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鬼塚鉄也編9-2 ※女装、モブ×鉄也

(こんな……女装して、行きずりの男の人を誘うなんて……絶対変態だって思われる……)  今日まで履いたこともなかった高いヒールに苦戦しながらも、文字通り一歩一歩を踏み締めながら、ゆっくりと近付いて行く。 (あ……ど、どうしよう、声とかも、女の子みたいにした方が良いのかな……) 「あ、あのっ……」  鉄也は咄嗟に普段より更に高い声を作って男に話しかけた。  神嶽の命令を呑んだ以上、失敗はできないという思いからの良い判断だ。声も元から高い方である鉄也は、それほど不自然にはならなかった。 「ん? どうしたんだ、お嬢ちゃん?」  会員の男もまた、その手で抱くことを心待ちにしていた鉄也を目の前にして、拙い演技にも全力で乗ってやった。  突然若い女に声を掛けられた醜い中年親父、という光景に相応しく怪訝に首を傾げてみせる。 (誘うって言っても……どうやって……? 痴女のふり……とか?) 「なんだなんだ? 迷子か?」 「あ……ち、違うんですっ、あの……む、向こうで……おじさんのこと見てたら……その……っ」  心にもないことを言わなくてはならない現実に、鉄也は一歩間違えば悲鳴を上げてしまいそうであった。 「……すごく……タイプ……で……っ。身体……疼いてきちゃって……ふぅっ……」  恐る恐る言葉を紡ぐたびに、鉄也の鼓動は速まり、息が荒くなっていく。耳まで紅潮させ、噴き出してくる汗を震える手で拭う。  しかしそれは、恥じらいは残しつつも、品の良い身なりに到底釣り合わない醜い男と交わることに性的興奮を覚え、そんな自らに陶酔している、傍から見れば正に痴女のような仕草でもあった。 「……ど、どうしても……い、今すぐ、おじさんの……お、お、おちんぽっ……欲しくなっちゃったんですぅっ……!」 (ひいぃっ……なんて恥ずかしいこと言ってるの僕っ……! 早く断って……! 変態呼ばわりされてもいいから、そうでもしないと修介さんは諦めてくれなさそうだから、早く……っ!)  汗をびっしょりにしながらもなんとか言い切った鉄也に、男はにやけ顔を隠せない。  答えなど初めから決まっているが、わざと少し悩むような振りをするほどだ。 「ふーむ……そうだなぁ……こんなに可愛いお嬢ちゃんからそう言われたんじゃあ、断る訳にもいかんなぁ……」 (そ、そんなぁっ……うぅ……やっぱり、僕……このおじさんにご奉仕しなきゃいけないんだ……)  男の正体を知らない鉄也は、深い絶望感に打ちひしがれた。 『今から俺の言うホテルに誘え』 「ん……」  神嶽への返事のつもりなのか、羞恥のあまり出た呻き声なのかは計り知れなかった。 『部屋にカメラとマイクを仕掛けてある。抵抗しようものならその時は──わかるな』  ラブホテルの一室に入るなり、神嶽が念を押す。鉄也はもう弱々しく頷くだけだ。  神嶽も彼らの後に続いてホテルに入り、今はあらかじめ手配をしておいた隣の部屋で二人の様子を伺っている。 「あっ……。え、えっと……ちょっと……お、お着替え……して来て良いですかっ……。き、きっと、おじさん、喜んでくれると、思うから……」  鉄也はそう言うと、男の了承を得て、来る途中にコインロッカーから持ち出したボストンバッグを抱えて脱衣所にこもった。それも神嶽に命令されていることの一つである。  少しして出てきた鉄也の姿を見て、男がほう……と感嘆の吐息を漏らした。  わかる者ならわかる明皇学園高等科の制服。それも神嶽が用意させた女子用のものに身を包んでいた。 「これはこれは……お嬢ちゃん、もしかして本物の女子校生かい?」 「は……は、い……本物……いつも、これを着て、通ってます……」 「なるほど……。もしかしてお嬢ちゃんは、わざわざそれを着ておじさんにハメてほしいっていう変態さんなのかな」 「う、うぅぅ……はい……僕……あ、わ、わたしっ……いつでもどこでもっ、おちんぽ欲しくなっちゃう、へん、たい、なんですっ……」 (違うもん……これは修介さんに命令されてるから……僕、変態なんかじゃないもんっ……)  演技とはいえ、自らを変態と称さなくてはならない恥辱に、鉄也は俯いてしまう。 「フフ、それじゃああまり焦らすのも酷だねぇ。よし来た、早速味わわせてあげるよ」  男はシャワーも浴びずに服を脱ぎ散らかすと、そのままどっかりとベッドに腰掛けた。  全裸になると男の醜さはいっそう際立っていた。  大量の剛毛は熊のようにびっしりと脂ぎった身体中に生えており、日頃の肥やしででっぷりと張り出したビール腹。  その下のペニスは歳のせいかくたっと萎び、皮もだぶついているが、近い将来クラブの目玉商品となるであろう若い奴隷とのまぐわいに期待して徐々に血が集まり、ぴくり、ぴくりと生々しく揺れる。

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