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財前和真編2-1 ※無理やり、初めて

 その場に転んでしまった和真に想悟は覆い被さった。下肢の間に自分の膝を潜り込ませて、絶対に逃さぬようにする。  ハッとする和真が抵抗しようと暴れ出すその一瞬の隙をついて、両腕を抜き取ったネクタイで縛り上げる。  その行為の全てが力づくだった。  自分とそう変わらない体格の和真を押さえ込むのには苦労したが、まるで火事場の馬鹿力が働いたかのようだ。  これから可愛い教え子を自身の欲望のはけ口とする為に、いつもは眠っている力が出せた気がした。  和真を強引に組み伏せて、二人は向かい合う形になる。  見下ろした先の和真の表情は、混乱と、怯えと、そして裏切った担任教師に対する強い怒りでわなわなと唇を震わせている。  次に想悟は服を脱がしにかかった。春用の薄手のカーディガンにカットソー、チノパンとカジュアルな私服姿の和真は制服の時よりも大人びて見える。  彼が地で持っている色気のようなものを漂わせ、なんともエロティックだった。  インナーをずり上げると、真っ先にほどよく鍛え上げられた腹筋が露わになる。  勉強は嫌いだが、体育の時ばかりは人より張り切りだす、どちらかといえば体育会系の和真である。  本格的な腹筋ではないが、その半端な部分がかえって甘いマスクに似合って美しかった。 「嘘だろっ! やっ、やめろよ! 脱がすなって、クソッ、何なんだよっ、この変態!」  罵られることで興奮する性癖はないが、和真がそこまで余裕のない状態なのだと思うと、下半身に急激に血が集まってくる。  痛いくらいに布地を押し上げてテントを張り、今にも暴発してしまいそうだ。  その膨らみを和真の尻に擦り付けると、一瞬だけ和真の抵抗が弱まった。  想悟が生徒に欲情して勃起している様を、まざまざと見せ付けられたからだ。  想悟は和真のズボンの上からちょうど窄まりの部分をテントでなぞる。  触れているその身から、恐怖に慄く和真の声が聞こえてくる。 (ううっ!? あ、当たってる……? も、もしかしなくてもこれって、想悟の……) 「なあ、わかるか和真? これから、お前のここに、俺のチンポぶち込むんだよ」  想悟の吐き出される声は熱っぽく、異常な教師を前に和真は悪寒を感じてたまらない。  ベルトを抜き取り、下着ごとズボンを下ろそうと手をかけると、和真はまた猛烈に暴れだした。これを脱がされてしまえば、想悟が犯そうとしている部分が露出してしまう。  その最後の一線だけは守ろうとしているようだ。  焦れた想悟は、和真の髪の毛を引っ掴んで、もう片方の手を握りしめて拳を振りかぶった。  反射的に目を瞑った和真の思春期にも関わらず吹き出物の一つもない健康そうな肌を見て、寸前でその衝動は収まった。  和真の顔は男の自分から見ても綺麗だし、傷が残るのはよくないだろう。  クラブのルールで言う、商品価値とやらに影響してくるかもしれない。  けれど、顔以外なら。もう一度手を上げると、容赦のない鉄拳は和真の腹筋にめり込んだ。 「ぐはぁあっ!」 (な、殴られた……? 俺っ、親にも殴られたことなんてないのに……) 「大人しくしろ!」  自分でもこんな声が出せたのか、と思うほど凶悪な怒声が二人きりの教室に響いた。  暴力を加えられ、きつく叱責されて、和真は信じられなさそうに想悟を見上げた。  想悟だけはこのような力にものを言わせた行為に出る男だとは思わなかった、とでも言いたげな顔だ。  和真もこの教室では、世間を知らない一人の教え子である。  大人の圧倒的な力を思い知ったように、身を竦ませてしまった。  人より抜きん出て顔が良いことを自覚している和真は、やはり顔面を傷付けられることへの恐怖も並大抵のものではない。  しかも親にも暴力は振るわれたことがないときた。心身へのダメージは相当なものだろう。 「なぁっ……想悟……なんで、こんなことするんだよ……?」  殴られた和真の口から紡がれる声は、情けなくも震えを隠しきれていない。  なんでって、そんなこと。仕方ないじゃないか。  こうしなければ、霧島蔵之助は死ぬ。自分の身だってどうなるかわからない。  しかしそれ以上に、今はどうしても和真の若い肉体を味わってみたくてたまらない。  想悟は堪えていなければ今にも大声で笑ってしまいそうだった。 「……誰も俺の邪魔なんてさせないっ……俺に楯突くって言うんなら、お前だって、容赦しない……!」  ぼそぼそと恐ろしい独り言を呟きながら、想悟は遂に和真の身から下着ごと衣服を奪い去った。  夜の教室で恥ずかしい部分をさらされてしまった和真は、いよいよ顔色を悪くしてもがく。  想悟はその弾力のある双臀を平手でピシャリと引っ叩き、両脚を掴んでぐいっと横に開かせた。  和真を赤子のおしめを替えるような格好にさせると、想悟の目に飛び込んできた光景は見てはいけない禁断の花園が露わになったかのようだった。  排泄に使うとしか考えたことのなかっただろう無垢な窄まりが、異常な状況に緊張しているのだろうか、慎ましやかに息をしている。  ここに今から挿入して、快感を得るんだと思うと、それだけでくらくらと眩暈がしそうだ。  不浄の穴にじろじろと視線を注がれているとわかった和真はハッとして顔を背けた。  想悟のさせるがままにはしたくないが、それよりも自分がそのような恥辱にさらされるのは、もっと嫌なようだ。  現実を見たくないというかのように目を閉じて、いやいやと首を振った。

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