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鬼塚鉄也編8-7 ※剃毛

「────ぶへぇッ!?」  無慈悲にもシャワーの冷水を浴びせかけられ、鉄也は意識を取り戻した。  目隠しと責め苦の道具はもう取り払われていて、彼の虚ろな目が辺りを見渡すと、クラブの広いバスルームに転がされ、それを神嶽と蓮見が見下ろしている状態であった。 「うぷっ、ゲホォッ……! はっ──ひ……あ、あれぇ……おちんぽ……は……?」  まだ頭がぼんやりとしている鉄也。神嶽は「起きろ」と頬を平手打ちした。 「残念ながら、もう終わったぞ。お前はせっかく与えてやったチャンスをふいにしたんだ。これからはきちんとこのクラブ専属の奉仕奴隷として生きてもらう」  そこで鉄也は途中から記憶がない、つまり気を失ってしまったということを思い出した。  初めから勝たせる気などなかった、約束だって守る気はなかったのだろう、そう罵っても仕方のないところだが、鉄也にはもうそんな風に抗う気力も残っていなかった。 「さて。今からお前には奴隷らしく身だしなみを整えてやる」 「い、嫌ぁっ……! なに、するのっ……!?」  神嶽の手元を見た瞬間、鉄也は竦んでしまった。神嶽の手には、剃刀が握られている。  鉄也の体毛はそれほど濃い方ではないが、そこはやはり男だ、髭だって放置していればそれなりに生えてきてしまうし、脇や股間は人並みに生い茂っている。  吹きかけられるシェービングフォームの冷たさに身体を跳ねさせる鉄也を、蓮見がしっかりと押さえつける。 「ほら、動くなよ。大事なところまで切れちまうのは嫌だろ。ん、それとも、女の子になりたい口だったか?」 「ひッ…………!」  性器に刃が当たることなど、考えたくもない。ジョリジョリと毛を巻き込んでいく音に激しい羞恥心を覚えながらも、鉄也は顔を伏せて耐えるしかなかった。  ムダ毛を綺麗に拭き取られると、産毛部分と同様の白い肌が露わになった。 「おおっ、パイパンだ。ほらお前も見てみろよ、ガキみてえだぞ」 「う……ぅ……ぐすっ……こんな、ことまで……ひ、ひどい……」 「なんだその言い方。支配人がこうしてわざわざ綺麗にしてくださってるんだから、ここは感謝で嬉し泣きするところだろ」  子供のようにすすり泣く鉄也に、蓮見はやれやれとため息をつく。  しかしそんなところがまた可愛く思うらしく、彼の視線は鉄也の幼く見える股間に釘付けだ。 (そんなに……僕を奴隷にしたいんですね……修介さん……っ。僕はずっとあなたのことを考えてるのに……どうして伝わらないんだろう……。僕もう……あなたのこと、全然わからない……わからないよぉっ……)  どんな理不尽でも耐えていれば、神嶽への想いを叫んでいれば、いつかは彼の良心を目覚めさせることができると、またこちらを振り向いてくれると鉄也は信じていたかった。  だがもう、神嶽が情ごときでなびく男ではないと気付くにはあまりにも遅すぎた。  すり減った鉄也の心は、ゆっくりと、しかし確実に、諦める方へと傾きつつあった。

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