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「もし何か困ったことがあったら、うちの母さんに聞いてみるといいかも」 「でも」  さっきの口ぶりだと、託のお母さんは、僕がいじめてたことを知ってるんじゃないだろうか。 「きっとめちゃくちゃ怒られる。僕がひどいことしたの。会わす顔ないよ」 「まあ、確かにそうだね」  肯定されるのも微妙だけど仕方ないことだ。 「でも、うちの母さん根に持つタイプじゃないし、それにわかってくれると思うけどね」  そうなのかな。託のお母さんのことはうっすらとしか覚えていない。 「どっちにしろ、パートナーになるならいずれ親にも言うことになるし」 「パートナー?」 「鈴也から言い出したんじゃ」  確かにそうだけど、意識的に避けてたのに何で託から言い出すの? 「その話したくない」 「何?」 「仮契約なんかしたくないから、やめよう」  託は変な顔をした。 「そう。ならしょうがないね」  託の言い方があまりにも素っ気なかった。 「なんか誤解した?」 「誤解?」 「契約が嫌なんじゃなくて、仮が嫌なんだって」  言ってしまった。だって託に呆れられた気がしたから。 「どうしてそんなに契約にこだわるの?」 「だって」  託に他のパートナーなんか作って欲しくないから。 「気にしないで」  僕が欲張りになっただけだから。  託に誰も近付いてほしくなくて、ずっと側にいたくて。結局僕は中学の頃から何も変わっていない。体だけ大きくなって。 「鈴也はわかってないよね」 「え?」 「そういう態度が煽ってるように見えるんだよ」 「煽ってる?」  託は何を言ってるのかと思った。

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