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鬼塚鉄也編END-4 ※男体妊娠、出産

 それから数時間、鉄也は陣痛に苦しみ悶え、そして痛みが和らぐ僅かな時間に快楽責めをされるといった拷問を続けられた。  叫び過ぎて声は枯れ、体力も限界寸前まで来ている。  いったいこの地獄はいつまで続くのだろうか、永遠に終わらないのではないかとさえ鉄也に思わせ、もう今にも意識を失いそうだ。 「ひっ、ヒィーッ……うぐ、うぐむふうぅぅぅ……」 「……ふむ、そろそろじゃな」  ここからが正念場とばかりに、オーナーが厳しい顔つきになる。子宮口の拡がりが最大に達したのだ。  子宮口は既にバイパスで繋がれており、そこを通って重たいものが結腸へと落とされた。  限界を優に突破したこれまで以上の凄まじい激痛と圧迫感、それに排泄欲が鉄也を襲う。 「がっ……あ、ヴゥ……お、おなが、いだいぃ゛……おじり゛がぁッ……あ、あ゛ぁあぁあああああぁぁぁあ……」  いよいよ胎児が下りてくるのみとなったことが鉄也にもわかった。ブルブルと震える顔が青ざめ、脂汗がどっと噴き上がる。  帝王切開すら許されなかった以上、鉄也の結腸は産道となり、胎児は肛門から外に出るしかない。  これは出産というよりも排泄行為そのものだ。 「じっ、死ぬうぅうううううううううううッ!! 死んじゃうぅう゛っ……! 出でぇっ、ごないでえぇぇぇ……!」  鉄也の意に反し、胎児もまた生きようと、この地獄から脱出して日の目を見ようと、強い意志で下ってくる。 「ごッ! ぼごおぉぉぉぉっ! おごごごごごごごごごごごっ」  絶叫は元より高い声が地を這っていて、鉄也が出せる最大の男の声音になっている。  出産とは女でも命を伴う危険があるものである。男が経験すれば耐え切れずに死んでしまうほどの痛みでもあると言われている。  なのにあろうことか非人道的な改造を施され、排泄器官から産まされるなど、それを考えただけでも鉄也は死にそうである。 「す、すげえ……さすがに辛そうだな。ほら、もうちょっとの辛抱なんだから頑張れよ。俺の手しっかり握っていいからな、あー、ええと、こういう時は……ラマーズ法だったか? やってみろよ、ひっひっふー」 「っひぃッ、ひ────くあぁぁっ! ふ、ふうぅぅぅぅ……!」 「よしよし、その調子じゃ、良いぞ鉄也。ほうれ、頭が見えてきおったぞおぉ……ウヒィッ、もうすぐそこじゃ。そら、いきめ!」 「ほんぎぃいいいいいいッ! ほっ、ほぁっ、フゥーーーーッ!!」  今まさに誕生しようとする命に、蓮見もオーナーも目を輝かせる。緩みきった肛門では、もう押しとどめようにも止まらない。  息の仕方を忘れてしまいそうな鉄也の喉が一瞬、くっと引きつり、呼吸が止まりかける。  今までに味わってきた苦痛の中でも最上級と言えるほどの痛み。股関節が裂けてしまったのではないかというほどの拡がり。  絶対に逃れられないところまで堕ちてしまったのだと悟るや否や、鉄也の蒼白な顔が強張る。  鉄也は、出産することを────覚悟した。 「ぼ、僕もうっ……修介ざんの赤ぢゃんっ……産むがらあぁっ……! 見てくだざい゛っ……見でぇ……!!」  鉄也は壮絶たる意志で力み始める。  意識も朦朧なその目には、この世でただ一人、心の底から愛した男の子供に会いたいという、最後の希望が宿っていた。  鉄也が鬼のような形相でいきむたび、ギャラリーも手に汗握り、ゴクンと固唾を呑み込んだ。

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