない反撃への対応が遅れ、男の急所を思い切り噛み付かれてしまった。
「おやおや。本当に痛そうですね。この後が怖そうです」
鷲尾の実況が会員達の笑いを誘う。悶絶する柳の隣で、蓮見もこれが自分でなくて良かったと安堵するのと同時に、情けない幼なじみの姿を見て吹き出しそうになるのを堪えている。
こればっかりは勝の往生際の悪さを舐めていた柳が悪いが、結局は勝が躾のなっていない犬のようだと皆に知らしめることとなり、良いスパイスになった。
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