92 / 137
第92話 もっと淫らに
「だーめ。言っただろ。今夜はこのままでするって」
「で、でも」
眼鏡をかけたままだとそれこそ何から何まではっきり見えてしまう。
それが僕にとってどれだけ恥ずかしいことか律には分からないのだろうか。
僕が眉を下げて困っていると、律が嬉しそうに笑う。
「陽馬の恥ずかしがってる姿、そそられる」
「律っ」
僕が律の頬をつねろうと手を伸ばすと、届く前にその手を掴まれた。
手のひらにキスを落としながら律が言う。
「……いいこと思いついた。陽馬、こんなシチュエーションはどう?」
「は?」
シチュエーション? またなんか斜め上を行くことを言いだした。
僕がぽかんとしている間にも律はすらすらと言葉を重ねて行く。
「俺と陽馬は社会人で。うーんと俺が社長で陽馬が社長秘書って感じ? 二人、社長室で人目を忍んでするっていう設定」
「…………」
「それとも俺が先輩で、陽馬が後輩。んで嫌がる陽馬を襲うっていう設定の方がいい?」
「……………………」
どうやら律はごっこセックス(そんな言葉はないだろうけど)をやりたいらしい。
「うーん。無理やりっていうのはやだから、やっぱり社長と社長秘書だな」
律は一人呟くと、僕に向かってにっこりと笑った。
いつ見ても律の笑顔は輝くようで、思わず見惚れていると、その沈黙を肯定の意と取った律が僕の唇にキスをした。
「ちょっ……ちょっと待って律っ……」
「律じゃない。『社長』だろ?」
律は僕にそう言いつけると、中断していた行為を再開する。
性器を熱い口内で包まれて激しい快感が戻って来る。
「社長って言えるまで、イカせてやんない」
律はそんな意地悪を言うと、僕の性器を舌で転がしたり、優しく歯を立てたりして、散々に感じさせてくる。
「やだっ……あ、あ、っ……律っ……」
イきそうになった途端、愛撫をやめてしまう、その繰り返しに僕は耐えられなくて半泣きになりながら律が望む言葉を口にする。
「……し、社長……、お、願いだから……」
律の目が弧を描き満足そうな笑顔を浮かべると、僕の性器を思い切り吸い上げ射精を促す。
「あー、あっ……あっ……」
大量の精液を放ち、律の口の中で果てた。
息が整うのを待つことなく、律が僕を立たせる。
とろりと律の精液が零れ落ちて来て、妖しい感覚を僕に与える。
「可愛いよ、陽馬……」
「律……」
「違うでしょ」
瞳に子供のような表情を浮かべながら、律が軽く睨んでくる。
「……し、社長……」
「よく出来ました。君は有能な秘書だよ」
律は「ご褒美」と加えて僕のおでこにキスをくれると、部屋ドアの所まで僕を連れて行く。
そして殊更ゆっくりとした動作でズボンのジッパーを降ろす。
現れる律の雄。
律は性器もすごく綺麗だ。
眼鏡をかけたままなのでいつもより一層クリアに律の雄が見える。
勃ち上がったそれが僕を求めているんだと思うと体の芯が疼いて、僕の性器もまた反応してしまう。
ともだちにシェアしよう!