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如月司編8-5 ※亀頭責め、潮吹き
(あぁっ駄目だ! 駄目だ、駄目だ……! そんな風に立て続けに責められたら、もう、い、息が、できなっ……!)
酸欠気味の司の顔は、どんどん赤みを増している。それに比例するように、司の勃起はダラダラとみっともなくカウパーを滴らせ、まるで愛液のようだ。
司はやがて両手だけでは己の身体を支えていられなくなり、タンクにしがみついて神嶽のなすがままに揺さぶられた。
「ンッ……ん、ぅ、はぁっ、かはっ……ぁ……くうぅぅ……ッ」
前と後ろを激しく責められ、口の端からは涎が垂れそうになって慌てて啜りさえする。司の肉体はもはや男を求めてうねり、締め付け、奥へ奥へと引き込もうとする。
快楽地獄に狂って無様に泣き叫ばないことが不思議であった。育ちのせいか、そのように振る舞うことを知らないとも言える。
(そんなに激しくされたらっ、ま、また出そうだっ……! なにか、くる……! でもこの感覚は……射精じゃな……あ…………ま、まさかっ)
最悪の展開が司の脳裏をよぎった瞬間、堪えていたものが一気に弾けた。
「うああぁっ!? 止、め……ひっ、ひっ、ひぃいいっ……!!」
司が今日初めて驚き混じりの引きつった声を上げ、尿道からビシャビシャと勢いよく透明な液体が噴き出してきた。
司は壮絶な快感に耐える表情を更にぐしゃぐしゃに歪ませて、子供がいやいやをするように首を振った。
「んぎっ……あぁっ、くふ、あぐうぅぅぅ……ぅう゛っ……!」
(止まらないっ……!? あぁっ、嘘だ、こんな男の前で……し、小便まで……!)
司が小便だと思い込んでいるのは、正確にはそれとはまた違う体液だ。射精とは比べものにならない量のものが放射線を描き、断続的に出続けた。
「よく見ろ司。これは小便ではなく、潮だ」
「っはぁ……し、潮……?」
「お前がどうしようもなく感じている証拠だ」
一度止まったかに思えても、神嶽が前立腺を擦りながら、一滴残らず搾り取るようにペニスを扱き立てると、この細身にどれだけ溜まっているかというほど、続けて噴水のように飛び出した。司はその度にむせび泣くように苦しそうな声を上げながら悶絶する。
徹底的に司を追い詰めたのち、神嶽も動きを止め、司の直腸内にたっぷりと精液を出し終えた。
苛烈な快楽責めに司の目は潤み、もう焦点が合っていなかった。
「全校生徒の前で亀頭を責められ射精寸前まで感じたあげく、最後はアナルファックで潮吹きか。呆れた淫乱生徒会長様だ」
「そ、れ、はぁ……お前、が……っ……」
どっと疲労がのしかかってくる中、司はやり場のない激情をぶつけるように、唇を噛み締める。あまりにきつく噛んでいたものだから、うっすらと血さえ滲んでいた。
それが潮だろうが何だろうが、常識の範囲から外れた絶頂は司に改めて大きなショックを与えた。
ペニスを引き抜かれると、司はまた質量のあるものが抜けていく疑似排泄感に身震いして悩ましく切ない喘ぎを吐き出した。
行為が終わった司は腰が抜け、便座の上にへたり込んで動けなくなってしまった。
神嶽の白濁を垂れ流しながら、タンクにもたれ掛ってふうふうと肩で息をする。そうして情欲が薄れていくのを待つ他なかった。
心拍数が一定のリズムに戻ってきた頃になって、司の火照って赤く熟れた唇が不自然につり上がる。
ぐったりとした司から、くつくつと渇いた笑いがこぼれていた。
「…………でも、これで、良かったのかもしれないな」
弱々しく呟きながら、司は疲れ切った顔で神嶽を見た。それだけなら、いよいよ堕ちてしまったのかとさえ思えるような司。
神嶽もまた、いつになく痛々しい司の本心を探るように彼を見下ろした。
依然として顔色を変えることもない。ただ獲物を見定めるように僅かに鋭い眼を細めるのみである。
(ひとまずは……ばれずに済んだ……皆をこいつから守れた……。これで良いんだ……もう二度と……誰かを巻き込みたくなんかない……。私が大人しく耐えていれば、この男もそう無茶な真似はしないはずだ……)
か細いながらに、彼の心の声は強い意志に満ち溢れていた。
「後できちんと保健室に行っておけ。周囲には俺からうまく言っておく」
司の弱音に、神嶽はあえて触れなかった。また罵られることを想定していた司は当てが外れて残念そうな顔はしたが、こくりと頷いた。
(そうやって私に騙されて好き勝手に蹂躙していればいいんだ……。お前なんかには屈しない……心までは……隷属してなるものか……。私は、まだ、頑張れる……)
司は愚かなまでに強がっていた。そんな風に自身を鼓舞していなければ、経験したことのない不条理の中で、正常な思考を忘れてしまいそうであった。
しかしそれも所詮は一時凌ぎにしかならない。
彼の頑なな誓いが脆くも崩れ去るカウントダウンが始まったことを、神嶽は悟っているようであった。
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