38 / 47
12-2
「もし何か困ったことがあったら、うちの母さんに聞いてみるといいかも」
「でも」
さっきの口ぶりだと、託のお母さんは、僕がいじめてたことを知ってるんじゃないだろうか。
「きっとめちゃくちゃ怒られる。僕がひどいことしたの。会わす顔ないよ」
「まあ、確かにそうだね」
肯定されるのも微妙だけど仕方ないことだ。
「でも、うちの母さん根に持つタイプじゃないし、それにわかってくれると思うけどね」
そうなのかな。託のお母さんのことはうっすらとしか覚えていない。
「どっちにしろ、パートナーになるならいずれ親にも言うことになるし」
「パートナー?」
「鈴也から言い出したんじゃ」
確かにそうだけど、意識的に避けてたのに何で託から言い出すの?
「その話したくない」
「何?」
「仮契約なんかしたくないから、やめよう」
託は変な顔をした。
「そう。ならしょうがないね」
託の言い方があまりにも素っ気なかった。
「なんか誤解した?」
「誤解?」
「契約が嫌なんじゃなくて、仮が嫌なんだって」
言ってしまった。だって託に呆れられた気がしたから。
「どうしてそんなに契約にこだわるの?」
「だって」
託に他のパートナーなんか作って欲しくないから。
「気にしないで」
僕が欲張りになっただけだから。
託に誰も近付いてほしくなくて、ずっと側にいたくて。結局僕は中学の頃から何も変わっていない。体だけ大きくなって。
「鈴也はわかってないよね」
「え?」
「そういう態度が煽ってるように見えるんだよ」
「煽ってる?」
託は何を言ってるのかと思った。
ともだちにシェアしよう!