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第41話 誤解

 そして、視線が僕の肩を抱くようにして支えてくれている学を捕らえるとその表情はより一層険しくなった。 「そいつ、誰だ? 陽馬。 もしかしてそいつにこんな場所へ連れて来られたのか!?」  律の薄茶色の瞳は今は鋭利な刃物のような鋭さで学を射貫いていて、今にも殴りかかりそうだった。 「違うよ! 律、学はっ……」  必死に誤解を解こうとする僕に学が助勢してくれる。 「俺は陽馬の友達。ここで陽馬が道に迷ってて、俺は偶然通りかかっただけ。……陽馬、迎えが来てくれて良かったな。じゃ、俺は帰るから。また明日学校で」 「あ、うん……ありがとう、学……」  学がその場から立ち去り、僕と律だけが残された。  律は尚も学が去って行ったあとを睨みつけていたが、やがて僕の方を向くと、少しつっけんどんな口調で言った。 「……帰るぞ」 「うん……」  歩き出した律の後ろを僕はとぼとぼとついて行く。  道すがら律は家へ電話して、母さんに僕が見つかったということを話していた。  自宅に帰ると、律はすぐに汗を落としにシャワーを浴びに行き、僕は母さんにひとしきり怒られた。 「全く。電話の一本くらい寄越しなさいよね。それから律くんにちゃんと謝っておきなさいよ。あなたのこと捜しに駆け回ってくれたんだから、分かったわね!? 陽馬」 「……うん」  律と入れ替わりにシャワーを浴びに行くとき、僕は彼に謝った。 「今日はごめんなさい……」  律は茶色の髪からまだ水滴を滴らせながら、僕の方へ手を伸ばしかけ、途中でやめた。 「……もう、いいよ。これからは二度とこんなことないようにして」  律の声は冷たかった。  ……律に嫌われちゃったかもしれない。  熱めのシャワーを浴びながら僕は思い、降り注ぐお湯に紛れて涙を零した。

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