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如月司編6-2
「……なるほど。それで、そいつを拉致して縛り上げ、俺が参ったと手をついて謝るまで監禁しておく程度の念は入れているのだろうな」
「お前の常識で話されても困る。そんな荒っぽい真似は……」
(な……なんだ……? この男……もっと焦っても良いはずなのに……言い逃れできないと悟って開き直り始めたのか……?)
そう。どれだけ憎い相手にも荒っぽい真似はできない。
それが冷めているようでいて、良心を捨てきれない司の甘いところだ。神嶽という男が手段を選ばないことを知らない。
「司。夕方のニュースはもう見ただろうか」
「な、何を言って……」
「その様子ではまだ知らないか。我が学園の生徒会長様は実に仕事熱心な生徒だからな」
「……お前っ、奴の身に何かっ……!?」
「つい先ほど自殺していたそうだが」
「────ッ!!」
神嶽はどこまでも他人事のように告げた。
司の父とも親交があった一流企業の重役である男の不幸な死は、司がせっせと生徒会の仕事に勤しむ間にも、既に多くの報道機関で取り上げられている。明日には更に過熱することだろう。
司の件がなくとも、男は既にクラブでは“処理”が決まっていた人間だった。
自身の社会的地位に驕り高ぶり、クラブさえも我が物顔でいるような者もたまに存在する。それらを罰することは他の会員達には自らがどれだけ崇高な人間か再認識することができる。
そして司への見せしめとしてもちょうど良かったというだけだ。
神嶽は司が持ち出した写真をビリビリに破き捨ててみせた。
「面白いことを教えてやろう。例え俺や会員共をどうにかしたところでクラブの核には行き着かず、如月の不正だけが世に出回る仕組みになっている」
「ま、まさか……そんなことが……」
「ハッタリだと思いたければそれでいい。ああ、試しに俺にされてきたことを今すぐ大声で吹聴してみても一向に構わんぞ。如月ごときがどうなろうが俺の知ったことではないからな」
ほんの小さな犠牲を払ったところで、クラブの壊滅には繋がらない。クラブの所在地、そして諸悪の根源を突き止め絶たない限り、この悪夢は繰り返される。
ようやく見つけたと思った手がかりをも闇に葬られてしまい、神嶽を見る司の瞳の奥には僅かに恐怖の色が浮かんでいた。
(こ、この余裕……本当にそんなことが可能だというのか……!? ああ……だとすれば、私は……八方塞がりじゃないか……)
どんなに屈辱的なことでも、じっと耐えていればいつか報われると信じていた。そうすることが心の拠り所でもあった。
しかしもう、自分の知らないところでがんじがらめになっているのかもしれない。
夏に向かって日中は汗ばむような気候になってきたと言うのに、司は背筋に悪寒が走った。
「さて……もう話は済んだな。始めるぞ」
クラブとしても大切な商売相手が死んだというのに、何事もなかったかのような物言いに、司は諦めたように肩を落とした。
神嶽と同様に憎く思っていても、いざ身体を繋げたことのある人間の末路を聞いてしまっては、因果応報であるはずなのに複雑な心境であった。
「鞄は置いておけ。今日はここでする」
当然のように言い放たれた言葉に、困惑する司の目が細まった。
「本当にっ……よくもそう常軌を逸したことばかり考え付くものだな。こんな場所でなんて……誰かに見られでもしたら困るのはお前も同じのはずっ……」
「いつにも増してスリルがあっていいだろう」
「……なんて馬鹿馬鹿しい」
神嶽は司に両手を長机へと付かせ、夏服に移行してもなお着崩すことのない堅苦しい制服をはだけさせていく。
形のいい尻肉を鷲掴みにし、アナルを剥き出しにした際には司は思わず尻を揺すって逃れようとしたが、それ以外には目立った抵抗はなかった。
神嶽はああして人が死んでも顔色一つ変えない男だ、司を暴力でねじ伏せることなど赤子の手を捻るようなものだろう。だとすれば今は大人しくしているしかない。
しかし、そんな神嶽の言いなりになるまま奴隷に堕ちるのも御免である。先の見えない凌辱の狭間で司の思考は揺れていた。
「く、ぅ……勘違いするなよ学園長……! 私はまだ、お前に屈した訳じゃない……!」
「ほう。すっかりケツ穴を弄り尽くされることを覚えたようだが、それでもまだ意地を張るのか」
「黙れ! 卑怯な手で無理やり従わせているくせに! くそっ……す、するなら、早く、終わらせろ……っ」
(結局はこうして私の身体を弄びたいだけのくせをして……! どうしてそんな風に人の命を軽んじるようなことができるんだ……学園長も……あの連中も……最低だっ)
神嶽はたっぷりと唾をつけた指でアナルの皺を撫でる。
「っ……!」
そのままゆっくりと指が入っていくと、司は眉をひそめた。連日の肛姦で、確実に排泄以外の用途を覚えてきている直腸は神嶽の指を柔らかく包み込む。
神嶽もそれを察しているようで、軽い出し入れで隙間をつくると、更にもう一本突っ込みばらばらに動かした。
「クゥッ、うぅんっ……!」
掻き回していた指が弱いところに触れ、司の引き結んだ唇の端から鋭い嬌声が漏れる。
気丈に見えてそこはやはり司も性欲旺盛な年頃だ。今までが性的なことを敬遠していたぶん、一方的に与えられ続ける快楽漬けの日々に、司の意に反して身体は貪欲になっていくばかりだ。
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