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 一目散に部屋を出て、家に帰った。  否定しなかった。きっといるんだ。  決まってる。託はかっこいいし、モテるのだから。何も男の僕である必要はないのだ。女の子かもしれない。  そんなこと考えたくないのに、嫌な考えにとりつかれてしまう。  最近は日曜日もプレイをしていたから、何も予定がない日は久しぶりだった。  託に会うのが怖い。もう捨てられたかもしれない。  ずっとずっと託の側にいられたらそれでいいと思っていたのに、最近になって欲が出てきたんだ。  パートナーなんて簡単になれるわけないのに。他のDomとプレイしなくてすむように託に所有されたかった。  夜に託から電話があって、僕は出るのを躊躇した。  ずっと鳴り止まず、留守電にもしていないため、仕方なく出た。 「明日大丈夫なの?」  聞かれて思い出した。鮫島のことなどすっかり頭から抜けていた。 「あ、そういえば」 「鈴也!」  僕は正直どうでも良くなっていた。 「託が気にすることない」  託とパートナーになれないなら、側にいるのはつらすぎる。 「パートナーになる人にしてあげて」  託が何か言う前に電話を切った。それはきっと僕ではないから。  これ以上託を縛るわけにはいかないと思った。  嫌な予感がするけれど、無断でサボるわけにはいかなかった。それに、明日休んだとしても同じ会社にいる限り逃れられないのだ。

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