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託と一緒に行ったカラーのお店は、値段や種類もピンキリで目移りした。
あまり首輪っぽく見えない、チョーカーみたいな作りのカラーもあった。普段からしてるのは恥ずかしいし、こういうのがいいなと見ていたら、桁が1つ違ったので、慌てて見本を戻した。
「それがいいの?」
「もっと別のでいいよ」
高いし、僕の財力じゃ気後れしてしまう。
「鈴也、遠慮してない?」
「え? そんなこと」
「正直に言って」
グレアを放たれた。
「これがいい」
託に言わされたと気付いても遅かった。
「ち、違っ。それ高すぎるって」
「いいと思うよ。鈴也の一番欲しいものにしよう」
「で、でも」
「見くびらないで。それぐらい買えるから。それに、一生物なんだから、良いものにするべきだよ」
託に言われて、その通りだと思った。
12万なんて、僕の1ヶ月の給料がほぼ吹っ飛ぶ価格なのに。託ってそんな稼いでるのかな。
早速見本を僕の首に合わせてみた。
「似合うよ」
「うん」
やっぱり気に入ったのがいい。
お店に注文して僕のサイズに作ってくれるみたいだった。数日かかるけど。
一生物か。託と一生いられるのかな。
なんて思ったりもして。
火曜日に託と一緒に取りに行く約束をした。
今日も託の家に泊まることにした。なんか恋人みたい。恋人?
パートナーと恋人は違うよね。託はどう思ってるんだろう。
「また何百面相してるの?」
「百面相?」
「ころころ変わる鈴也の顔が面白い」
「人の顔で遊ばないで」
託はいつもクールだ。僕ばかりそわそわしてやっぱり面白くない。
「だって鈴也表情変わりすぎなんだもん」
放っといてほしい。
「火曜日になったらパートナーになれるけど、今は何? 恋人って言えるの?」
「今でもパートナーって言っていいけど。そうだ。火曜日に届けもしにいこう」
「届け?」
「前言ったでしょ。東京都の条例で届け出せるようになったって。拘束力はなくても、特典とかもあるから」
「そういえば」
「っていうか恋人とか頬染めて言われると襲っちゃうよ」
「え?」
「鈴也は無自覚で煽るから」
煽った覚えなんかないけど。
「たた、託。ちょっとま」
昼前にやったばかりなのに。
キスをして託は離れた。
「抱きつぶしちゃいそうだからまた夜にね」
だ、抱き潰すって何?
結局夜もやって足腰が立たなくなったのは言うまでもなかった。
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