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如月司編5-1 ※フェラ、イラマ

 夜が更け、司は神嶽と共にクラブへ向かう車内の後部座席にいた。  以前と同じく、周りが見えないようマスクを被されているが、今日は特に何も話すことはなく、大人しく座っていた。  一見すれば、すっかり抵抗を諦めてしまったかのような司。だが、神嶽が心を読むと──。 (58、59……5分……1、2、3……)  司はただ、黙々と数を数えていた。  頭を覆うマスクのせいで視界は奪われているし、神嶽や運転手の男も必要最低限の言葉しか発することがないので、耳から入る情報も期待できそうにない。  事前のボディーチェックで没収された携帯も電源を切られてしまっている。隠しカメラやマイク、発信機の類も、もしも見つかった時の処罰を考えれば迂闊に持ち込める訳もなかった。  それに、平井の失踪後、新たに雇われたのは今も神嶽に運転を任されている男だった。  事件性を匂わせないよう処理し、こうしてクラブへ連れ出す際、司の家の者に怪しまれない為の工作。司自身の普段の行動の監視。既に司の私生活にもクラブの手が回ってきているのは明らかであった。  だが、せめて到着までの時間がわかれば、何の手かがりもないよりは確実にクラブがどのエリアにあるのかが絞れてくるはずだ。  度重なる凌辱でも、そう簡単に諦めてしまう司ではない。例えほんの僅かなことでも神嶽を、クラブを摘発する突破口に繋がらないかと、細心の注意を払って過ごしていた。  とはいえ、司の目論見を放置しておく神嶽ではない。 「司」 「……なんだ」 「着くまでにはもう少し掛かる。その間にもう一度フェラの練習でもしておくか」 「なっ……!? ……い、いや……大丈夫だ……ちゃんと、できる……」 「お前はそのつもりでも、俺には会員達に粗相がないようにお前を躾ける責任がある」  神嶽は言いながら股間をくつろげると、司の頭を押さえ込んで、無理やり咥えさせようとする。  司は鈴口が唇に触れて慌てて入れるものかと噛み締めるが、神嶽はマスクの上からその鼻をきつく摘まんだ。 (く、苦しいっ……! これでは、時間がっ……あぁっ6分……いや、7分……? もっと経っているような気も……? ~~ッ! くそっ……こんなに短い間にもうわからなくっ……!) 「窒息したくなければ大人しくチンポをしゃぶるんだ。そうすれば鼻呼吸の穴くらいは開けてやるぞ」 「んむ、むむぅうううっ……ぐっ……うぅっ……ぅ…………」  司がどれだけ我慢強くとも、所詮は人間である。呼吸という生きるために必要不可欠な行動を遮断されて、力が弱くなっていく。  息を止めていられる限界がきて口が開くその僅かな隙を狙って、神嶽は熱い怒張をねじ込んだ。 「むごっ! ごごっおぉぉおおおおっ!」 「どうせこの後、嫌というほど奉仕することになる。景気付けと思え」 「おぅっぐうううっ……! おえっ……! はっ、はぁっ……く、くしょっ……わかっひゃ……!」  視界が遮られている中でも、司は懸命に頭を動かして、舌のざらざらとした粘膜で裏筋を撫でる。  神嶽は運転手に命じてハサミを貰うと、マスクの鼻の部分を切って息をする手段をくれてやった。司は鼻から思い切り酸素を吸い込むと、改めて深く咥えていく。 「こうしていれば移動中も退屈せずに済むな、司。次からは浣腸しながら喉マンコを犯してやることにしよう。暇で暇でしょうがないとつい余計なことまで考えてしまいがちだ。例えば、これから向かうクラブの所在地……だとかな」 「んむぅっ……!?」 (こっ、こいつ! まさか私の意図をわかってっ……!? い、いや……そんなはずないっ……ただの偶然だ……そうに決まってる……ただ……こいつが移動の間さえ我慢できないみっともない男というだけだ……)  核心を突かれ、司の心臓がどきりと高鳴った。  まさかこのような非科学的な能力で思考が全て筒抜けになっているとは、司でなくとも想像しがたい。 「どうした。図星だったか」 「ぷはぁっ……そっ……そんなこと、考えもしなかった……」 「ならいい。お前はいかにして男を悦ばせるかだけ考えていろ。さあ、卑しくザーメンを搾り取ってみせるんだ」  声音こそ冷徹なままであるが、頭を押さえつける力が弱まったことに安堵しつつ、司は再び神嶽の言われるままにフェラの個人授業を受けていった。

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