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一之瀬守編8-2 ※羞恥

「は、離れて……ください……っ。ぅ、んっ……」  萎えたペニスを触れるか触れないかというタッチで弄る。  守の筆を握った手が、小刻みに揺れる。他人に、それも想悟に密着されている緊張で身が強張っていく。それに加え性的な悪戯をされていては、集中できる方がおかしいというものだ。 「く、くすぐったい、です……」 「……本当にそれだけか?」 「そ、それだけです……」  みるみるうちに、守の頬が赤く染まっていく。日焼けをしていないぶん、わかりやすくて面白い。 「嘘つき」  唾をつけた指を下着の奥まで侵入させると、尻肉を押し広げ、狭間の小孔を撫でる。守の腰が大きくビクンッと震えた。 「目の前に集中しろよ」 「そんな……む、無理です、こんな状況で……」 (お、お願い……そんな風にしていじめないで……) 「プッ」  ガキみたいなことを言うものだから、思わず失笑してしまった。  守の懇願をよそに、だんだんと彼の服をはだけさせていく。シャツの下はやはり先日の縄の痕がうっすらと残っていて、下半身なんかはパンツごとずり下ろして、尻とペニスを剥き出しにした。  もちろん脱がすたびに守はせめてもの抵抗か肘で突いてきたり、身を揺すったりはしてきたが、全く行為を制止するような力ではなかった。 「あれ。乳首立ってる。何でだろうなぁ? 縄の痕を見るたびに、この前のこと思い出して抜いてたりしてな」 「そんなこと……ありませんっ」 (あんな現実があるなんて……ほ、本当に鏡を見るたびにつらくなって……もう絵を描いてる時しか心が休まる時もないって言うのに……)  シャワーを浴びるたび、着替えるたび、彼は己に刻まれた凌辱の傷跡を気にしているという訳か。  そういえば、以前より鏡を見ることは減り、学園内の窓ガラスさえも目を伏せがちになったような。鏡は自身の身体も心も全てを丸裸にしてしまう。鏡の中の虚ろな自分を見ているだけで、いつまでも蝕まれている気になっているのかもしれない。  それでもやはり、絵は大事なのだ。彼のその人生における全てなのかもしれない。それは良い。大切なものがあればあるほど、人間は弱くなる。そして強くもなる。  父さんが殺されない為には他者のアイデンティティーを奪うことくらい、何だと言うのか。 (まさかこんな風に辱められるだなんて……でも集中しなきゃっ、これはオレの人生がかかってるかもしれない作品なんだから、感じたりなんかしちゃ駄目っ! 感じたら……霧島先生にも罵られる……。集中、しなきゃ……!)  守なりに耐える覚悟を決めると、身体が強張った。  だが、肝心の筆を持つ手は変わらず、いや先ほどよりもさらにブルブル震えている。夏のそれではない冷や汗がうっすら滲み、肌の火照りが増す。 「うーん。俺、素人だからわかんねぇけど、もっと髪の一本一本に艶があったら良いと思うな」 「た、確かに……描けます、けど……」  そこは守ももう少し手を加えておきたい部分だったのだろうか。彼は後先考えずに立ち上がった。  上をほぼ半裸にされ、下は捲れているのも忘れて……あっという間に下着が足元まで落ちてしまった。 「あ、あぁっ!?」 「普通は画家の方がヌードを描くってもんなのに、あんたと来たら立場逆転かよ」 「で、でもこれは、あ、あなたが言うから……!」  守の言葉を遮るようにして、今度は立ったまま背後から彼の弱い部分を握った。 「い……いやぁ……」  半勃ちになってきた逸物をゆっくりと焦らすように扱き、もう片方は守の乳首を責めた。今は乱暴な真似はしない。ただひたすらに、彼の性感を高められればそれでいい。 「んっ……ん、く、ふぁ……」  唇を噛み締めてやり過ごそうと、震える手で絵に色を足していく守。だが、想悟の指が再び小孔にまで及ぶと、遂に筆を床に落としてしまった。 「うぅぅ……こ、こんなことで……リラックスなんて、できません……っ!」 「ああ、落ち着くどころか興奮してきたみたいだもんな」  指摘されて意識したのか、守の前は急速に血が集まり始める。  守が冷静さを失っていることを良いことに、想悟は描いている途中だった剥き出しのキャンバスを床に落とし、その間を跨がせるように守を四つ這いにさせた。  少しでも肌が触れれば、服や肌に絵の具がついてしまう。何より、せっかくの絵がめちゃくちゃになる。 「ひっ……や、やだ……もっ、出っ……! やめてくださいぃっ……!」 「我慢しとけよ。大事な絵なんだろ?」 「そ、んな……もう、無、理っ……ふ、ぁ……お願いしますからぁっ……!」  今の守は、何とか身を固くして射精欲を耐えている状態だ。それに、真下には彼の命より大事かもしれない絵がある。それだけは何としても死守しなければならない。 「せ、せめて……絵を……どけてくださいっ!」  想悟は何も答えず、辱める手を動かすスピードを速めていく。 「や、ぁっ! 人の話、聞いてっ……ま、まさか……」  さすがに鈍臭い守でも、想悟の思惑に気付いた。 「嘘っ、嘘ですよね、いくらなんでもそんな酷いことはしませんよねっ、あぁっ、あぁあ……!」  途端に慌てだし、下半身をくねらせるが、想悟も負けじと押さえつけて集中攻撃を加えた。  弱い部分を扱き倒されて、守はもう襲い来る快感をひたすら耐え忍ぶしかなかった。しかしそれも、そう長くは続かない。 「ひっ、嫌だ……くっ、うぁはっ……!!」  四肢の先が突っ張り、遂に射精の瞬間を迎えた。守の飛び散った精液は、奇しくも先ほどまで描いていた完成間近の絵画にたっぷりとかかることになった。 「あ、ぁぁ……ひどい……っ。ひどすぎるっ……」 (こっ、これ……何度も悩んで、描き直して、たくさん時間をかけて描いたのに……こんなの、コンクールに出せる訳がない……でも、これからまた描くのは絶対間に合わない……) 「酷い? 一生懸命描いてきた自分の絵にザーメンぶち撒けたあんたと、俺と。どっちがだ?」  それほど思い入れが強かったのだろうか。守は目を剥いて、口をパクパクと開閉し、これまで以上にショックを受けたような顔になった。  次の瞬間には、涙が滝のように溢れてきて自らさらに絵画を汚すことになった。 「う、ぅ……ぐすっ……ひぐ、ぅぐうぅぅっ」  相変わらず守の泣き顔はどうしてこうもそそられるものだろう。想悟は小さく笑いをこぼすと、乾く唇を舐める。 「泣いてる暇があったら、俺の相手も最後までしてくれよ」 「ふぇっ……あ、ぁああっ!!」  両手で守の腰をしっかりと掴み、濡れそぼった先端を犯し回したせいでふっくらとしてきたアナルに思い切りねじ込んだ。 「痛いっ! 嫌っ! 痛いぃぃっ!! 抜いてぇっ……お願いしますからっ……!」 「うるせぇな。鍵締めてるって言っても、人が来るだろ」 「んっ、むぐぅっ……!」 「はしたない喘ぎ声は自分で抑えてろ」 (はしたない……だなんて……そんな声出してないっ……やだ……もう本当に嫌だよ……)  守にだってこの背徳の時間が誰かに見つかることへの恐れや羞恥心はある。  生徒や教師は口封じをできるかもしれないけど、それこそ世良に見つかったら? 自らを陥れる凌辱者が増えるだけだ。

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