123 / 186

財前和真編4-2 ※羞恥

 唾を塗し込んだ指でアナルを濡らすと、そのままゆっくりと挿入していく。  和真は小さく呻いたが、指の一本程度では痛みは少ないようだ。それでも快感を感じられる状況から遠のいてしまわぬよう、慎重に指を進めていく。  まだ行為に慣れない肉穴は、擬似排泄感からか頻繁に指を締め上げてきてきつかった。  しかし中は柔らかく、ここにペニスを挿入した時のことを思い出してはなんだかそれだけで満足感を得る。  男しか知り得ない性感帯は何箇所かあるらしい。確かこの辺りだったか、とクラブの輪姦ショーの見よう見まねでほじくっていると、ぷよぷよとした妙な感触のする部分がある。  そこを強く圧迫するように指を押しつけてみる。 「ひッ……! なにっ……さ、触んな……ぁくうっ」  どうやら弱点だったようだ。  未知のポイントを探り当てられ、和真がたまらず鋭い悲鳴を上げた。  まだ快感を得ている訳ではないようなのだが、内側から性感帯を刺激され、今までに味わったことのない感覚に苛まれている。  その反応が面白くて、想悟はそこばかりを重点的に責め始めた。  強い刺激だけでは違和感があるかもしれないので、優しく揉み込むようにしたり、小刻みに擦ってみたり。 (な、なんだよこれっ……そこ弄られるとすごくむず痒い……なにか感じそうになる……って、嘘だろっ、ケツ弄られてなんでこんな感覚になるんだよっ!?) 「感じそうなら、素直に感じてくれていいんだぞ」 「だっ、誰が感じるかよ! 冗談も休み休み……おふっ!?」  片手で尻を弄りながら、もう片方の手で和真のペニスを掴む。  感じていないと言いながらも、彼のものは既に半勃ちになっていた。本当に何も感じないならば、萎えたままでも仕方がないのにだ。  想悟が握ったことで前の感覚を意識してしまったせいか、和真のペニスは急激に血が集まってきた。それを意地悪く数回扱いてやると、和真の腰がピクピクと跳ねる。 「うわっ、ちょ、馬鹿! そんなとこ触ってんじゃねぇよ! 気持ちわりぃことすんな!」 「その気持ち悪いことをしてるのに、お前のチンポはなんでこんなに硬くなってるんだ?」 「こ、これは……知るかよっ……! 俺だって好きで勃たせてる訳じゃ……あ……そ、そうだっ。なんかそこ触られてるとっ、ションベンがしたくなる感じになるんだよっ。だから誤作動っていうか……ああもうっ、とにかくやめろって……!」  途端に慌てだした和真の驚く顔はなんだか新鮮だった。  今までが苦痛の方が大きかったというせいもあり、男相手に勃起するなどといった行為は和真にとってありえない反応なのだ。  男でも尻で快楽を得られるということくらいは知っていても、無論それを自分の身で感じることになろうとは微塵も想定していない。 「嘘つくなよ。ケツ穴弄られて感じてるんだろ、お前」  いったんペニスから手を離すと、和真はホッと息を吐き出した。大事な部分への責めが止まって、いささか身の緊張もほぐれている。  しかし、和真が安堵するのもつかの間、想悟はズボンの前から取り出した勃起を双臀の狭間に擦り付けた。 「お前がケツで気持ち良くなれる身体になったってこと、今からこれで証明してやる」 「うっ……!? あんた、ま、また……」 「いくぞ」 「ちょっと待っ──くうぅぅっ……!」  和真の返答を待たずに腰を押し進めていく。先ほど揉みほぐしたアナルが比較的スムーズに亀頭をズルリと呑み込んだ。  先端さえ入ってしまえばこっちのもので、和真の腰を抱くようにしてじりじりと全体を狭い腸腔へと侵入させていく。  仕上げにパチンッと下腹で尻を打ってやると、和真の背が跳ねた。 「くふぅっ……あ、がッ……あ、あんた……また、入れやがったな……クソがっ……」 (あぁぁっ……嘘だろ……またこいつのが俺の中に……)  こうして結合していると心の声もクリアに聞こえてくるのは気のせいだろうか。和真は再び肛内を男のもので支配された絶望に溢れている。  想悟はしばしそのまま動かずに、甘美な味わいを堪能していた。  きつい締め付けの中にも、腸粘膜が絡み付いてくるような柔軟性がある。たっぷり嬲って慣らしてやったからだろうか。今さらながらに想悟は前戯の必要性を知った。  短気が故にすぐにでも激しく動いてしまいたかったが、そこはぐっと我慢した。  和真のアナルが馴染んでくるのを待って、想悟は緩々と抽送し始める。 「うっ、動かすなって、抜けよっ……!」 「だから今抜いてるだろ。こうやって──また奥まで犯す為に!」  抜けてしまう寸前のところまで腰を引き、雁首の凹凸で直腸粘膜を擦っていく。 「んあぁッ……!?」  再奥に埋め込まれた瞬間、和真が初めて嬌声とも言える甘い声を上げた。 (な……っ。なんだ、今の……俺の、声……?)  思わず漏れてしまった自分の声に、動揺を隠せない和真。 「どうした? そんなに気持ち良さそうな声上げて。嫌なんじゃなかったのか?」 「そ、そんなの嫌に決まってるっ──うぅっ!」  もう一度突いてやると、今度は間一髪のところで堪えた。  意図的に我慢しなくてはならないほどの快感を和真に与えることができたのだと思うと、想悟は内心嬉しくなった。  そうか、こいつ、感じている──!

ともだちにシェアしよう!