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第50話 事後のおしゃべり

 それから律は、シーツに僕をくるんで抱き上げ、バスルームへと連れて行ってくれた。  二人一緒にシャワーを浴びて、汗とセックスの名残りを洗い流す。  部屋へ戻るとき、僕はもう自分の足で歩けると言ったのに、律はやっぱり僕を抱いて行った。  律の部屋へ入り、僕には少し大きい彼のパジャマを着させてもらい、二人でベッドへと入った。 「律、狭くない?」  ベッドはシングルなので、男二人が一緒に横たわると流石に少し窮屈感がある。 「陽馬となら狭い方がいいよ」  甘く囁く律に、僕は赤面してしまう。  全く律って、ドラマの中のようなセリフを真顔で言うんだから。  それでもってそれが様になるからすごい。  僕が照れながらも感心していると、律に引き寄せられた。 「ほら陽馬、そんなに端っこにいると落ちちゃうぞ」 「ん……」  律が僕に腕枕をしてくれる。  静かな部屋で二人ピッタリとくっついていると、律の胸の鼓動まで聞こえてくる気がした。 「……ねー、律」 「ん?」 「さっき話していた実のお母さんのこと」 「……うん」 「もう苦しまないでね。実のお母さんだって律が苦しんだり悲しんだりするのなんて望んでないと僕は思うから」  僕がこんなことを言うのは大きなお世話かもしれないけど、もう二度と律が自分を責めて苦しむところは見たくなかったから。  小さな声でそんなふうに言うと、 「……母さんが悲しむ、か。……そうだよな」  律が僕の髪を優しく撫でながら呟く。 「母さんは俺のこと、許してくれるかな……?」 「許すも許さないも、最初から怒ったりなんかしてないと思う」  僕の言葉に、律は瞬間泣き笑いのような表情を見せた後、より強く僕の体を抱きしめた。 「……ありがとう、陽馬」 「律……」  それからもしばらく僕たちは色んな話をした。  家族のことやお互いの学校のこと友達のこと。  律はまだ学の存在が気になるようで、 「陽馬みたいな可愛い存在がすぐ近くにいるのに、『親友』っていう立場でいられるのってすごいな」  なんて、これまた恥ずかしいことを言ってくる。  律の目に僕はどんなふうに映っているのだろうか?   超美女たちが周りにいすぎて美的感覚がおかしくなってしまっちゃったのかな……。 「学が普通なの。こんな冴えない僕のこと可愛いなんて言ってくれるの、律だ……いたっ」  最後まで言わせてもらえずに頬を軽くつねられた。 「ほんと陽馬って自虐癖が激しいな。おまえはめっちゃ可愛いよ、性格も容姿も。天然なままの今でもね。磨けばもっと輝くんだろうけど、そうするとライバルが何千倍にも増えちゃうし、俺は原石のおまえにすごく萌えるんだよ」  薄茶色の綺麗な瞳に真剣に告られて、僕はまた赤面する羽目になったのだった。

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