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第24話 行為の後

「……陽馬……陽馬? 大丈夫か?」  オーガズムのあとの名残りに身を任せる僕に、薄茶色の瞳が心配そうに聞いて来る。 「…………だいじょうぶ」  ……ではないかもしれない。  僕はもう声を出すのもやっとというくらいの状態で。  初めての行為の連続にパニックはもう極限を超し、僕の体はただひたすら休養を欲していた。 「……陽馬……」  律が僕の唇にキスを落とすのを、ぼんやりと霞む頭で受け止める。 「お休み、陽馬……」  律のその言葉を最後に僕は深い眠りへと落ちて行った。  それからどれくらいの時間が経っただろう。  酷く喉が渇いて僕は目が覚めた。  途端に飛び込んで来たのは律の端整過ぎるがゆえ心臓に悪いドアップ。  思わず叫んでしまいそうになる口を手のひらで押さえ、僕は周りを見渡した。  常夜灯だけが灯っている部屋は暗い。  ベッドサイドのテーブルに置かれた小さな目覚まし時計のデジタル文字は、眼鏡を外している僕の視力でははっきりと読み取れないが、どうやらまだ深夜のようだ。  僕は律の部屋で律のベッドで律の腕の中にいた。  頭の中から眠りの残滓が消えて行き、クリアになって行くに従い、記憶がありありと蘇って来る。  ……僕は昨夜、律と初めてのセックスをした……。  すぐにはそのことが信じられなくて、あれは全て夢だったのではと思いかけたが、こうして律と狭いベッドで寄り添うように眠っていることや、体の奥深くに残っている律のあれの感覚が、否応なしに現実だと告げて来る。

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