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序章4-3 ※逆レ、想悟×司

 連れて来られた男を見た瞬間、想悟は戦慄した。 「……つ……かさ……?」  想悟は目の前の男に、見覚えがあった。 「司……司だよな!? お前っ、こんなところで何をしてるんだ!? 俺のことがわかるか!? どっ、どうして、こんなことに……!」  如月司という名の彼は、想悟にとっては同じ明皇出身の二つ年下の後輩だった。  彼の家は霧島家とも親交のある有名グループ企業で、想悟は彼のことも子供の頃から知っている。  常に真面目で、人一倍努力家で、それ故にどこか危うそうな部分もあった彼を、想悟は信頼における後輩としていつも気にしていた。  両親との確執に悩んでいたらしい司は、ひょんなことから両親と衝突し、西條家と同じく一家心中という凄惨な末路を辿ったと聞いていた。  なのに、何故。  死んだと思っていた彼が生きていることに驚くよりも、このような狂気が横行する施設にその身を置いていることの方が信じられなかった。  想悟はなおさらパニックに陥った。 「鷲尾さん……私……今夜は、この方のお相手をすればいいんですね……?」 「ええ、そうです。この方は、大切な童貞をお前みたいな中古品の奴隷に捧げてくれる紳士なのですから。しっかりと最後まで気持ち良くして差し上げなさい。わかりましたね、司」  甘えた声で言う司の瞳はとろんと溶けて、焦点があっていない。  それに、仲良くしていたつもりの先輩を覚えてもいなかった。  幼児退行してしまったような態度の彼は、何か非合法な薬を盛られていることは明白だった。  頷いた司は、鷲尾に犬のリードのように鎖を引かれて、想悟の足元へとやって来た。 「はぁ、はぁ……司です……あなたが、今夜の私のご主人様……よろしく、お願い致します……ふふ、ふひひ……」  家畜のように頭を下げ、顔を上げれば緩みきった表情を浮かべる司。  いったい何が起こっているのか、想悟にはわからない。けれど、このままでは確実に越えてはならぬ一線を越えてしまうような気がした。  嫌な汗をかいて目を見開かせる想悟に構わず、司は慣れた手つきで想悟の股間をくつろげてまさぐり始めた。  想悟は、恐ろしい予想が現実に追いついて、ぞくぞくと震えが走った。 「や、やめろ! 司! 聞こえてるのか、おい司! ああくそっ、誰かこんな馬鹿げたことはやめさせろ!」  やめてもらえるはずがないとはわかっていつつも、叫ばずにはいられない。  司は想悟の言葉など何一つ耳に入らないようで、剥き出しになった想悟のペニスに顔を寄せた。  萎えていてもなお、質量のある男根は司の大好物と化している。  うっとり頬擦りをして、その慎ましい唇でキスを落とした。 「ああっ……大きい……。こんなに立派なオチンポ様ぁ……ご奉仕し甲斐があります……ん、んぷぅっ」 「っ!?」  司があろうことか何の躊躇もなく萎んだペニスをぱくりと咥えたので、想悟は息を呑んだ。  今日この日まで、フェラなどしてもらったことはない。何なら、女に困らないような外見に似合わず、想悟は性経験だってなかった。  それは読心能力によって人を信じられず、“心の清い者”を探し求めているせいもあるが、性愛の対象が男であることも深く関係していた。  温かな口腔粘膜に包まれ、そのまま吸い付かれながらゴシゴシと扱かれる快感は、初めて味わう刺激だった。 「ぁ、が……司ッ……や、やめ……ぐぅっ」  理性では駄目だとわかっているのに、皮肉にも性的な刺激に慣れない若い身体は反応を示した。  そうでなくとも、司のねっとりと愛しいものを味わうようなフェラチオは、自慰などでは得られるはずもない、じわじわと多幸感さえ込み上げてくるような感覚があった。  萎えていたものがだんだんと芯を持ってくるのがわかる。下半身にジーンと深く熱い痺れが起こり始め、脂汗が噴き出してきた。  司がジュポジュポと淫らな水音を鳴らしながら扱き立ててくるせいで、今までの自慰など子供の遊びだったのではないかと思うほど、想悟のものは痛いくらいに張り詰める。  こんなことでは駄目だ、なにか抵抗しなければ、司を正気に戻らせる希望があるならば、何だってやってやる。  そう思いはするのに、司ヘ悦びを伝えそうになる声を噛み殺すことしかできない。  それどころか、パンパンに膨れたペニスが喉奥に押し当たるたびに気管を塞ぐようで、司は苦しそうに瞳を細めている。  しかしそれにも今の司は性的興奮を覚えているようだ。  ムフン、ムフンと鼻に抜ける呻きを発しながらもただ目の前の男を気持ち良くさせようと、一心不乱にしゃぶり立てる。  自分が感じているせいで司を苦しめている──想悟は頭を振りたくって、不甲斐ない自分を呪った。

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