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一之瀬守編4-3 ※無理やり
想悟は声を出して笑った。それはさながら、悪知恵の回る子供のように。
「……せっかくだから、あんたの希望も聞いてやろうか? どこに出して欲しい」
普段より低く出た声音に、守の肩がビクリと跳ねる。
「い、嫌……嫌ですっ……や、やめて……」
守の否定の言葉は既に条件反射でしかないとわかっているが、想悟はわざと舌打ちをする。
「俺はどこに出して欲しいかって聞いてんだよ。言わねぇならまたフェラさせて、腹いっぱい飲ませてやろうか」
理不尽な物言いに、守は慌てて口を開いた。
「あぁ……な……な、中、に……」
「中に……なんだ? 出してほしいのか?」
「っ……は、はい……中で、いいですっ……うぅっ……中に出してほしいですっ……ひっく……」
自ら肛内射精を求めたことを狂いそうなほど恥ずかしく思い震える守に、想悟はため息を一つ吐き、再び腰の動きを再開する。
自分で言わせたことでも、いざそんな風に言われたらもう我慢なんてできそうにないのだ。
自身の射精欲求のままに腰を打ち付け、守の体内を徹底的に汚してやろうと根元まで穿ち込む。
「っ……イクぞ……あんたの、待ち望んでたものだ……残さず、味わえよっ……ぅ、くっ……!」
短く呻いて、想悟は自らの肉欲を守の直腸内へと叩き付けた。
勢いよく噴射するそれは並の男を遥かに越える量と濃さであり、守はぎゅっと目をつぶり、ただじっと射精が終わるのを待った。
男の体液で身を汚された守は、半ば放心状態でいる。だが想悟は守の尻を軽く平手打ちし、休む暇も与えないまま現実へと引き戻す。
「ぁっ、……い、嫌だっ……!」
想悟にペニスを思い切り掴まれ、守は小さく身じろぎをした。
しかし、包んだ手のひらから感じる熱と質量に想悟は眉をひそめる。
「……なんだこれ? あれだけ嫌がってたくせに、勃起してるじゃないか」
「そ、そんなっ……違いますっ! これは……あぁ、嘘……そんなはず、ないのにっ……」
(う、うそっ、なんでなんでなんでっ……!? 違うのにっ! 感じたくなんてないのに! オレの身体、どうなっちゃってるのっ……!)
守は心の底から感じている現実を拒絶する。もっとも、何故守が勃起しているかなどどうでも良かった。ただ彼を嬲る口実が増えただけだ。
突き上げられている間中痛いほどに張り詰めていた守のペニスは、今にも弾けそうに脈打っている。想悟はそれを強引な動きで扱き始めた。
「ひっ……や、やめっ……うあぁっ!!」
守は迫りくる強烈な快感にギョッと目を剥いて、括約筋を締めた。
それがまた新たな刺激となって、想悟の情感をそそり立てる。
同僚教師にペニスを扱かれ困惑の悲鳴を上げる守の声を聞いているだけで、再び達してしまいそうだ。
夜の職員室という背徳的な空間で喘ぐ守は独特の色気を放っており、想悟はたまらず自身の乾いた唇を舌で濡らした。
だが、そんな自身の行動にふと疑問が生じた。
……これが、俺なのか?
最初こそ、見ず知らずの男達の出現でいとも簡単に人生を狂わされ、脅され、仕方なくやっているはずだった。
しかし、今の自分はなんだ? 他人を無理やり従わせ、犯して、愉しんで……そう、愉しいのだ。
優しい蔵之助の元で育った想悟は、人を傷付ける人間が大嫌いなはずだった。孤児であるが故に、人よりも繋がりを大切しているはずだった。
なのに、本当に何なんだ、この得体の知れない感情は……?
何色にも染まらなかった心がどす黒く塗り潰されていくのを感じ、恐くなった。
急に動きが止まり、守はおずおずと想悟を見つめる。今の想悟にはまるでその目が己が罪を責めているように思えた。
動揺を悟られたくなくて、想悟は半ば自棄になって動きを再開した。
「ひ、ぃっ……や、だ……動かさないで、くださいッ……い、ぁ……駄目っ、それ以上は駄目なんですぅ……!」
高まりを抑えきれないのか、激しく扱かれるたびにぶんぶんと首を振り立てる守。
(そ、それ以上されたら本当にオレ……イッちゃいそう……あぁぁ、嘘でしょ、こんな、無理やりされて射精しそうだなんて……)
守も自分で自分が信じられないのだ。
いくら男として最も敏感な弱点を刺激されているからと言って、その相手は同じ男であるし、ましてや今は肛門を犯されている真っ只中である。
「我慢しないであんたもイッちまえよ、そうすればすっきりするぜ? ほら、ケツ犯されながら射精しろこの変態が!」
「ひッ、ひどい……変態なんかじゃ、ないっ……うぁっ、も、もう嫌ですっ……」
(オレ……なんでこんなに罵られるの……変態なんかじゃないのに……っ。……でも……本当に変態じゃなかったなら、こんな反応……しないのかも……)
口では認めずとも、比較的早い段階で折れようとする守。
想悟に犯されたことで自身のM性を自覚したというよりは、どこまでも自己を防衛する為だろう。
そうすれば、脅迫されながらの行為で快感を覚える事実が正当化されるのだ。
それに、今回は痛みで苦しめるよりは、男の悦びを味わってもらいたい。
そうしてどんどん深みにはまってゆけば、自ずと心も開かれていくはずだ。その為には今はただ、守には悦楽を感じてほしい。
確実に射精してもらうには前の刺激に集中させるべく、想悟は自身は腰を打ち付けるペースを落とし、守のものを扱くことを優先的に動かした。
想悟の手の中で、守のペニスは脈打ってビクビクと暴れている。
「あぁ、あぁぁっ……もっ……出る……うぅぅ……」
情けない嗚咽を漏らしながら、守の身が一瞬強張ったかと思うと、守のペニスからはずいぶん溜めていたのか濃い白濁がビュッと飛び出してきて想悟の顔の方にまで飛んで来ることになった。
最後の一滴まで搾り取るように射精直後の亀頭を擦ってやると、じわっと残りの精子を吐き出しながら守はガクガクと身を震わせた。
そして守は、顔面を真っ赤に染めたかと思うと、人前で粗相をしたショックでさらにおいおいと声を上げて泣いた。
一人ではしないであろう乱暴な手淫による射精は、彼の身と心にかなりダメージを与えたようだった。
「嫌がるわりには気持ち良さそうだったな、守先生」
「い、言わないで……ください……。もう、抜いて、ください……うぅっ、ぐすっ……」
子供のように手で涙を拭って泣き崩れる守を見ていると、二度目の射精を目指す想悟のペニスはみるみるうちに熱と強度を増していく。
「けど……まだ萎えないの、わかるだろ? 俺の方は、これくらいじゃ全然足りないんだよ。今日はケツだけでイケるようになるまで付き合ってもらうからな」
それが守が奴隷として堕ちる近道なのだ。
そして、守を奴隷に変貌させることこそが、想悟がクラブから解放される唯一の道なのだ。ならば、何を悩む必要があるのだろう。
この倒錯した行為の全ては父を助けるが為だなんて、ただの言い訳かもしれない。そんなことはわかっている。
だが、全て今さらの話なのだ。一線を越えてしまった以上、中途半端な考えなんて持つのはやめにしよう。
──父さんのことを考えるのは、今はよそう。
守の喉がヒィーッと引きつる音を聞きながら、想悟は再び猛然と腰を突き上げ始めた。
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