切なそうに収縮するのを見て満足したのか、蓮見はようやく顔を離した。堅苦しいダークスーツを脱ぎ捨て、下半身をくつろげる。 　いきり立ったものが視界に入り、鉄也の大きな瞳からは大粒の涙が溢れ出してきた。 「や……やめてっ……！　そ、それだけは本当にっ……お、お願いしますからぁっ……！　そこはっ……修介さんだけのものなんですっ……！」 「お前の身体は俺の所有物ではない。このクラブのものだ」 　鉄也がその言葉を理解するより早く、息を荒げた蓮見が潤滑剤を塗ったペニスを鉄也のアナルに擦り付ける。 　神嶽に触れられていた時のような、全てが心地良く感じるほどのものとはまるで違う感触に、その目がカッと見開かれ、絶望に染まった。 「いやぁあああああああああッ！！」 　次の瞬間、部屋に鉄也の悲鳴が響き渡った。蓮見の張り出したエラが、鉄也の狭いところにググッと潜り込んでいく。 「痛いぃぃぃっ！　ひぎっ……やだ……い、たいよぉっ……！　切れちゃう……！　おねが……やめ、てぇ……」 「お、おぉっ、すげっ。これはなかなか……」 　今まで神嶽という愛しい存在の為に解れてきたそこは、表面こそ柔らかくはなっていたが、見知らぬ男のものを受け入れまいと咄嗟に括約筋をきつく締め上げる。 　しかし、蓮見にはその締め付けが快感のようだ。初々しいその反応を味わうと、ゆっくり腰を進めていった。 「やだぁあああっ！　痛いっ、ほんとに痛いのっ！　抜いて抜いて抜いてええええええっ！！」 　蓮見の太い剛直で貫かれ、鉄也は冷や汗をかいて苦悶の表情で叫ぶ。全身にも力が入ってしまって、ぷるぷると震えている。 　神嶽に抱かれていた時は、痛いことなど全くされなかったし、鉄也の意思が尊重されていた。それが今は、全て無視されている。 「ンハッ、処女みてえな反応だな。これだから素人は良いんだ。たっぷり楽しませてもらうぜ」 　なんとか全て収まると、蓮見もふうと一息ついて額の汗を拭った。そのまま、しばし括約筋の締まりや中の絡みつきを堪能する。 　普段であれば男も女も本能のままに滅茶苦茶にすることもあるが、クラブの大切な商品、それも神嶽が見つけ出してきた特別な人間を傷付けるような真似をすれば、さすがの蓮見でも自身の首が危ういことは重々承知である。 　傷付けずに、嬲る。どれだけ昂ぶっていても与えられた役割はきちんと全うする男だ。 「い、痛いっ……！　ひうぅぅ……痛いんですぅっ……！　せ、せめて、ゆ、ゆっくり、してぇ……」 「あ？　どこを、どんな風に？」 「そ、そんな……お……お、お、おまんこ……や、優しくぅっ……」 「ぶっ！　くくく……なんて言い草だ……愛しい学園長先生に調教された結果か。淫乱だな、お前」 　痛みを恐れる鉄也の口から当然のように放たれたいやらしい台詞に、蓮見は堪えきれずに吹き出した。 　鉄也の調教の過程は神嶽に聞いて知ってはいたが、やはり直に聞くと、その言葉の違和感がツボに入ってしまうようである。 「けど、そう可愛くおねだりされちゃあ仕方ねえな。良いぜ、優しくしてやるよ。恋人にするみてえにな」 「こ、恋人……っ」 　言われて鉄也は、会員達に混じって傍らでじっと己を見つめている恋人──神嶽を見上げた。 （修介さんっ……僕……なんでこんな目に遭ってるのっ……？　僕は……あなたの、恋人、ですよね……？） 「せっかくこいつが優しくしてくれると言うんだ、思う存分甘えればいい。うんと可愛がってもらえ、鉄也」 「っ…………！」 　信じられなさそうに口を開閉し、その顔がまるで捨てられた犬のように悲しそうに歪む。 　少し手を伸ばせば届く距離であるのに、神嶽は指一本触れさえしない。 　こんなにも近くにいるというのに、鉄也には神嶽がもうずっと遠くにいってしまったように思えた。