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一之瀬守編5-1 ※輪姦

 想悟が着々と守の凌辱を深める中で、クラブ内でも水面下の計画が進んでいた。  想悟がそれを鷲尾に説明されたのは今朝の出来事だった。  今宵はクラブにて、守の品評会を開くという。いよいよ会員にも守の身を提供するその時が来るのだ。  ずいぶん急なことだ、とは思ったのだが、終わりの見えない悪夢の中に囚われているような気分になっていた想悟は、半ば安堵の気持ちもあった。  クラブの方から話を持ちかけてくるということは、守の調教が上手くいっている証でもある。  想悟は守の仕事が終わるのを待って、学園近くの駐車場へと連れ出した。そこには想悟を送迎しているのと同じ、クラブの黒塗りの外車が停まっていた。 「どこかへ……行くんですか?」  あからさまに不審な車を見て、守は不安な表情を隠しきれなくなった。 「黙って乗れよ」 「い、行き先くらい教えてください。だってまた……あの……す、するんですよね。なら……ホテルとか……」 「あんたみたいなマゾの性処理奴隷にお似合いの場所だ」 「そ、それって……あっ!」  いつまでもぐずぐずとして動かない守に嫌気がさし、無理やり車内へ押し込めた。 「いやっ! だ、誰か助けっ……」  大声を出されそうになって、慌てて守を押さえつける。  すると、寡黙な運転手から「これを」と言ってハンカチが手渡された。すかさず受け取って守の鼻と口を塞ぐ。 「んぐぐぐ、うむ、ふぅっ……ぅ……」  それが何であるか深く考えはしなかった想悟だが、もしやなにか特殊な薬品でも染み込ませているのだろうか。徐々に守の力が抜けていき、瞼が下りた。 「うおっ……なんだこれ。し、死んでないよな」  おずおずと守の胸に耳を当ててみるが、心臓は正常に動いている。  それに運転手も目伏せしてきたので、その点については安心していいようだ。何事もなかったかのように車は発進した。  それにしても、こんな風に簡単に人を拉致できるアイテムを常備しているなんてな──忘れかけていたクラブの恐ろしさを垣間見た想悟は、軽く鳥肌を立たせながら伸びた守を見つめていた。  クラブへ着くと、想悟はスタッフに手伝ってもらいながら気を失った守を施設の中へと運び込む。  鷲尾に指定されたのはVIPルームだった。部屋の中は、今宵の宴に参加する権利を勝ち取った会員が集まっている。  想悟は彼らが見ている前で守を床へ無造作に転がした。守は正に今から調理されるのを待つしかないまな板の上の魚のようだ。  守が寝ている隙に、鷲尾が集まった会員に向かい彼が木村勝の実の弟であることを説明する。まだ彼に兄とクラブとの繋がりを暴露するつもりはなかった。 「ほほう、ではこの想悟くんは支配人の意思をも継いでいるという訳かい」 「そういうつもりじゃ……! あ、ありません……彼を選んだのはあくまで偶然です」  会員に神嶽のことを言われてカッとなりそうになり、慌てて言葉を呑み込む。 「皆様、想悟様も初めての品評会で緊張していらっしゃいます。あまりからかわないであげてくださいな」  鷲尾がやれやれといった様子で口を挟む。 「いやいや、儂らはそう思って彼をリラックスさせてあげようとしているんだよ」 「想悟くんはこれからこのクラブを背負って立ってくれるんだろう? それならなおさら、新人スタッフを教育してやるのも会員の務めというものだよ、わはは」  欲望渦巻く下卑た顔を、美しいデザインの仮面で巧妙に隠している会員達に笑われる。  守のせいでこんな惨めな思いをしなければならないのかと考えると、想悟は彼に猛烈な怒りが湧いた。  だが今日のところはひたすら耐えるしかない。今夜、守の肉体を味わうのは他でもない会員達なのだから。  想悟は今度はスタッフに貰った気付け薬を守に嗅がせ、軽く頬を叩いた。 「……う、うぅーん……」  守の指先がピクッと動く。そして苦しそうに唸ったあと、目を覚ました。 「あ、あれ……オレ……」  突然眠らされてしまった守は、自身の身に何が起きたのか記憶が追いつかない。  どうにか重い上体を起こし、虚ろな目でゆっくりと辺りを見回して──。 「……う、うわぁっ!?」  視界に飛び込んできた光景の異常さに、守はびっくりして顔を背けた。  守の目の前に立った会員達は皆、一様にペニスを取り出し、無防備な守をオカズに扱いていたのである。純朴な彼ではとても直視することはできない。 「な、なに……これ……。ここ、どこ……」  鈍い守でもさすがに身の危険を本能が感知したか、後ずさりしようとする。が、腰が抜けてしまってうまく動けない。 「き……霧島先生っ……どうして……」  異様な男達に混じって想悟がいることにも気付き、守はなおさら自身の置かれた状況がわからない。  ガクガクと震え、息を乱しながら凌辱の元凶である男を見つめる。 「おおお……本気で驚いているぞ」 「何度経験しても、素人のこの化け物でも見るような目はたまらんなぁ。ゾクゾクしてしまうよ」 「フフフ、それでは未熟な新任教師の身体をいただくとしますか」

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