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一之瀬守編4-1 ※無理やり

 口淫をさせたからと言って、想悟と守の関係が劇的に変わるほどではなかった。  想悟は普段通りに職員室のデスクで小テストの問題作り。  守は向かいのデスクで、どうしても顔が見えてしまう為、パソコンの影に隠れるようにしてこそこそ仕事をしている。それは何時も同じだった。  他の教員が帰る時刻になっても、守は元からの効率の悪さが災いして仕事を片付けられずにいた。  想悟はとっくに終わっていたものの、今日も今日とて守を犯そうと思い隙を見計らっていた。が、守の作業が何せ遅いのだ。  担任などは持っていないのだからもう少し時間的余裕はありそうなものだが、それ故に雑用を頼まれ、かつ断れないといったことも多い守だった。これでは調教の時間も遅れてしまうではないか。  深々とため息を吐きながら、想悟は思わず席を立って守の授業案作りを手伝ってやった。少々グレーな気もするが、想悟の貴重な時間を潰そうとする守が悪いのだから仕方がない。  終始ビクビクとしながらも、想悟が仕事を手伝ってくれるだけと知った守は、大人しく自分の作業だけに集中することができ、どうにかこなすことができた。 「あの……」 「なんだよ」  仕事終わりに、守は言っていいものか、と悩みつつ、ぺこりと頭を下げた。 「て、手伝ってくださってありがとうございます。オレ、鈍臭くて……このくらい、一人でできなくちゃいけないのに。霧島先生がいてくださって、本当に助かりました」 「いや、いいよこのくらい」 「……やっぱり、霧島先生はお優しい、ですよね」  そうホッと胸を撫で下ろす守の言い分に、想悟は妙な違和感を覚えた。 「優しい?」 「だ、だって。その……あんな風に酷いことをする人が、オレなんかの為に時間を使ってくださる訳ないですもん。だから、霧島先生……あ、あのことは……オレももう忘れますから、これまで通りにやっていきましょう? ねっ?」  想悟は愕然とした。  忘れるからこれまで通りにだって? こいつはまだ自分の立場をわかっていないのだろうか。  乱暴されたというのに、どうしてその相手に優しさを見出そうとするのか。耐えようのない現実から目を背ける為の逃避ではないのか。  そうだとすれば、守はどこまでも弱く愚かだ。 「俺は忘れない。あんたにも忘れさせない。今日だって、早くあんたを犯したくて待ってただけだ」 「っひ、ぃ……」  ひときわ低い声音で言うと、守は一瞬にして竦みあがった。  やはり無理をしていたのだろう。四六時中、凌辱者と同じ場所にいることが、内心恐ろしくてたまらなかったのだろう。 「……あ、あの……それなら、今日は、何を……」  ピリピリとした空気に耐え切れず先に口を開いたのは、守の方だった。 「脅されてるって言うのに、随分と乗り気だな」 「の、乗り気だなんて……そんなこと、オレは……」  今にも泣き出してしまいそうな守。その表情を堪能し、想悟は淡々とした口調で命じた。 「それじゃ、今ここで服を脱げ」 「え……あの……こ、ここで、ですか……?」  兄の失踪で四六時中報道陣に追い掛けられた経験のある守は、自分が目立ち、見られることに拒否感を露わにしていた。  まだ誰が来るともわからないこの場所で淫らな行為をするのは、予想以上に抵抗があるらしい。  だが、こちらも切り札がある。それは守にとっては絶対の。 「嫌なら帰っていいぞ。その代わり……あのことは学園中にばらすし、兄貴が今どうしているかも教えない」 「ひっ……ぁ……わ、わかりました。やります、やりますからっ……そんなこと言わないでください……っ」  強い語調で言うと、守はあからさまに慌て出す。  歳の離れた兄を心の底から慕っていた守にとって、失踪している兄の安否も気掛かりなものだ。  想悟はあれからも、兄の存在をちらつかせることによって守を無理やり従えていた。  守は観念したようにうなだれて、おずおずと服を脱いでいった。  筋肉なんてないのかと思うくらいに痩せて、肉がだぶついている明らかに運動不足のその身体が露わになる。  けれどその身をまた犯し尽せると思っただけで、想悟の下半身はガチガチに張り詰めていく。  想悟が自分を見て勃起していると気付いた守は、あまりの露骨な反応に視線を合わせられなくなった。 「よし、そのまま俺の股間を跨げ」  その命令には、守は黙って頷くしかなかった。口答えをしてもまた叱られるのみなのだ。  想悟も下を脱いで床に横たわると、守が来るのを待った。守は高くそびえ立つ勃起を前にして、足が竦んでいる。  だが、想悟が急かすようにペニスを揺らしたもので、慌てて下半身を跨いでいった。  和式便所を跨ぐような体勢になったものの、そこから動くことができない守。 「何やってんだよ、やることはわかるだろ?」 「え……あぁ、でも……ほ、本当にここで……するんですか……」 「どこなら良いんだよ。え? あんたが木村勝の実の弟だって皆にわかるように、外でするか?」 「そっ、それはやめてくださいっ……! や、やります……けど……まだ、心の準備が……」 (ま、またするんだ……オレ、兄さんのことを脅されながら、霧島先生に犯される……)  これから再び想悟と肉体関係を結ぶ守の不安と恐怖が、触れた肌から流れ込んでくる。  守が恐れれば恐れるほどに想悟のものは昂ぶっていくというのに、その態度は全く逆効果だ。  守は脅されている以上、やる気はあるのか単に逃れられないだけなのか、そのまま気持ちを落ち着かせようと深呼吸するだけだ。 「で、俺はいったいいつまで待てば良いんだ。さっきだってのろまなあんたの為に仕事を片付けてやっただろ」 「うぅぅ……でも、もうちょっとだけ……」 「どうせやるならとっとと突っ込んじまった方が楽じゃないか? あんた夏休みの宿題最終日まで溜め込むタイプかよ」 「それは……あぁぁ、待ってください」  先走りの漏れるペニスを守の肛門めがけて滑らせる。守はアッと驚いて腰を浮かせた。

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