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 突然キスをされた。プレイ中でも何でもないのに。 「た、託?」 「クライムの時にはグレアもコマンドも使えないんだよ」  それは知ってた。パートナー契約のためにセックスするのは、プレイとは別だって。  僕は急にめちゃくちゃ恥ずかしくなった。僕たちは恋人でもないのに、急にそんなことするなんて。したくないってわけじゃない。  ただ、心の準備が。っていうか男同士って、どうするんだっけ?  やばい。経験がなさ過ぎて焦りだした。  僕はつい、託から逃れようと、じりじりと託の方を向いたまま後ずさった。壁まできてしまい、頭をぶつけてしまった。 「ちょっと鈴也」 「なななな、何?」  託が近付いてきた。 「何動揺してんの?」 「別に。その」  今やるってわけでもないのに、今までそのことについてちゃんと考えてなかったから、急に現実味を帯びてきたのだ。  託がパートナーになってくれるなんてまだ確約したわけじゃないのに、一人で早合点して本当に恥ずかしい。 「そんなんでよくクライムとか口にできたね」  託に呆れたように言われて、かっとなった。 「違う。その」 「無理しなくていいから」 「無理なんか」 「冬休み、予定開けといてね」  託は部屋を出ていった。

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