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鬼塚鉄也編3-1 ※甘々

 今宵の鉄也は、神嶽が一時的に滞在しているホテルの一室に招かれていた。  街中で一緒にいるところを学校関係者に見られるようなことがあってはまずいので、放課後はいったん別れ、自宅で夕食を摂ってきてもらっていたのだが、鉄也にとっては神嶽と共に一夜を過ごせるのなら、そのくらいの手間はさして気になるほどではない。  部屋に入った鉄也は、辺りを見回して感嘆の声を漏らした。 「わっ……ロビーも素敵だったけど、部屋もすごい……」 (こんなに豪華なホテル、初めて……やっぱり先生ってお金持ちなんだなぁ……)  明皇学園がいくら良家の子息子女が通うセレブ校と言っても、家柄や資産の差は出てしまうもので、司や隼人といった生粋の御曹司と比べれば鉄也は学園内のカーストとしては下の部類に入る生徒であった。しかし、ありふれた一般家庭と比べれば彼もまた裕福な家の子息には変わりない。 「気に入ってもらえたなら良かったよ。ゆっくりしていってね」 「は、はい。ありがとうございます。……わぁっ! 先生! このベッド、ふかふかです!」  部屋をいろいろと見て回っていた鉄也だったが、キングサイズのベッドの心地良さには子供のように声を上げて喜んだ。  それを神嶽に微笑まれると、照れ臭そうに笑ってみせる。鉄也は庶民的な部分も持ち合わせていて、全く嫌味ではなかった。  上機嫌の鉄也を、神嶽は背後から優しく抱きしめる。華奢な鉄也の身体からは、ボディーソープの清潔な香りがしている。 「……良い香りだね。私に会う為に、わざわざシャワーを浴びて来てくれたんだ」 「あっ…………は、ぃ……」  耳元で囁かれ、鉄也は声が小さくなる。 (今日も……エッチなことするのかな……きっと、するよね……泊まるんだし……そのつもりでシャワー浴びてきちゃったから、何もなかったら……僕だけがっついてるみたいで恥ずかしいよ……)  鉄也は学園長室での快感を忘れられずにいた。  心を許した恋人との性的な接触にこの上ない幸せを、オーガズムを感じることができたのだ。それに彼もまた性欲旺盛な年頃の男子であるから、次もしたいと思うのは当然とも言える。 「どうやら私達は同じ気持ちだったみたいだね」 「そ、それって……」 「君が欲しい。もっと深く触れ合って、君のことを知りたいんだ。……良いかな?」  鉄也は神嶽の顔を見上げた。鉄也の全てを包み込んでくれるような温かい表情がそこにある。  そんな神嶽に背中を押され、鉄也は恥ずかしそうにコクリと頷いた。 「それじゃあ、これと、ウォシュレットで腸を綺麗にしようか」  神嶽はベッドサイドの引き出しからイチジク型の浣腸薬の箱を持って来て鉄也の前に差し出した。  純情な鉄也でもさすがにこれが何であるか、使った先に何が待っているかはわかる。 (腸を……綺麗に……それって、う、うんちするってことだよね……。そうだよね……男同士のそういうことって……お、お尻で……) 「初めてだよね。私がやってあげようか?」 「えぇっ……そ、そんなの、恥ずかしすぎます……」 「それもそうだね。じゃあ、私はシャワーを浴びてくるから、その間にやってみてごらん。どうしてもわからなかったら声を掛けてくれればしてあげるよ」 「あうぅ……大丈夫です……やって……みます、から……」  浣腸薬を受け取ったまま固まる鉄也を残して、神嶽はバスルームへ向かった。  それでもなお鉄也は具体的にどうしたらいいのかと悩むが、シャワーの音が聞こえてくると意を決したように息を吐いて鞄から携帯を取り出し、洗浄の仕方を検索し始めた。

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