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第63話 合コンは戦い

   翌日、金曜日。  僕が学校へ行くと学が慌てて飛んできた。 「おい、何がどうして佐藤律が合コンに参加することになったんだよー!?」 「それはその色々成り行きで……」 「佐藤律が合コンに参加すれば、女の子みんなかっさらわれてしまうぞ。陽馬の相手見つけるどころじゃなくなっちまう」 「いや、だから僕は別に……。ねー、学、合コン、その、中止にできないのかな……?」  おずおずと申し出ると、学はとんでもないというふうに手を振った。 「そんなことできるかよ。昨夜おまえからラインもらったあと、俺、深月にラインしたんだよ。そしたら、あいつ浮かれちまって友達にラインしまくったらしい。佐藤律が合コンに来るってさ。結果、どうなったかは分かるよな?」 「……なんとなく」 「合コンに参加希望の女の子続出。これはかなり大変なことになりそうだよ」 「そんな……」  合コンってだけで気が重いのに……。そこに律が参加して、律目当ての女の子がたくさん来るなんて……絶対やだ!  僕は頭を抱えたが、合コンに向かって時間は刻一刻と過ぎて行った。  放課後。  駅前のファミレス『シャイン』では、かなり釣り合いが取れない合コンが開かれた。  なんといっても、男は六人しかいないのに、女の子は二十人くらいいるのだ。  学の彼女の深月さんいわく「これでもかなり減らしたのよ。大変だったんだから」とのこと。  僕は合コンなんか経験したことがないので、どういったものなのかははっきりとは知らないのだが、今のこれはかなり混沌とした状態だ。  二十人はいる女子たちのほとんどはあからさまに律を狙っていて、まずは律の隣の席争奪戦に始まり、律に女子力を見せつける戦いなどが繰り広げられている。  しかし、律は壁際に座り、その反対側の席には素早く僕を座らせた。 「律くーん、これ美味しいよ? 取ってあげようかぁ?」 「律くん、なにか飲み物いる?」  ……と競い合い声をかける女の子たちにも微笑みは絶やさないけど、決して視線を合わすことなく、「ありがと。でも自分で取るから」と突っぱねている。  それなのに律は、「陽馬、この唐揚げすっげー美味いよ。食べてみなよ」なんて僕の取り皿に入れてくれたりといろいろ世話をやいてくれるのだ。  だから今僕は女の子たちのほとんどから「あんた何? 邪魔なんだけど」という冷たい視線を投げつけられている。    

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