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一之瀬守編4-2 ※無理やり
跨いだ両脚がガクガクと震えている。嫌で嫌でたまらないのだ。
本当はやりたくないのに、やらなければならない。そんな相反する感情の中で、押し潰されそうになっている。
(そんなこと言ったって、あ、あんなこと、もう嫌……また痛い思いをするんだろうし……どうしてもやらなきゃいけないの……)
そう、今日は痛みに関して守の身を慣れさせることが目的だった。
感情のままに痛い思いをさせるのは気持ちが良かったし、ストレス解消になった。けれどそれだけでは奴隷としてはいまいちだ。
いずれは守の方から犯してほしいとせがむようにならなければいけない。そのくらいしなければ、想悟はクラブに認めてはもらえずにこの呪縛からも解放されないだろう。
想悟の上で固まったままなかなか動けない守に対し、想悟の方は焦らされているようでたまらない。
どんどん分泌されるカウパーを潤滑剤代わりにたっぷり擦り付けると、守の脚を押さえ付けていよいよ挿入にかかった。
「いぎっ……!? や、やめてくださ──ぁううッ……!」
本来排泄に使うだけの器官に押し入ってくる異物に、根元がきつく食い締めてくる。
だがその意に反して守の中の粘膜は柔らかく、ズブズブと逞しい肉棒を受け入れていった。深く深く、根元まで入り切ってもまだ足りないと言うように肉壁をざわめつかせさえする。
想悟は口端を上げ、守の尻を撫でる。
「なんだよ……大して慣らしもしてないのに、案外簡単に入ってくもんだな。さてはアナニーの常習犯にでもなったな? 俺に犯されるのを待ち切れなくて、トイレで弄ったのか?」
「ぅっ、あぁ……違っ……お、オレは……そんな、ことはっ……い、痛い……」
(ほ、本当に痛いのに……あぁ、でも、前よりはつらくないかも……)
初めての経験がよほど衝撃的だったようで、あの時の悪夢と比べれば、二回目のアナルセックスはいささか慣れてしまったとも言える。
きつい括約筋の抵抗も感じながら、しかし本当に自分が守の未開の場所を切り開いたのだと想悟は実感する。
「……っ、我慢できない、動くからな」
苦しそうに呟いてから、想悟は本能が命じるがままに腰を揺すり始めた。
「ひ、ぃっ……ちょっと待っ……待ってください、まだ、痛い、いやぁっ……!」
まだつらそうな守は、突如として始まった突き上げに驚いて身を固くした。
大切な器官を想悟の大きな肉棒で串刺しにされ、腰をがっちりと掴まれているものだから、逃げることもできない。
なす術なく荒々しい獣じみた抽送を受け止め、揺さぶられている。苦痛に顔面を歪め、困惑する瞳からは溜まった涙がほろほろと滴り落ちた。
しかし、上下運動を数分続けていると、守の身体には変化が表れ始めた。
「や、やめ、てぇ……うぅっ……うぅぅん……っくぅ……っ」
痛いだの苦しいだのと叫んでいた台詞はだんだんと少なくなっていき、代わりに唇の隙間からは悩ましげな声が聞こえてくるようになっていった。
汗をいっぱいに浮かべた顔も、嫌そうで、だがどこか恍惚とした表情だ。
(な……なに、この感じ……霧島先生のがっ、お尻の中で擦れて……だんだん、熱くなってくる……。あ、ぁ……無理やり犯されてるのに、なんで……)
おまけに心もひどく揺れている。
混乱しているせいもあるが、もしや守の方も無理やり性交渉を強いられているこの状況に興奮しているのかもしれない。人間どんな性癖を隠しているかわからないというものだ。
証拠に、守の乳首はいつの間にか尖りきっていた。意外な肉体の反応に想悟は驚きつつも、肛虐だけに意識が向いている守の乳首を捩じり上げてみる。
「は……あ、あぁっ!」
意図しない場所を攻撃された守の悲鳴が上がった。想悟は喉の奥から堪えきれない笑いが溢れ出てくるのを感じた。
「ハッ、まだ二回目だぞ。それなのにもうケツで感じるのかよ。あんたマゾか? そうなんだろ、守先生? ったく、つくづく情けねぇ男だなあんたは」
目を細め、自らの腹の上に乗る無様な男を嘲笑う。
鈍感で貞操観念の未熟そうな守が、こんなにも敏感な肉体を持て余していたかと思うと、おかしくてたまらなかった。
「ぁ……あぁ……そんなっ……こと、言わないでください……っ」
(マゾだなんて……そんなのじゃないのにっ……自分でも、なんでこんな風になるのかわからないのにっ……)
守はボロボロと大粒の涙を流して泣いている。強要された行為で感じてしまっている己が恥ずかしくて、悔しくて、ひたすらに惨めなのだ。
(でっ、でも……オレが素直に言うことを聞いていれば、霧島先生だって、いつかやめてくれるかも……。そっ、そうだよね……だってオレが情けない人間なのは、本当だから……)
想悟が懇願を聞く人間では無いと今までの行為で痛感していたが、それでも淡い希望を守は持ち続けている。
気弱で流されやすい癖に……いや……もしかするとこいつは、先に折れることによってより楽な道を歩もうとしているのか。なんとも健気だが、一方で自分勝手にも思える思考。
そのくせ、これだけの目に遭っていながら大して言い返してくることもできずに、腹の上でただ泣きながらガクガク震えている守に嗜虐心をそそられる。いじめ甲斐がある人間とは正にこんな奴だろう。
わざとそうして罵ってもらいたいのかもしれないとすら思えてくる守の態度に、想悟は興奮してじっとりとした汗を噴き出させた。だったら思う存分いじめてやる。
「……っ、そろそろイキそうだ」
射精の宣告をすると、守は小さく首を左右に振る。
それを想悟は全く構う気はなく、顎に手を当てて呟く。
「ふん、今日もしっかり中出ししてやるからな、守先生」
白々しく言いながらそのまま奥を小突くと、守の顔は恐怖に歪んだ。
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