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鬼塚鉄也編11-1 ※女装、モブ×鉄也

 人払いをされた放課後の三年生の教室には、気の強そうな四人の男子達がたむろしていた。  鉄也の名を語り、神嶽が呼び出していたのだ。そこには、あえて鉄也を快く思わないクラスメイトの男子を選んで集められている。  何の用だ、面倒くさい、もしかしてこの中の誰かに告白でもする気じゃないか? などと好き勝手に言い合うが、彼らは鉄也のように弱い立場の者を貶めることをストレス解消法にしている輩だ。  どんな理由であれ、気に入らない者に日々の鬱憤を思う存分ぶつけられるかもしれないと、加虐心さえ持て余しているというもの。  そんな中、鉄也はトイレで女子の制服に着替えてから彼らの前にやって来た。  ロングヘアのウィッグを被り、細い脚に黒のハイソックスがよく似合う。  相変わらずそうしている鉄也は、一見すれば女生徒とそう変わりない。 「……だ、誰だ?」 「ちょっと待て、どこかで見たことが……えっ? も、もしかして鬼塚か?」  普段、同じ教室で共に授業を受けているクラスメイトが、女装をして目の前に現れた。  異性愛者である彼らからすれば嫌悪感が先に来てもおかしくはない状況だが、何よりその顔立ちに似合ってしまっている姿に、男子達はあんぐりと口を開けて見ていた。 「……ぶはっ! なんだそのカッコ!? お前やっぱカマ野郎だったのかよ!?」  少し間が空いて、ようやくリーダー格のお調子者がゲラゲラ笑い始めると、周りもつられて笑い出す。  鉄也は恥ずかしそうに、スカートの裾を掴みもじもじとしてしまう。  羞恥心が消えた訳ではない。しかしもう、奴隷に成り下がってしまった鉄也にできるのは、いつも通りに神嶽の無慈悲な命令をまっとうすることだけだ。 (あぁ……やっぱりこんなに笑われて……許されるならやめたいよぉ……で、でも、やらなきゃいけないんだ……僕は奴隷……卑しい奴隷なんだもん……)  発熱したかのように顔を紅潮させ、ブルブルと小刻みに身を震わせる。既にじっとりとかいた汗が首筋を伝っていく。  素性の知らぬ者が相手でも耐えがたかったというのに、見知った人間、それもこの学園がエスカレーター式であるが故に、幼少期からの長い付き合いがある者達にあらぬ姿を見られる屈辱。  しかしそれ以上に神嶽の意に背いた場合の罰への恐怖たるや、健気な鉄也を確実に追い詰めていく。  鉄也は今にも逃げ出したい気持ちをぐっと堪えて深く息を吐き出すと、なんとか声を絞り出していった。 「今日は……あの……みんなに、お詫びがしたくて……」 「は? 詫びだぁ?」 「僕……いつも鈍臭くて……その……女の子みたいになよなよしてて……気持ちが悪いよね……? でも、僕もそう……そんな自分が大嫌いだった……それでみんなに不愉快な思いをさせているのが申し訳なくてたまらなかった……だから……」  鉄也はそっと床にしゃがむと、おずおずとスカートをたくし上げながら、ストリッパーのように股を広げていった。 「ぼ、僕のこの、本当におまんこみたいに縦に割れてきたおしりまんこでぇっ、ご奉仕しますっ! ど、どうか、オナホ代わりに……性欲処理道具にしてください……!」  M字に開脚したその狭間は、ノーパンであった。  やはり体毛も綺麗に処理されていて、もはや陰茎と睾丸が存在していることに違和感すら覚える。  この日、神嶽は鉄也に『いつも迷惑をかけている男子達にその身で奉仕してやれ』と命令していたのだ。  突然、同性のクラスメイトに下半身を見せられ、そのように使えと言われたところで、そうした性趣向を持たぬ彼らはギョッとするしかない。  頭がおかしいのかと唾を吐き捨てる者もいたが、哀願の目で見つめられると、誰も動けなくなってしまった。  日々男達に凌辱される中で染み付いてしまったのか、鉄也からは普通の男にはない、それこそ情欲を誘うような妖しい色気が発せられている。  誰もがゴクリと生唾を呑み込んだ。

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