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如月司編11-5 ※覗き

「何をじっとしているんだ。さっさと動かしてみろ」 「うぐ、うぅぅ……わ、わかった……」  司はもじもじと尻を揺らして、奥深くに呑み込んだ肉棒を扱きにかかる。 「はぁっ、ぁ、くうぅ……っ!?」  自分で動かせる分にはまだまだ慣れない動作ではあるが、ぎこちないピストンの中で亀頭が前立腺を押し上げると、司も堪え切れない喘ぎ声を上げる。 「そうだ、そうやってお前の良いところに押し付けて擦ってみろ。素直に感じることもお客様へのサービスになる」 「そ、そんなつもりじゃ……んん、くそっ……はぁっ、あぁ……」  いちいち文句を垂れながらも、司はゆったりと腰を使う。  その間、神嶽は司の細く色白でありながら、程よい筋肉のついた腿を撫でている。  そうして肌で触れ合うことで多少なりとも司の緊張は解けていき、よりいっそう快楽を感じられる余裕が出てきたようだ。  いつでも淡白な反応を変えない神嶽とは真逆に、司は甘え方を知らぬ子供のように怖々と、しかし男としての悦びを直接感じられる行為に没頭する。 「気持ち良さそうだな、司」 「私のことはっ……どうだって……。お、お前こそ、どう、なんだ……?」 「そう弱く動かされていると、焦らされている気分だ。じっくりと愉しむのも良いが、もう少し激しく腰を揺すり立てて欲しいものだな」 「も、もっと……?」 「ああ。こんな風にな」  神嶽が力強く一突きする。下腹が司の尻たぶをパチンッと乾いた音を立てて打ち、司はバランスを崩しそうになった。 「や、やめろ……っ。やれば、いいんだろうがっ……」  どうにか踏みとどまり、司は気を取り直して大きく身を上下させる。 (どうしてこう早く済ませて欲しい時に限ってイカないんだ、この男はっ……! も、もうこれ以上したら、私の方がイッてしまいそうなのにっ……)  思い通りにならない男に苛立ちと焦燥を募らせつつ、腰を振り乱す司だが、肛門性交に慣れてしまった肉体は着々と自らを追い詰めていく。  絶頂の予感に、司は寸前でまた動きを止めてしまった。神嶽が緩々と突いて続きを催促する。 「ひっ……ひぃ……わ、わかってる……でも……も、もう…………うぅっ、できない……」  小さな声で弱音を吐く司。  生まれてこのかた如月という家の重圧を一人で背負っていたせいか、己の力を過信している部分もあったが、こうして無理なものは無理だと言葉にできるようになったことは、彼の思考がずいぶん柔軟になってきた証でもあった。  司のようにプライドの高い者にとって、自身の弱さを認めることは大変に勇気の要る行為である。 「できない時は、どう言えばいいかわかるか」 「…………わから、ない」 「好きにしてほしいとお願いするんだ」 「……す、好きに……してくれ……」  神嶽は素直な司の両腕を掴んで己の方に引き寄せ、より密着した。  隼人からは司のアナルに神嶽のものが入っているところが丸見えだ。隼人は結合部の生々しさに圧倒されたのか、ゴクリと固唾を呑むのみだった。 「う、ぁ……」  深々と埋め込まれて弱く呻いた司を無視し、神嶽は激しい抽送を開始した。 「あっ、あくっ、もっと、ゆっくり……っ! ううっ! くぅっ……は、激しすぎるッ……!?」  尻をバチバチと打たれる高速ピストンに司はいやいやと頭を振って身悶えた。  敏感な性感帯を容赦なく掘削され、湧き上がる快感が全身を駆け巡っていくのに、神嶽に押さえつけられているせいで強引に高められてしまう。 「ンンッ……ぐぅっ、くうぅぅぅっ! あぁっ、それ以上は本当に駄目だ、イクッ……!」  限界が迫って司が反射的に目を閉じた次の瞬間、直腸がきつく収縮して肉棒を引き絞る。  しかし神嶽は司の絶頂感が薄れるのを待つどころか、アクメを決めた真っ最中であるアナルを淡々と掘り続けている。 「くひぃいいいいいっあぁぁああっ!? わ、わらひまだ、イグの終わっでないのにぃっ……!?」  絶頂時の肉体の抵抗を物ともしない精力に驚愕しながら司が激しく頭を振る。そのたびに汗の玉は飛び散り、口元からは濃い涎がダラダラとみっともなく溢れ落ちて糸を引く。  壮絶な肛門性感に悶え狂い、司は遂に耐え切れずわあっと泣き出した。 「いいぞ、何度でも気をやれ。全てお前の中に出す」 「んくぅうんっ! あひっ、へひゃはぁあああっ! な、中ぁッ!? いぃ、今は、らめら、中はぁっ……!」 (い゛ッ、いいいぃ、今あんなに熱いのを出されたらっ、おかしくなるっ! イクこと以外っ、何も考えられなくなるっ!)  理性が吹き飛びそうな瞬間を狙った中出し宣言に、司は目を剥いて恐怖した。  神嶽の張り詰めたものは司の中で更に膨張し、シャワーのように勢いよく精液を噴き出して余すことなく腸壁に叩きつけ汚していく。 「うひぃいいいいっ!! おぉっおっほおぉぉおおおっ! あぁぁあづいのがっ……止まらな……うぅぁっ、ひゃめろおぉぉぉぉぉぉ……! そんなに出されたら……またっ、またいくうぅ……ッ!」  休みなく撃ち込まれる熱量に、司も抗うように背を弓なりに仰け反らせ、嗚咽しながら何度も何度も果てた。  思う存分精を吐き出し終えて萎えていったペニスが引き抜かれると、司の疲れ切って開いたままのアナルからは、まるでお漏らしをしたかのように大量の中出しザーメンが逆流してくる。  それだけでも司はピクピクと軽い痙攣を起こし、深い肛姦の余韻に浸っていた。 (あ……あんなにたくさん中で出されて大丈夫なのかよ……。でも司……すごく、気持ち良さそうにしてた……オレ、こんな淫乱な司なんて、知らねぇよ……。これって、夢じゃ…………あぁ……ない、よな……)  そこでようやく、隼人もハッと正気に戻ったようだ。  見ていただけであるにも関わらずどっと疲れた顔をして、ふらふらと意識が遠のきそうになるのを抑えながらなんとかその場から立ち去って行った。 「司」 「んひっ……グスッ……はぁっ、くはぁ……はひぃぃぃぃ……」  神嶽が声を掛けてみても、司は目の焦点が合っておらず、凌辱鬼にぴったりと身を寄せたままゼェハァと荒い呼吸を繰り返すだけだ。  腰が抜けて立つどころか、しばらくは動けそうにない。よっぽど気持ちが良かったのだろう。  まさか扉一枚を隔てた場所に痴態の全てを目撃していた者が居ようとは、ましてやそれが隼人であろうとは、微塵も気が付いていない。  そのままグロッキー状態の司の髪を優しく梳いてやりながら、神嶽の眼は既に、別の標的に狙いを定めていた。

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