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財前和真編1-2
「ふ、ふざけんなよ! これって、立派な脅迫じゃねーかよ! ぜってぇ許せねぇっ! あんたの言うことを聞くくらいなら、停学にしてもらう方がマシだっつーの! それだけじゃない、あんたのことだって教育委員会に訴えてやる!」
ぎゃあぎゃあと喚きだす和真だったら本当にやるだろう。
PTA役員である和真の母も、ちょうどこんな感じで教員にわがままを言うことも多い女だったことを想悟は思い出す。
事を荒立てたくない教員ならば、頭を下げて愛想笑いをし、身を引いてしまうかもしれない。
けれど、自分は違う。クラブに脅されている以上は、身を引くことはできない。
それに──そんな気の強い和真をヒィヒィ泣かせてやりたくてたまらない。今の想悟は、絶対の自信があった。
「お前、俺を誰だと思ってるんだ。俺はこのくらい、簡単に揉み消せる。けど、お前はどうだろうな」
「うっ…………」
ハッタリだったが、和真は痛いところをつかれたように唸った。
想悟がこの学園を創設した霧島家の御曹司であることくらいは和真も知っているし、本気で敵にしようとはまず思わない相手だ。
「なんでだよ……俺っ……あんたのことは、信用してたのに……」
ぽつりと呟いた悲愴な言葉も、今の想悟には何一つ響かなかった。
「ふんっ……やっぱり教師なんて皆クズだな。確かにうちの親は学園に寄付もしてるしさ。俺のことだって、良い金づるの生徒だとでも思ってんだろ」
「金なんていらない。持ってるからな」
「いちいち嫌味な奴だな……だったら何なんだよ。俺に何をしろって言うんだ」
和真の想悟を見る目は、もう信頼する教師に向けたそれではない。培った信用をぶち壊した今なら当然だが、まるで汚いものを見るようだ。
けれど、想悟は機嫌が良くなっていく。和真が強がりながらも、内心では焦っていそうなその表情に、性的興奮をそそられるのだ。
「お前には、性奴隷になってもらいたいんだ」
和真の目がまん丸く見開かれた。
「は…………?」
おつかいを頼むような軽い調子で信じられない命令を告げられ、和真の怒りは一瞬、どこかへ吹き飛んでしまった。
けれど、想悟の言葉を頭の中で繰り返すたびに、その異常さを実感する。
普通に生活をしていれば、一度だって考えたこともない言葉だった。
「せい……どれい……って……ば、バッカじゃねーの! そ、そんなことまで考えるなんて……まさか俺のこともずっとそういう目で見てきたのか!? だから優しくしてくれてたのか!?」
和真の声が涙ぐんでくる。信用していた相手に裏切られた気持ちは、想悟もよくわかる。
けれど今は、これから訪れる暴虐の時間が楽しみでたまらない。
そういうつもりではなかったけれど、あながち間違いでもなかったので、想悟は否定も肯定もしなかった。
しかし和真にとっては、何も言わずにただニタニタと笑う担任は、おぞましい性犯罪者に見えたことだろう。
「さて、これから個人授業といこうか、財前……いいや、和真」
わざとらしく名前を呼びながら、想悟はネクタイを緩めた。
豹変した凌辱魔を前に、和真の肌がぞわぞわと粟立つ。
「うるせぇっ! 寄るな変態教師!」
想悟は慌てて逃げようとする和真の手首を掴んで、すかさず足払いをかけた。
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