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一之瀬守編5-4 ※輪姦
「良い具合に消耗してきたね。さて、そろそろ僕も参加させてもらうとするよ」
その姿に興奮しきった世良が、荒い息を吐きながら言った。歳の割に性欲の衰えはなく、ズボンの前は隆々と猛っている。
「い、いやッ……もう嫌です……世良さんっ……お願いですからやめて……正気に戻ってぇっ……」
世良でさえも自身を犯そうとしていると悟って、守はふるふると首を横に振った。
しかしながら、抵抗と呼ぶにはあまりにも弱々しいものだった。
「やだ、や──ぁくぅうううっ……!」
大粒の涙を流す守を見てニンマリと微笑むと、世良はズブズブと自慢の逸物を挿入していった。
「おほぅっ……これが一之瀬くんのオマンコか。嫌だ嫌だと言いながら、中はすっかりとろけているし、まるでチンポを欲しがるように締め付けてくる。これは上物だ」
感慨深そうに呟く世良は、挿入しただけで守の肉体を気に入ったようだ。守の腰を掴んで抽送を送り始める。
他の会員のように荒々しい動きこそしないが、その代わりにといったように小刻みに直腸内を捏ねくり回している。彼の妙な優しさはセックスにおいても健在だった。
「うぅぅぅっ……や、やめてください……んぅっ……抜いて……もう許してぇっ……はあぁ……」
そんな世良に抱かれて、守の様子が変わってきた。
気付けば息が上がり、肌をほんのり桜色に染めている。犯される恐怖だけではない、別の感覚を感じ始めていることは明白だ。
静観していた想悟は腰を屈めて守のザーメンまみれの髪を撫でる。
脂汗で張り付いた前髪を梳くようにして彼の身体に触れ、心の変化に寄り添ってやろうとする。
(……さっきまでと違う……この感覚……霧島先生にされた時みたいに……。ああっ駄目、こんなこと考えちゃ──考えたら、オレ──)
なにか辿り着いてはいけない思考に陥りそうになったのだろう。再び心を閉ざそうとする守。
だがそれでは駄目だ。髪を撫でていた手を首筋に滑らせていき、行き着いた先の肩を掴む。
ここまできて隠し事なんてしないでほしい。彼の全てを知りたい。
その心を、読みたい。そう思うほど力がこもった。
(──本当に嫌なのに……どうしてこんなに──気持ちいい、の……)
瞬間、想悟はハッとした。
今確かに、聞こえた。これまでは聞き取れなかった、守の心の奥底に潜んでいた、ごく小さな声が。
単に不特定多数からの責苦で守の心の壁が薄くなったのだろうか? それとも、守を犯す為に頻繁に使うようになったせいで、読心の力が増したとでも言うのだろうか?
……前者であってほしかったが、この感覚は、きっと後者だと想悟は思った。
そうか。使えば使うほど進化しているのか。読みたいと思う力が大きいほど、応えてくれる。
この力は、紛れもなく俺の一部なんだ──。
力を忌々しく思い、日頃から使わないように抑制していた想悟にとってはなんとも皮肉な話だが、もうなんだっていい。
自分は人と違う力がある。それは変えようのない事実だ。
そして、それを利用しようとする輩に脅されている以上、引き返すことなんてできない。
「守先生。あんた感じてるだろ」
「えっ……」
ぎくりと肩を震わせた守が想悟を見上げる。
(う、うそ……なんで、ばれてるの……)
「嘘なんかついたって無駄だぞ。こんな風に寄ってたかって男共にレイプされてるって言うのに、あんたは間違いなく感じてる」
「違いますっ! か、感じるだなんて……そんなこと、あるはずが……んんっ!」
別の男に唐突に乳首をつねられて、守は思わず悩ましい声を上げてしまう。
次の拍子には、部屋の中が会員らの感嘆の声で沸き返った。
「ほおぉ……想悟くんの言う通り、この子は立派に感じておりますぞ」
「こうなったらこの性に疎そうな教師が気をやるところも見たくなってくるな」
あちらこちらから手が伸びて、守の身体をまさぐり始める。
世良も守を絶頂させることにしたようで、長年クラブで培ってきた男としてのテクニックを総動員し、彼の弱いところ目掛けて強く深く腰を振る。
「イケッ! 守! 輪姦されてイッちまえ!」
守はここで変わるんだ。兄と同じような淫らな性奴隷としての戻れない一歩を踏み出すんだ。そう思うと叱責する声にも熱がこもった。
「イキたくないっ! やめて、そこ駄目ぇっ……! ひぁ、あ、ぁあ……!」
切羽詰まった守の嬌声が、人の道を外れた男達で群がる部屋中に響き渡った。
犯し尽くされてグロッキー状態となった守は、スタッフ達によってシャワー室へと運ばれた。
過酷な輪姦劇が終わったこの後は、このクラブの痕跡を全て洗い流し、ひとまず日常に帰してやるのだ。
初めての品評会を最後まで見届けた想悟は、まだ雄の臭いが充満する部屋で大きく深呼吸をした。
自分が犯した訳ではないのに、なおも心臓がドキドキしている。
身体の火照りも治まりそうにないし、自室に帰ったらひとまず抜いておきたい。
守が他の人間によって汚された後、彼にどんな感情を抱くのか全く気にしていなかったと言えば嘘になる。けれど、いざ終えてみるとそうは変わらなかった。
守は相変わらず意志が弱くて、ただ泣いていることしかできなくて、暴虐の中に快楽を見出す愚かな男だった。だから良心の呵責も湧いてはこなかった。
ただ、彼の閉ざされた心を垣間見ることができた点については、なんだか少しだけ嬉しかった。
「霧島先生」
すっかり守を愉しんで上機嫌の世良が肩を叩いてくる。
振り返ればそこにはやはり、何も知らなければ善人にしか見えない満面の笑顔があった。
「一之瀬くんだがね、なんとも気持ちが良かったよ。他の会員からの評判も上々だし、とても初めての調教とは思えない。オーナーから実に良い才能を貰ったようだね」
「……才能なんかじゃありません。俺も、あいつと同じで脅されていますから。自分の日常を守る為なら……鬼にだってなりますよ」
血の繋がっただけの父親のことなどあまり考えたくはない。世良はきっとそれをわかっていてからかってくるのだからほとほと嫌になる。
「それなら、君がもっとやりやすいように一つ提案をしていいかい」
そう言って世良が耳打ちしてくる。
守が嬲られる様をあくまで冷静に観察していた世良は、守に淫らな才能を見出したという。そして自分の手でも犯すことによって確信したのだ。
「つまり……あいつを兄のようなマゾ奴隷にしろと?」
嬉しそうに世良が頷く。守をマゾと罵ったことはあるが、今後本格的に調教しろというのか。
数多の人間が堕ちていく姿をその目で見てきた世良が言うのだから、それは十分可能であるのかもしれない。
「そうですね……まあ、考えておきます」
「フフフ、その調子で頑張りなさい。きっと今頃オーナーも天国で喜んでいるよ」
「まさか。地獄の間違いではないですか?」
悔しくて思わず漏らした嫌味だったが、長くクラブに浸かった悪趣味男には、むしろ喜ばれてしまった。
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