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如月司編9-2 ※フェラ、精液浣腸
鉄仮面を被ったように平静を装っている司の表情筋が、むず痒そうにピクピクと動く。伏し目がちな瞳には明らかな嫌悪が表れている。
神嶽でなくとも感情を必死に押し殺しているのだとわかる。司はとんだ大根役者だった。
(終われ……こんな馬鹿げたこと、早く、終われ……)
日々の凌辱の中で司が見出したのはそうして従順な奴隷を演じることだった。
抵抗をしたところで苦しむことになるのは自分であるし、クラブにはそれを手を叩いて嬉しがるような輩しかいないのだ。長い睫毛を伏せ、無心になって愛撫していた。
「それにしても、こんな風に知らないおじさん達のチンポを貪るなんて如月家の坊ちゃんは相当スケベな子だね」
「ん、んぐ……」
「ほら、どうなんだい、恥ずかしいのか、僕らに感想を聞かせてごらんよ」
会員達もこうして哀れな贄を嬲ることには慣れたもので、言葉責めで司のプライドを抉ろうとする。
恥辱はいつまで経っても慣れなかった。司は思わず薄目で男たちを見上げた。
そうしてアクションを起こしてしまった以上は、彼らの顔色を伺い、己の言うべき言葉を模索するしかない。
「ふ、ふぁい……恥ずかしい……れす」
(……ここで逆上してはいけない。挑発には絶対に乗るな……今は、こいつらを絶頂させることだけを考えろ……着実に進めなくては……帰るのが遅くなる、だけだ……)
だが、そうして淫らな行為にも生真面目に集中している司は気付かなかった。
他の席の会員達が、司が来るのを待ちながら熱っぽく扱き上げ、放出した精を容器に溜めていることに。
それから数時間、司は数え切れないほどの席を回って接客をさせられた。あらゆる醜い男をどうにか射精させ、出された精液は全て胃に流し込んだ。
途中で何度も吐きそうにはなったが、生臭いおくびを漏らしながらも相変わらずの我慢強さで司は気丈に振る舞い続けた。
「よく頑張ったね、司くん。気持ちが良かったよ。支配人も、この短期間でよくここまで躾けたものだ、いやはやさすが」
「お気に召して頂けたようで何よりでございます。司、お前からもきちんとお礼を」
「こ、こんなに、たくさんのご褒美を……あ、ありがとう、ござい、ますぅ……う……ぷッ……」
ぐったりと最後の会員に向かって頭を下げ、司はようやく席を離れることを許された。
大量の精液を飲まされ、顔は青白く、たった数時間の内にやつれてしまったようにすら見える。程よく引き締まった腹もいささか膨れていた。
疲労困憊の司が舞台に上げられると、やはり見た目だけは執事のような品格すらある鷲尾が現れた。
「……さて、皆様お楽しみ頂けたようですし、そろそろ本日のメインイベントと参りましょうか。ふぅ、腕が鳴るな」
「……え……?」
司は演技も忘れてあんぐりと口を開けた。これで終わったと思っていたのに、むしろこれからが本番とは、信じがたい言葉であった。
いつにも増して無垢な子供のように楽しそうな笑みを浮かべる鷲尾。盛り上がる客席。
司はそれだけでただならぬ不安を感じ、余計に具合が悪くなりそうだった。
鷲尾がいそいそとスキングローブをはめている間に、次の責め苦に使われる器具が運び込まれる。
司の嫌な予感はより明確なものとなった。
「ま……まさか……」
初めてこのクラブに連れ込まれた夜の悪夢が蘇る。
「ひ、ひぃッ……!」
平静を保っていた司が思わず喉を引き絞る。
器具の中から鷲尾が持ち出したのは、ガラス製の浣腸器であった。それも注射器程度とは違い、家畜用の長大なものである。
また、おぞましい排泄を強要されるのだ。それも今度は、いくらこの狂った施設の会員といえども、大勢の人間がいる目の前で。
「この美しい少年を奴隷として染め上げていくにはどうすれば良いか? それは皆様の素晴らしいDNA────俗な言い方をするならばザーメンを、徹底的に味わわせること。口からの摂取は今しがた終わりましたし、お次は粘膜から吸収してもらいましょう。そう、ザーメン浣腸ショーの始まり始まりです!」
芝居じみた口調の鷲尾に、おおお……と客席はどよめき拍手が起きた。
「これはただの浣腸ではない。クラブ中の男からかき集めた出したて濃厚ザーメン浣腸だ」
「フフフ……そういうことでね、司くん、僕らは君が上から下からザーメンをたっぷりと美味しそうに飲み干してくれるところが見たいんだよ。どんなことでも、するんだろう?」
最前列にいる初めの会員にわざとらしく微笑まれ、司の肌がぞくぞくと粟立っていった。
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