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如月司編4-2 ※フェラ

 神嶽は司を股間の前に跪かせると、まだ萎えたままのペニスを取り出す。そこから漂ってくる悪臭に司は思わず眉をひそめた。 「うっ……く、臭い……」 「お前に舐めさせる為に洗わないでおいた。よく味わえ」 「……本当に……最低の男だな……」 (こ、こんなところを人に舐めさせるだけでも汚らわしいと言うのに、洗っていないなんて……どういう神経をしているんだ、こいつはっ……) 「クソ穴にチンポをぶち込まれて絶頂する薄汚れた司お坊っちゃまにはちょうどいいだろう。それともこの程度の臭いでは物足りんか。知っていればもう少し放置してきてやったが、それは悪いことをしたな」 「下衆がっ……。なんて、不潔なんだっ……」  司はあまりの屈辱に全身を強張らせ、わなわなと震わせる。  もしも暴力をも厭わない人間だったなら、とっくに神嶽を殴っていただろう。だが、そうしたところで何も得することはない、むしろ不利になるだけである──そう思うだけの理性が司にはある。 (こいつは人をなんだと……いや……そうだ……こんな男、同じ人間だと思う方が間違いなんだ……屑めっ……)  物は考えようとは言うが、はらわたが煮え繰り返りそうになりながらも、心で神嶽を罵ることでなんとか平常心を保っていた。 「まずは、チンポを握ってみろ。両手で大事に包み込むようにな。チンポを崇高なものと思い、奉仕をさせて頂く、という謙虚な気持ちで臨むんだ。わかったな、司」 「ッ────ぐ、うぅ……くそっ……。わ、わかった……こう、か……」  司は呆れたように一つ息をついて、目の前でだらりと垂れ下がっているものに手を伸ばした。控えめに添えた細い指が、隠し切れない嫌悪に震えている。  良いところの生まれの男子らしく、ピアノやバイオリンといった楽器も嗜むことのある司の優雅な手に包まれていると、グロテスクな色をしたそれは余計に汚らしく見えた。 「よし。では、口上を述べて、ここにキスをするんだ」 「…………い、今からっ……ふぇ、フェラチオ……を……させて……頂きます……」  司は苛立ちを必死に押しとどめ、どうにか声を絞り出した。  ぎこちなく顔を近付けてみると、下着の中で蒸れたそれはアンモニア独特のツンとした臭いを放って、司の鼻腔を強烈に犯す。  洗わないだけでなく、司を呼び出す直前に用も足してきたものである。その臭いだけで胃の中のものがせり上がってきそうになるが、司は意を決して唇を亀頭に押し付けた。  ただ触れるだけの面白みのないキスだ。それもそんなところに口を付けているという気持ち悪さが勝って、一瞬で離してしまった。 「初々しいことだ。次は舌を出して舐めてみろ」  今の神嶽と同じようにふてぶてしい態度のペニスを、司は憎らしげに睨んだ。  クラブでは抵抗も虚しく突っ込まれてしまった為、男の逸物を、それもよりいっそう不潔にしてあるものを自ら舐めるというのはやはり抵抗がある。  しかし、あまり迷っていてもこの悪夢の時間は終わってはくれないことも十分にわかっている。  司は清潔そうな白い歯の間から舌を中ほどまで出して、そっと肉幹に這わせる。舌から感じる味や感触にえずきそうになりながら、いったん舌を引き、また表面で撫でることを繰り返す。 「それがお前にとっての『舐める』か。ただ舌を押し付けているだけだろう。覚悟を決めて、なりふり構わず舐め回せ」  その命令には、司は不本意ながらも小さく頷いた。 「くっ……んんっ……ずるっ、れろぉ……。うぅうっ……。はっ、はぁっ、れるぅうう……」 (あぁ……この私が、こんな汚いものを舐めているだなんて……本当に臭い……最悪だ……)  初めての口淫奉仕に、たどたどしくではあるが、自らの意志で舌に神経を集中させて舐め上げる。 「一箇所だけではなく、いろいろ舐めてみるといい。どこが感じるかは人によって違うからな、特に指定されない場合はそうやって試してみて反応を見るんだ。たっぷり唾液を塗したら、扱きながらやってみろ」 「ん……。れろ……ぴちゃ……えうぅ、う……っはあぁっ……」  初の試みで、それも嫌々やっている中ではよく頑張っている方ではあるが、どうにも教科書通りというか、応用力はあまりない動きである。自慰すら慣れていない司には、自分でもよくわかっていない快感のポイントを探ることは難しいのだろう。  それが初々しくてたまらないという会員もいるが、一方ではテクニックだけを求める会員がいることも神嶽は考慮しているらしく、細かく指示を出していく。  司も神嶽の言う通りになるようにねっとりと舌を絡ませて、根元を握っている両手をやわやわと動かし、軽く扱いてみせる。裏筋から雁首にかけてを硬くした舌先で弄っていると、神嶽のものはだんだんと血が集まり、ピクピク震えだした。

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