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一之瀬守編10-5 ※大スカ、END分岐
想悟が一声かければ、また、獣に犯される。
そんな恐怖に身を震わせながらの謝罪は、今までに嫌と言うほど聞いてきた言葉だが、今度こそ本心だと確信が持てた。
「なら奴隷になると誓うか? もちろん、心から、だ」
「ぢ、誓いますぅ……えぐっ、だからっ、だからっ」
「嘘を付くな!!」
彼の“誓い”など日々の挨拶程度の軽さしかない。これを信じれば守はまた逃げる。
守の逃げ場などとっくにどこにもないと、彼自身が認めなければ。奴隷になるしか道はないと、その虚ろな頭でも理解してもらわねば。
(どっ、どうして……? そんな真剣な目で、見るの……今日の霧島先生は……違う……本気……なんだ……)
怒気からようやくほんの少しは伝わったのだろうか。
そうした守の態度は想悟も落ち着きを取り戻せる。
豚と入れ替わりに、中腰になると守の尻穴を指でほじくった。中が全て獣の精液であることは、素直に気持ち悪い。
そんな感情はありつつも、守を弄ぶことを念頭にネチャネチャと音を立てた。一気に指の三本を捻じ込んで、さらに蓋をする。
「ひッ、あぁ……! や、めて……そんな風に掻き回されたら……出ちゃう……っ」
「だから、出せばいいだろ。大丈夫、豚はもう行ったよ。何も怖いことなんてない」
「で、も……あうぅぅぅぅッ……」
風船みたいに膨らんだ薄い腹がぐるぐると音を立てている。
ありえない場所に、ありえない量の精液を詰め込まれたのだから、このままほじくり返してゼリーごと掻き出せば、簡単に決壊してしまうだろう。
「……嘘も、思い込みも、もう止めにしないか? お前はもっと、自分の心に正直になるべきだ」
「正直に……って……?」
「わかるだろ? もう言葉なんかじゃ言い表せない身体になってるって。家畜なんかにも見境なく感じて、快楽を貪るような色狂いになってるって」
「…………」
守は黙って俯いてしまった。
(そう……オレ、男の人にいっぱい犯されて……あげくに豚さんなんかにも感じて……酷いよね……醜くて浅ましい人間だってわかってる……そんな男、誰にも好かれる訳がない……だから虐められる……でもわかってるから……! 何も変えられないこんな自分はもっと嫌だった……!)
霞んでいた守の思考が、だんだんとクリアになっていく。己への嫌悪と責任転嫁癖が、また顔を覗かせた。
「今どうしたい?」
守はヒッ、ヒッ、としゃくり上げながら、首を横に振った。
「自由に……なり、たい……たくさん犯されていいから……兄さんのことも……何も考えず……穏やかな世界に、行きたいっ……」
(もう……逃げたい……でも、逃げられない……どうしたらいいの……オレはっ……先生に聞くことしかできない……先生の言うこと、聞いていれば、死にはしないって……。生きられる……生きれていれば……いつかはどうにかなる……?)
彼の、自由、とは。
凌辱から解放されて元の生活へ戻ることではなく、現実逃避すること。
それも生きて。誰かに支配され、所有物になること。
まるでペットだ。そうすれば、多少粗相をしても悪くない。むしろ愛らしく見えるくらいだ。
でも守は人の愛玩動物じゃない。想悟の所有物じゃない。そうする気も、毛頭ない。
そもそも、本当の意味でクラブからも守からも逃れて自由になりたいのは俺だ。
「んんっ、くあぁっ!? 駄目、だめだめだめえぇっ!」
なんだか、興醒めだ。生き続けるなんて究極の逃避に他ならない。
そこまでして逃げたいのか。それなら……それでいい。彼に現状を見てもらおうとしたのは、全部無駄だった。なら勝手にしていろ。
夢の世界に逃げ、溺れろ。
怒るというより、ただ呆れ果て、想悟は守のアナルに突っ込んだ指を折り曲げて豚の精液を掻き出し始めた。
プリプリとしたゼリー状の精液がボタボタ音を立てて床に落ちる。隙間から少し粘度の低い液体がこぼれた。これで指を抜いたら、勢いよく放出することになる。
「いや……いや! 抜かないでっ! 助けて!」
「駄目だ」
冷たく言って、指を引き抜いた。
栓をなくして、たっぷり注がれた豚の精液が一気に溢れてきた。せっかく詰め込まれたものが性の濁流となって床を汚す。
迸りを抑えられない守は、腹の中身が全て空になるまで、ずっと蚊の鳴くような声で悲鳴を上げていた。
最後の方は、茶褐色のものが混じっていた。あれだけ掘り抜かれたのだ、洗わせても宿便が残っていたのだろう。
「お前が真に奴隷としてこのクラブに仕えるかどうか、考えておけよ」
たくさんの会員の前で恥ずかしい姿をさらして半ば放心してしまった守。
彼がどんな風に誓うのかは……また次の機会に聞くとしよう。
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