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鬼塚鉄也編9-3 ※女装、モブ×鉄也

 男は硬直する鉄也を「ここにおいで」と下肢の間を指で指し示し、鉄也も諦めたような顔をして従った。  男の前に座り込んだ鉄也は、いよいよ地獄の始まりを予感してゴクリと唾を呑み込んだ。 「良い子だねぇ。まずはお口にぶち込んであげるよ。思い切りしゃぶってみようか」 「し、しゃぶる……んですか……?」 「フェラチオは嫌いかい?」 「ぁ……い、いえ……す、好きです……し、します……」  鉄也がおずおずと男の太ももに手をかけ、ペニスに顔を近付けていく。神嶽の監視の目がある以上は、逃げることも許されない。  どうせやらなければ終わらないのなら、なんとか早く済ませなければと自棄になりそうにもなっていた。  しかし、チーズのようなツンとした腐臭が鼻についた瞬間、思わず顔を歪めてしまった。 (あぐっ……く、臭い……! なに、この臭い!? この人……もしかして、洗ってない……?) 「おお? お嬢ちゃん、そんなにおじさんのチンポの臭いが気に入ったかい?」  至近距離で動きを止め、鼻腔に入り込む刺激臭を追い出そうと鼻息を荒くしむせ返る鉄也は、あえてそうして積極的に臭いを嗅いでいるようにも見える。 (そんな訳ないっ! で、でも、そんなこと言ったら、この人に何されるかわからない……修介さんにも、きっと怒られるっ……捨てられるっ……!)  クラブ側の人間である男がまだまだ利用価値のある鉄也に危害を加えることはないが、そんな内情を微塵も知らぬ鉄也は本音を隠し、健気に自身の役割を全うしようとする。 「……は、はいっ、気に入り、ました……」 「ほおぉ、お嬢ちゃん、なかなかわかってるじゃないか。おじさんはもうかれこれ一ヶ月は風呂に入っていないんだよ。熟成されたチンポの臭いがするだろう」 (いっ、一ヶ月!? なんでそんなに洗わないでいられるのっ!? 最低っ! ひ、ひどい……こんなの舐めなくちゃいけないなんて……あんまりだよ……!)  考えただけで胃から酸っぱいものがこみ上げてきそうになりながらも、男の手前、鉄也はぎこちない笑顔をつくる。  だが、悪臭のするペニスを舐めるというだけならまだ良かった。  男が深く被った包皮を剥いてみせると、皮とくびれの間はもちろん、亀頭にまで薄い膜を張るようにして、びっしりと黄ばんだ恥垢が溜まっていた。なにせ一ヶ月ぶん、それも全てはこの日の為によく蒸らされたものだ。 「フフフ、どうだい、このチンカスの量。おじさんはほら、こんな風に皮を被ってしまっているから溜まりやすくてねぇ。まずは君の舌でお掃除してほしいんだが」 「お、お……掃除ぃ……っ」  鉄也はぎょっと目を見開き、オウム返しに言いながら、あまりにも不潔なものを前にしてわなわなと震え出す。  これほど驚き嫌悪してくれたなら、この男も鉄也にしゃぶらせるために溜めてきた甲斐があるというものだ。 (いや……いや、いやいやっ……こんなの舐めたくないっ……!) 「────ひッ!」  男は急かすように鉄也の華奢な肩に手を置いた。それだけで、何も言わず情欲に満ちた笑みを貼り付けて待っている。 『鉄也、あまり相手を待たせるんじゃない。そのチンカスまみれの醜悪チンポをお前の口マンコで人並みのチンポになるまでしっかりと掃除して綺麗にしてやれ。お前はどんな人間のどんな要求も呑まなくてはならない奴隷だということを忘れるな』  鉄也の耳元からは状況を掌握しきった神嶽の叱責が飛んでくる。  今の鉄也にとって、神嶽の低く氷のように冷たい声音は心をズタズタに切り裂くようであった。  奉仕を躊躇うこの瞬間も、神嶽はずっとそんな鉄也の姿を視界に捉えている。  だが、もう恋人としては、いやむしろ、人間としてすらも見てはいない。ただの、物。クラブにとって都合のいい商売道具。  とっくにわかっていたことでも、いざこうして他人への性サービスを命じられると、神嶽が自分に愛情を一欠片も抱いていないのだと痛感してしまうのだ。  一度は愛した者からの残酷な仕打ちに、鉄也は潤んだ瞳から大粒の涙を溢れさせていた。

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