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12-3
突然キスをされた。プレイ中でも何でもないのに。
「た、託?」
「クライムの時にはグレアもコマンドも使えないんだよ」
それは知ってた。パートナー契約のためにセックスするのは、プレイとは別だって。
僕は急にめちゃくちゃ恥ずかしくなった。僕たちは恋人でもないのに、急にそんなことするなんて。したくないってわけじゃない。
ただ、心の準備が。っていうか男同士って、どうするんだっけ?
やばい。経験がなさ過ぎて焦りだした。
僕はつい、託から逃れようと、じりじりと託の方を向いたまま後ずさった。壁まできてしまい、頭をぶつけてしまった。
「ちょっと鈴也」
「なななな、何?」
託が近付いてきた。
「何動揺してんの?」
「別に。その」
今やるってわけでもないのに、今までそのことについてちゃんと考えてなかったから、急に現実味を帯びてきたのだ。
託がパートナーになってくれるなんてまだ確約したわけじゃないのに、一人で早合点して本当に恥ずかしい。
「そんなんでよくクライムとか口にできたね」
託に呆れたように言われて、かっとなった。
「違う。その」
「無理しなくていいから」
「無理なんか」
「冬休み、予定開けといてね」
託は部屋を出ていった。
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