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鬼塚鉄也編7-6 ※強制自慰、視姦
(……なに……考えてるんだろう……い、いくらなんでもそんな訳あるはずないのにっ……ただの偶然だよねっ……? でもっ……それじゃあ僕は、修介さんにばれちゃうくらい感じちゃってるんだ……)
他人の心を読む能力が実在するなど、夢見がちな鉄也でさえ俄かには信じられない。
口に出さないことまで言い当てられてしまうのは神嶽が察しの良い男である、そしてそれ以上に自身が愚鈍であるせいだと思っていただけだった。
この後に及んでありえない妄想までしてしまう己を、鉄也は浅ましく感じずにはいられない。
「い……淫乱、なんかじゃ、ないっ! 修介さんがっ……あなたがぁっ……僕を、こんな風に……お尻で気持ち良くなる方法、教えてくれたからっ……! 僕はっ、全部あなたの為に……!」
「どうだかな。初めから素質があったのではないか。いくら恋人の為だからといってもできることとできないことがあるというのに、お前は喜んでこなしてきたじゃないか。常人では恥ずかしくて死にたくなるぞ」
神嶽は自分がさせたことでありながら、わざと鉄也の一途な心を抉るように罵ってみせる。
「それに……気付いていないのか、鉄也。お前のその粗末なチンポはとっくに勃起して我慢汁を垂れ流している」
指摘され、股間に視線を移した鉄也の目が大きく見開かれる。
鉄也のペニスは熱く芯を持ち、アナルの疼きと連動するように先走りがとろとろ溢れて止まらない。自分の身体に起きていることであるのに、鉄也は信じられなさそうに見つめている。
「あ……あぁあっ……どうして……いやぁっ!」
「お前は誰かれ構わず喜んで尻を突き出す卑しい奴隷になる方が向いているということだ」
「違うっ……違う、違う違う違うっ……絶対に違いますうぅぅっ!!」
「それ以外にお前の存在価値などない」
全てを許容されていた以前とは真逆に、全てを否定される鉄也。似ても似つかない対応が彼を混乱させ、正常な判断力すら奪っていく。
こうなっては何が本当で何が嘘かもわからない鉄也にとって、今の身体の反応だけが真実だ。
(もう嫌なのにっ……腰止められないっ! 修介さんに見られてるって……修介さんのと同じくらいの大きさだって思ったら、こんな玩具でもどうしようもなく感じてる……!)
ズボズボと激しく上下運動していると、腸汁とローションが攪拌して泡立ち、ディルドの幹を伝っていやらしい液体が零れ落ちる。口端からも鈴口からも涎を垂れ流して、気持ち良さそうに腰を振り続ける。
鉄也はもはや悩ましい声と表情を隠せなくなっていた。
「ひっ、ひいぃんッ……! もうだめ……許してっ……」
「イキそうなんだな」
「あっ、あ、んんっ……嫌ぁっ……こんな、の……違うのにぃっ……えぐうぅぅっ……」
やらなければ強要されるだけである。そんな恐怖もあるが、何よりは肉欲に逆らえず、ペースが速まっていく。
息の乱れ方がひときわ高まり、ある一点に達した瞬間、鉄也は反射的にぎゅっと目をつぶった。
「んっくぅううんッ! あひぃいいいっ!?」
(い、いくいくいくぅっ!? いつもと違うのなにかくるっ!? いっちゃううううううっ!!)
ググッと自ら弱い部分にディルドを押し当てながら、押し寄せる快楽の波に呑まれた。ディルドを深く咥え込んだまま、びくびくと下半身を震わせる鉄也。
ドロッと一際濃いカウパーが鈴口から漏れ出してはきたが、射精には至っていなかった。
「もうドライでイッたのか」
(ドライ……それって修介さんが言ってた女の子みたいなイキ方のこと……? あぁっ……確かにこれ……射精の感覚とは全然違う……何度でも感じたいかも……)
ふうふうと息を切らしながら、鉄也は未知の絶頂の余韻に浸る。
(でも……どうせイッちゃうならっ……修介さんにされたかったよ……。なんで……こんなことになっちゃったんだろう……)
恋仲にあった頃の鉄也は与えられる快楽を素直に受け止め、神嶽の為に変わっていくことを自分でも楽しみにもしていたはずだ。
どんなに感じても、神嶽が相手だからと言い訳だってできたはずだ。
鉄也の未熟な肉体は、無慈悲にも着実に作り変えられてきてしまっている。
昼休みの終わりを知らせる呼鈴が鳴り響き、鉄也の意識を強制的に現実へと引き戻していく。
「鉄也、さっさと服を着ろ。周りに怪しまれないよう、授業は休まずに出るんだ」
「うっ……うぅ……そんな……」
(はぁっ……まだ、身体の火照りが収まらない……ずっとイッちゃってるみたい……こんな状態で……授業なんて……)
「例えお前がイキっぱなしになろうがそれで辛かろうが俺には関係がない。さあもう終わりだ、とっとと俺の前から失せろ」
「──ッ……は、はいぃ……」
鉄也は返事をしてみたものの、腰が抜けて力が入らず、なかなかうまく体勢を立て直せない。
神嶽は鉄也には目もくれず立ち上がると、デスクに戻って学園の仕事を再開した。
(あぁ……なんて冷たいの……僕もう、この人から……修介さんからは、逃げられないんだ……)
もう手を貸してさえももらえないとわかり、鉄也はいっそう悲しそうにうなだれすすり泣いた。
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