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託の家に泊まって、起きると我に返って焦った。
昨日のことはちゃんと記憶に残ってた。
託に甘えてしまった気がする。怒ってたらどうしよう。
「起きた?」
託が寝室に入ってきた。
「あ、その」
急に昨日のことがは恥ずかしくなってきて、うつむいた。
「朝ごはんできてるよ」
託はいつも通りだった。
ダイニングテーブルに並べられた朝ごはんを見て気付いた。
「ごめん。手伝えなくて」
寝た時間も正確に覚えていないから、早く起きられなかった。
「別にいいよ。仕事でしょ?」
そう言われて初めて気付いた。今日はまだ平日だった。
「今何時?」
「大丈夫だよ。まだ6時だから」
託はくすくすと笑った。からかわれたと思ってちょっと面白くない。
「託だって仕事じゃないの?」
「俺は始まるの遅いから」
託の職場はフレックスタイムで十時に出勤すればいいらしい。うらやましい。
やっぱりできる奴は違うんだと思った。
「昨日は疲れたでしょ? 今日の夜はやめとけば」
託はそんな風に言うけど、僕は全く疲れていなかった。むしろいつもより目覚めがすっきりしていた。
「全然そんなこと」
そういえば託はどこで寝たんだろうと思った。僕はベッドの真ん中で寝ていたみたいだから。
「僕の方こそ託のベッド奪って」
託の方が疲れてるんじゃないかと思った。しかも朝ごはんまで作ってくれて。
「いいから、食べよう」
みそ汁と焼き鮭とご飯。僕が家で作るより立派な朝食だった。朝起きるのが苦手で簡単なもので済ませてしまうことが多かった。
「おいしい」
「そう。良かった」
こんな風に向き合って食事をしていると、なんだかむずがゆい感じがする。
自分は悪いことをして、ずっと許されないと思っていたのに今はすごく幸せだ。
罰が当たる気がして素直に喜べない。
こんな日々が続いてくれればいいのにと思わずにはいられなかった。
託との関係はその後も変わらなかった。ただプレイするだけでも幸せで、このままでいられるなら、自分の気持ちなんて言わない方がいい。
そんな風に思ってしまった。
この幸せをいつまでもなくしなくなかった。
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