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如月司編9-3 ※精液浣腸
眼鏡の奥の目が戦慄に見開かれる。たちまちじっとりとした冷や汗が浮かぶ。
一方的に快楽で貶められることが続いている司でも、排泄行為を見世物にされるなど、残った理性がかえってどうしようもなく羞恥心を覚え、堪えられないのだった。
「そ、そんなっ……ことをしなくても、わ、私は、いぃ、いつものように抱かれますっ、」
「抱かれます、だと」
会員の手前もあってか比較的穏やかであった神嶽が、今日初めて咎めるような声音で言った。
「立場を忘れるな、司。お前が抱かれるのは至極当然のことだ。お前はその肉体全てを使って真心込めて奉仕せねばならない。お客様が悦んでくださることならば、どんな要望にも応えろ」
(だ、だからと言って、か、浣腸もするだなんて、こいつらはどこまで狂っているんだっ……! あぁぁ……なぜ私がこんな人外共を悦ばせなくてはならないっ……!?)
恐るべき凌辱魔たちの餌食となってしまった現実を再認識して、司は唇を噛み締める。
忘れていたわけではない。しかし絶え間ない辱めの中でこの非日常に順応してきている司は、大人しく従ってさえいればそれほど無茶なことはされないだろうと、妙な安心感を得てしまうのも事実であった。
どんな環境においても人間は適応する能力がある。それ故に必ず隙ができる。その間に入り込むことはいとも容易い。
神嶽が逃げ腰になる司を押さえつけ、手枷で両手を拘束した。
そうして枷を鎖ごと天井のフックに引っかけ、司はまるで罪人のような姿勢で吊るされていく。
どんな手を使っても欲望を満たそうとする彼らの執着の強さを感じ、司はとうとう我慢がならなくなってしまった。
「こ、こんな、真似までっ……ふ……ざ、ける、な……お、お前達は、人が下手に出ていれば好き勝手なことばかり……!」
この数時間、いや、今まで耐えてきた日々も含めての苛立ちが爆発し、司はありったけの激情を込めた怒声を絞り出す。
鷲尾はそれすら心地よさそうににっこりと口角を上げ、司の恐怖心を煽るように浣腸器を見せ付けてから、容器に溜められたおぞましいまでの量の精液をシリンジに吸い上げ始めた。
「ああっ!? そ、そんなに大量のザーメンを私の中に注ごうとするだなんて冗談じゃないっ! これを外せっ! やめろ、やめろ、ぉッ……!!」
かろうじてつま先立ちの司が必死に身体を捩って逃れようとする。無様でも、暴れずにはいられない。嫌なものは嫌なのだ。
神嶽としてもできることは限られている学園内ではなく、ここは黙っていては本当に何をされるかわかったものではないクラブである。
例えそれが周りを悦ばせるとわかっていても抵抗の意思表示はしなくてはならなかった。
「ははは、やっぱり司くんはこうでなくっちゃあな。猿芝居はもう結構だよ、強情な君のことだ、最初から素直に従うなんて誰も思っていないからね」
「ッ…………!」
(ば、ばれていたっ……!? こ、こいつら……私が堕ちた振りをしているとわかった上で、心の中で嘲笑って……あぁ……なんて、奴ら……)
司はこの場にいる狂人の輩に改めて憎しみが込み上げ、そして上手く騙せていたものと優位に立った気分でいた自らの詰めの甘さを悔いた。
「皆様のチンポを穴という穴で受け入れ一生懸命ご奉仕しながら自らもイキまくる堪え性のないこの司お坊っちゃまも、まだ嫌がることはある。それでこそ躾甲斐があるというものです。どんなに高貴な生まれにあっても、人間など所詮は汚れた生き物だと徹底的に教え込んで差し上げましょう……ふふふ……楽しみですねぇ……」
悪魔の微笑みを湛え、客席を焦らしたのちに、鷲尾は司の尻たぶをぐいっと掴んだ。
「よ、よせっ……」
思わず神嶽を見やり、語気が弱まってしまう司。
「駄目だ。悦んで全て受け入れろ」
(だ、誰がこんな最低な奴らの精液を注がれて悦ぶものか……! おのれっ……この屈辱は忘れないっ……私に手を出したことを一生後悔させてやるからな、学園長ッ……!)
「ひぐっ! ぁ、ぐ、ぅ……」
心で呪詛の言葉を叫びつつも、容赦なく浣腸器を突き刺され歯を食いしばる。
じっくりとピストンが押し込まれ、白く濁り、気泡を浮かべた1リットルはあろう中身が、司の薄い腹を押し上げながら徐々に注入されていった。
(あ、ぁ……あんなにたくさんのザーメンが私の中に……ま、まだ生温かい……苦しいっ……な、なんてこと……あぁあ……)
空になった浣腸器が抜けると同時に、司はハッと息を呑んで肛門を窄めることに意識を向けた。
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