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如月司編END-2 ※薬物、男女凌辱

 都会の眩しさで星の一つも見えない、薄暗い夜。その光さえも届かぬ地下では、背徳と狂気に満ちた時間が始まる。  今宵も欲望渦巻くクラブは上々だ。  クラブでは、この一年を使って、水面下で進めてきたプロジェクトがある。結局、オーナーの隠居も今日まで延期となっていた。  司を奴隷として堕としてから、神嶽はまず、司の指定する人間を最優先に凌辱の罠へと嵌めていった。  その中には司とも親しかった同級生や教師、私生活で顔なじみであった良家の子息子女など、性別の垣根を超えたあらゆる人間がいた。  そこで陥落した者は、『奴隷一斉オークション』として、今夜のメインイベントに出品される。  オークションには、クラブに招待された各界の著名人が出席し、大いに賑わっていた。  鷲尾が司会となって順調に進められる中、司は後方のテーブル席にいた。そこで繰り広げられる余興を、会員らと一緒になって楽しげに傍観する。 「おおうッ、おおっ、ぬおおおおっ!」  そこでは、獣じみた男の声が聞こえていた。  全裸で汗や涎を垂れ流しながら、狂ったように腰を振る男は、血走った眼で組み敷いた女を見下ろしている。  すっかり薬漬けにされ、一流企業グループを治める厳格な実業家の影も形もなくなった、司の父であった。 「あががががっ、ぐげっ、つかさ、や、やめさせ、てっ、おねが、い……ひぎぃいいいいいい!」  その暴虐の相手となっているのは、司の母。  どうにも長年セックスレスであったせいか、違法薬物で男としての獣欲の塊となった夫の猛烈なピストン攻撃を受け、母はこの歳にして牝としての幸せを知ったようだった。  何度も何度も、飽きるほどに絶頂を繰り返し、子宮は壊され、父だってもうカラカラに枯れている。  それでも薬物のせいで、死ぬまでこの行為を止めることができないのだ。  司は実の両親のシャブ漬けセックスを、まるで初めて玩具を見る子供のように好奇に満ちた目で楽しげに見つめていた。 「やめさせて? ふんっ、ずいぶん調子の良いことを仰るんですね、母さん。父さんがどれだけ私に暴力を振るっても見て見ぬ振りをしていたくせに。ねえ、あなたの口癖を教えて差し上げましょうか。……“どうしてこんなに簡単なこともできないの?”」  母はヒィーッと喉を引き絞り、今さらながらに自身の過ちを悔いた。  愛していたからこそ、一人息子に大きな期待を寄せ、つい理不尽な叱り方をしてしまったことは多々あった。  見て見ぬ振りをしていたというより、彼女だってお嬢様育ちであった故に、結婚してから知った夫の暴力的な一面が怖かった。  けれど、こんな親でいいはずがないと悩み苦しみもした。  歳の割に達観しすぎた我が子を見ていると、いつか謝りたいとずっと思っていたが──全ては遅すぎた。 「ごめんなさいっ! 本心なんかじゃないのっ! ごめんなさいっ……あぐっ、うぐおぉおおっ……は、肇さんっ、正気に戻ってッ、もういやぁああああああっ!」 「あはははは。ああ……父さん、もう人間の言葉も喋れなくなってしまっただなんて。あなたのように頭ごなしに叱るしか能のない猿には、そうやって家畜以下の性交に没頭している方がお似合いですよ」  司の笑い声は、理性の欠片もなく狂った父には聞こえなかった。  だが、猛獣のように咆哮しながらも、その瞳からは人間らしく、やりきれない血涙を流していた。

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