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第55話 放課後のプチ・デート2
僕が律を連れて行ったのは、学とよく寄るハンバーガーショップだった。
「さっきまで気分悪そうにしてたのに、そんなに食って大丈夫なのか?」
窓際の席に座り、注文したハンバーガーをぱくつく僕に、律は呆れたように、でもまだ心配そうに訊ねて来る。
「大丈夫。僕ね、律とここに来てみたかったんだ」
「え?」
ポテトフライを食べる手をとめて、律がきょとんと僕を見る。
「よくここから外を歩く律の姿を見かけたことがあったんだ。いつも律は綺麗な女の子と一緒だったけど」
「あー……」
律の表情がバツの悪そうなそれに変わる。
でも僕は別に律を責めたいわけじゃない。
「それでね、いつか律と二人でこちらから外を歩く人を眺めてみたいなとか夢見てた」
「陽馬……」
「まさか叶うとは思ってもみなかった……」
僕が小さく笑うと、律は、ハンバーガーを持ってない方の僕の手をガシッと握って来た。
「あー、もう陽馬、おまえ、どこまで可愛いんだよ」
「ちょっ……律っ……離して! 見、みんな見てるっ」
ただでさえ目立つ律が、同性の手を握りしめて唇へと持って行ってキスしているので、周りがはっきりとざわめいている。
「り、律てば、こんなところでっ、まずいってば」
「だめ。可愛すぎる陽馬が悪い」
僕の言動のどこで律の萌えスイッチがはいってしまったのか、律はしばらく僕の手を離してくれなかったのだった。
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