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第61話 デート本番2
お昼がまだだったので、僕たちはファミレスに入った。
普通ならここでさっき見た映画の感想などを言い合うのだろうが、二人ともストーリーがほとんど頭に入ってなかったので、顔を見合わせて苦笑する。
「陽馬って罪だよなー」
しみじみとそんなことを言う律に、
「それは律の方だろ」
僕は言葉を返した。
食事を終えるとショッピングモールを冷やかして歩く。
僕は律の隣にいれることに幸せを噛みしめる。
律と体を重ねているときも幸せだが、こうして他愛のない会話を交わしながら笑い合えることもまた幸せ。
デートっていいなとか思った。
周囲から見れば僕たちは決して恋人同士には映らず、ただの友人同士にしか映ってないだろう。
でも、そんなことどうでも良かった。
隣を見上げれば律が笑い返してくれる。僕の心はそれだけで満ち足りた。
楽しい時間は瞬く間に過ぎ、僕たちは帰路につく。
律が、「デートが終わっても別れないで一緒の家へ帰れるのってとっても幸せだよな」と呟いたことが僕の心に深く刻まれ、律といつまでも一緒にいたいと心から思う。
けど、二人で共に歩いて行くにはきっとたくさんの障害が待っているんだろうな。
いつかは父さんと母さんにカミングアウトしなきゃいけない瞬間がやってくるかもだし。
それでも律と二人なら何でも乗り越えられる気がするよ、僕。
色んな事に思いをはせながら僕が律のことを凝視していると、律が何? っていう感じで首を傾げる。
「何でもない。今日は楽しかった。ありがとう、律」
「俺もすっごく楽しかった。……次はどこに行きたいか考えといて、陽馬」
「うん!」
次のデートの予約をしてくれるのが嬉しくて僕は浮かれ切った声で返事をした。
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