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木村勝編11-1 ※野外、ディルド

「……そ、それじゃ……今日は……ここまで……」  授業終了の呼鈴が鳴り、勝からも解散の合図がされると、運動場で体育の授業を受けていた生徒たちは散り散りに教室へと帰っていく。  日陰で見学の生徒と一緒になってうずくまっていた勝も、ようやっと顔を上げる。  ふう、と吐き出されたため息は、熱く悩ましいものであった。  勝はこれが一日の最後の授業だと自分に言い聞かせて乗り越えようとしたが、身体にうまく力が入らず、途中で遂に立っていられなくなった。  この日は例年より気温が高かったため、体調不良も暑さのせいだと思われたことだけは幸いであった。  すると、女子の仲良しグループが勝の周りに駆け寄ってくる。 「先生、本当に保健室に行かなくて大丈夫ですか? 顔、まだ赤いですよ?」 「そうそう、なんだか最近、ずっと調子が優れないようですし……。無理しないでくださいね」  素直な心遣いもあれば、「体育教師のくせにもう夏バテしてるんじゃないか」なんて、大人をからかいたい年頃の冗談交じりの声も聞こえてくる。 「あ……いや……大丈夫、ひ、日陰で休んでたら、だいぶ良くなったぜ。ありがとな……」  勝は苦笑しながら受け答えしたが、今の勝に生徒をいちいち構っていられるほどの余裕はない。人気者もこうなると辛いものだ。  今日の授業はいっそのこと自習にしてしまいたいところであったが、自身の体調不良のために生徒の学びの時間を削ったり、そもそも学園の方針に反する訳にいかない。  どうしても辛いがために一度そうした時は、教務主任に「体調管理もろくにできないなど社会人としてなっていない」とねちねち嫌味を言われ、無論神嶽にも逃げた罰としてきつい仕置きを受ける事態に陥った。  しかし、結局はほとんど自習のようなものだったと言っても過言ではない。  生徒にさせるがままの中身の薄いことしかできず、率先して教えるべきである勝はただ、その様子を見ていることしか出来ないでいたのだ。  隠そうとはしていたが、勝の股間は時折、高々とテントを張ってしまっていた。  それに気付いた女子には間違いなく勘違いされただろう、生徒に興奮する変態教師と罵るような白い目で見られたし、男子にだってギョッと驚いた顔をされたり、陰でゲラゲラ笑われたりもした。  堪え切れずに何度軽いドライオーガズムを味わったかもわからない。  こう日常生活に支障が出るようになると、もう二度と以前の自分には戻れないような気がして、勝は意識が遠のきそうだった。  だが、勝がそうなる理由を知っているのは、神嶽と勝の二人だけだ。  勝は職員室に戻る途中、校庭沿いの水飲み場で蛇口をひねり、頭から水を被った。  照り付ける太陽光に熱され、その水は生温かかったが、それでも僅かながら冷静さを取り戻してきた。  今日は授業の前、神嶽は勝にある命令を下していたのだ。 「ん…………ッ」  水を浴びる為くの字に身体を曲げていると、狭間に埋め込まれたディルドの存在を自覚してしまう。  もじもじと腰を動かしてみても、ハーネスで固定されていて自分では取り外すことはできない。  それどころか、勝専用にわざわざあつらえてあるようで、ちょうど弱いところを擦られてしまう。  拡張を主としたプラグとは違う、擬似性交を想定されて作られた形状のそれは、正に今もなおペニスを突っ込まれているかのようだ。  生徒の前で尻を犯され、なおかつ感じているという背徳感が勝の理性をじわじわと破壊する。  日常と共存する非日常。  勝は茹だるような暑さの中で、深いため息を吐くしかないのであった。

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