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一之瀬守編5-2 ※輪姦
会員達は色めき立って、一気に守に襲いかかった。数の暴力で守の四肢を押さえつけ、無理やり服を脱がしにかかる。
「うわぁあああっ! 何するんですかっ、離してっ……や、やめてぇっ!」
薬を嗅がされて訳のわからない施設に連れ込まれたばかりか、見ず知らずの男達に襲われそうになり、守は混乱の極みにいる。
普段大人しい彼も、たまらず猛烈に四肢をばたつかせて暴れ始めた。
想悟は彼の頭を思いきり革靴で踏みつける。
「あぐっ……! 霧島先生っ……!? い、痛いッ……や、やめてくださいっ……!」
(何なのこれっ、何でこんなことになったの、オレっどうなっちゃうの……!?)
慌てふためく守の心の声を聞いていると、先の惨めな気持ちもどこかへ薄れ、自然と口角が吊り上がる。
これから守の身に起きることを想像するだけで股間が窮屈になる。
どうせ誰も助けに来ないのだから、好きなだけ暴れればいい。
自身がここで味わった悲劇を思い起こすと、守への同情心が全くないとは言えない。
けれど、これは仕方のない犠牲なのだ。守がこうして生贄となってくれるおかげで、想悟も、蔵之助もひとまずは身の安全が約束される。
そして想悟の凌辱願望も満たされるのだから、そう考えれば守には感謝したいくらいだ。
「嫌……だっ! あぁっ! 脱がさないでくださいっ! やめっ……だ、誰かオレの話を聞いてぇっ……!」
喚き続ける守の言葉など、獣欲の塊のような男達には何一つ届かない。
彼らはウキウキと守の服を強引に剥いでいった。あっという間に全てを剥かれ、生まれたままの姿が会員の前にさらされる。
すると、その様子を後方で眺めていた一人の老紳士が守に近寄っていった。
目の前に現れた人物を見て、守の抵抗が思わず止まった。
「え……? 世良……さん……?」
今、守の瞳に映っている男。
仮面を外してみせた彼は、明皇学園高等科の学園長。守もよく知る世良その人だった。
「どうしてこんなところに世良さんが……っ。あ……いえ……た、助けてくださいっ!」
理解が追いつかないながらも、見知った人物を目の前に、必死で助けを求める守。
そんな滑稽とも言える守の姿を見ても、世良は表情を変えない。
「フフフ、いい格好になったねぇ、一之瀬くん」
世良は言いながら、無残に服を剥ぎ取られた守の身体を上から下まで舐めるように見つめる。
(え……いや……世良さん……な、なんで笑ってるの……)
その目つきに異質なものを感じた守の表情が曇った。
「君が大学生の頃からだから、もう三年になるね。短いようで長い三年間だったよ。僕はずっとこの時を待っていたんだ。我が明皇学園の教師になった君が、こうしてこのクラブで男達にその身を差し出す日をねぇ」
想悟が世良の狙いを聞いたのは、守の凌辱を始めてからしばらく経った頃だった。
このクラブではVIPという立場にいる古株の世良は、他の会員達と同じく大の男好きの好色爺だ。
神嶽が調教した守の兄・勝の身も味わったことがあるらしい。
勝が奴隷として完成し、表の世界では失踪扱いになっていた頃、世良は当時大学二年生の守と出会っていた。
その際、二人が兄弟であることを知った世良は、何としてでも守を兄と同じ目に遭わせたくなったという。
だが、ただクラブの人間に命令して拉致監禁し犯すという手法は彼の美学に反するのだ。
世良のやり方は、ターゲットにひたすら優しさを与え、時間をかけて信頼を築き上げ、最後に完膚なきまでに破壊する。
その為に、兄の件で傷心した守を手助けしてきたのだ。
そんな世良が会員である以上、想悟がいなくとも、守はいつかはこのクラブと関わっていたのかもしれない。
だが世良は、ハッタリかもしれないが、想悟が奴隷調教を始める際、まるで守を選ぶと知っていたような口ぶりだった。
何もかもクラブの都合良く進んでいるようで、想悟は吐き気さえ催したものだ。
「何ですか……それ……。ま……まさか……オレのこと、ずっとそんな風に思ってたんですか……」
守の顔がどんどん青ざめていく。この理不尽な凌辱に世良も関与しているとは、到底信じたくはないのだ。
「嘘……ですよね? だって世良さんはあの時、オレの絵に感動したって仰ってくださったじゃないですか……! ううっ……最初からオレを騙すつもりだったとしても……あの言葉だけは、偽りじゃないですよね……!?」
想悟にしたように、やはり世良にも優しさを見出そうとする守。
守にとっての世良は、それだけ信用に値する人間だったのだろう。
大好きな絵とその才能を評価され、飛び上がるくらいに嬉しかったのだろう。
まさか性的な目で見られているとは微塵も考えず、彼の前では兄の件で困っていることや、つらく苦しい弱音を馬鹿正直にさらけ出していたのだろう──全て想像は容易だ。
世良は禿げ頭をぽりぽり掻いて、呑気に笑った。
普段学園で見せているものと全く同じ、なんとも人柄の良さそうな温厚な笑みだ。
「一之瀬くん。それは世辞というものだよ。僕は芸術のことはさっぱりでねぇ……」
「う……そ……」
想悟が凌辱者となった今、守はただ一人、己の後ろ暗い過去を知った上で就職の面倒も見てくれた、恩人とも呼ぶべき世良を心の底から信頼していた。そんな世良からの裏切り。
例えようもない絶望感に、守の気弱な印象を与える垂れ目から涙が滲む。
「僕が興味があるのは、最初から君の身体なんだよ。さあ、良い声で鳴いてみせてくれ」
悪魔の笑みを見せる世良が言うと、手を止めていた会員達が再び動き出した。
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