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第99話 ラブラブ、そして大学
次に僕が目を覚ました時にはとっくに夜は明けていて遮光カーテンの隙間から眩しいくらいの朝日が差し込んでいた。
ベッドの傍で律が着替えてて、目が合うととろけるような甘い笑顔で笑いかけてくれる。
僕の体はすっかり綺麗にされていて、きちんとパジャマを着ている。
律が後始末をしてくれたんだと思うと、もう体の隅々まで知られているのにやはり恥ずかしい。
「おはよ、陽馬」
「お、おはよ……あ、あの、昨日はごめんなさい」
「ん? 何が?」
「その、あの、僕だけそのイ、イッちゃって」
昨夜、僕は律にイカされた後、自分だけ先に眠っちゃった、律を置き去りにして。
それって凄く失礼なことじゃないか?
なのに律はやっぱり笑うんだ。
「……気持ちよかった? 俺にフェラされて」
「う……」
だからそう具体的な単語を出さないで欲しい……恥ずかしいんだから。
僕が心の中でそんな抗議をしながらも小さくうなずくと、律がより笑みを深めた。
そして低く囁かれる律の声。
「いずれお返しはたっぷりもらうから……」
僕の体に何処か戦慄にも似た震えがぞくりと走り抜けた。
さて、話は変わるが、僕と高校時代親友同士だった学は同じ大学へと進学した。
学部も同じだったので自然と高校のときみたいに一緒に行動している。
その日も二人揃って二時間目の授業の教室へ向かうためキャンパス内を歩いていたのだが、いきなりその背中に声をかけられた。
「佐藤ちゃん」
「え?」
振り返ると、そこには先日バイト先に来た派手男が美女を数名はべらせて立っていた。
「――――」
彼から同じ大学だということは聞かされていたが、こんなふうにいきなり話しかけて来られて僕はびっくりして言葉を失ってしまう。
「おまえ、誰だ?」
固まってしいまっている僕の代わりに学が答えてくれた。
「俺は永井勇(ながいいさむ)。佐藤ちゃんのマブダチーす」
永井と名乗った派手男の言葉を聞いて、学が怪訝そうな表情を浮かべ、僕の方を見て来る。
「ち、違う。と、友達なんかじゃない。第一この前一回会っただけじゃないか!」
「一回でも友達は友達じゃん」
いけしゃあしゃあと言ってのける。
「勇ー、もう講義始まるよー。そろそろ行かなきゃー」
そのときはべらせてた美女の一人がけだるげに主張した。
「あー、やべ。俺、あの講義落とすとやばいんだよね。んじゃ、佐藤ちゃん、またね」
いや、二度とまたねしたくない。僕は強く思った。
律とどこか似てるようで全く違う永井勇という男がもうこれ以上自分に絡んでこないように必死に願う僕だった。
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