12 / 47

5ー1

 次の日、託の住むマンションの前で入るのを躊躇していた。毎日来ていいと言われたけど、何も言わなくて本当に大丈夫なのだろうか。メールアドレスは知っているが、自分から連絡したことは一度もなかった。  返事が返って来なかったらと思うと怖くて送れなかった。  一瞬迷って、オートロックの呼び鈴を鳴らした。少ししてインターホンから声が聞こえた。 「鈴也?」  モニターに僕の姿が映っているようだ。 「う、うん」  と返事をすると、すぐにエントランスのドアが開かれた。  エレベーターで託の部屋まで移動したら、託がドアを開けて待っていた。 「どうぞ」  託は当たり前のように僕を部屋に入るように促した。玄関に入ってから、少し固まってしまった。 「どうかしたの?」  あまりにも普通だ。ここに来るまで迷った焦燥が意味をなさないほど。 「何でもない」  と答えながらも、僕は戸惑っていた。 「どうする? 先シャワー浴びる?」  と聞かれて驚いた。今までそんなこと言われたことなかった。 「あ、浴びてきたから」 「そう」  託の後について寝室に行った。 「すぐ始める?」  そんな風に聞かれて、やはりすぐに言葉を返せなかった。  僕の返事を待たず、託は別の質問をした。 「何かしたいことある?」  したいこと? プレイの内容だろうか。 「何でも」  託がため息をついたので、しまったと思った。 「あ、いつもと一緒で大丈夫」  僕は慌てて答えた。 「わかった」 「おすわり」  と開始され、いつものように足を舐めた。次に手を。 「よくできました」  と褒められるとやっぱりくすぐったい。気持ち良くなる。 「服をめくって」 「え?」  急に言われたことの意味がわからなかった。 「自分で上まであげて」  上の服をめくって上半身をさらせということだった。  新しく出された命令に戸惑った。恥ずかしい。  託に目を覗き込まれた。  グレアを注ぎ込まれながら、「さらせ」と命令されると、自分の意志とは関係なしに僕の手が服を上にまくり上げた。  既に下半身だって何度も見られてるのに、今更上半身の何が恥ずかしいのかと思うけれど、託に見つめられると、やっぱり恥ずかしくてうつむいてしまった。  しかも、その状態で胸の突起を触られた。 「やっ」  変な声をあげてしまった。それでも託はやめようとしない。 「あ、駄目」  やばくなって、つい自分の手を服から放してしまった。 「悪い子」  やばい。お仕置きだ。

ともだちにシェアしよう!