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財前和真編8-2 ※輪姦
会員達はもがく和真を押さえ付け、手早く服を脱がし、用意していた麻縄を使って和真の身体を机の上に磔のように拘束した。
「ちょ……こ、こんな真似しなくてもっ……俺は……!」
(なんだよこれ……苦しい……縄が肌に食い込むっ……)
「奴隷は奴隷らしい格好をして臨まないと……ってやつだよ」
セッティングが完了した想悟は近くの席にもたれかかり、腕組みしながら和真の醜態を見つめていることにした。
一応、机越しに彼の心がわかるようにはして。
身動きのできない和真に、すっかり股間にテントを張った会員達が迫る。
形や大きさは異なれど、それでどれだけの人間を蹂躙してきたのだろうグロテスクなペニスが取り出されると、和真は喉から悲鳴を上げた。
また不特定多数の男に犯されるなど悪夢に他ならない。
一人は肛門を、一人は口を。乳首に執着を見せる者もいれば、我慢汁まみれのペニスを擦り付ける者、順番待ちの間に軽く扱いている者。こんなにも同時に責められるのは初めてだ。
想悟もある種感心するほど、悪趣味な会員様達だ。
和真ごときがその興味を剥ぎ取ろうとするたび、逆にそれが興味を惹く言動になってしまう。
だが、皮肉なことにこいつらは、人を快楽の虜にすることに関して相当に長けている。
それは長年の性経験から来るものであるかもしれないが、クラブを知った者であればそれは格段に上手くなるだろう。
事実、想悟もついこの間まで童貞だったとは思えないほどメンタルも強くなっている気がした。クラブとは本当に空恐ろしい場所だ。
そして、そんな「性技に自信のある者達」を集めたことにも、理由があった。
「んっ……んぐ……ッ!? ゲホッ、うげぇっ……むむっ……!」
(ちょ、待……ケツに入ってるのにフェラまでさせるとか、最悪ッ……! くっせぇし汚ねぇし、動かれるたびに喉奥まで当たんだよクソオヤジどもがっ……!!)
「この口で、いつもどれほど高くて美味いものを食べているんだろうなぁ」
「テーブルに運ばれるまでにどのくらいの手間がかかっているかもわからずに、ぺろりと平らげてしまうんだろうね。ああ、もったいない」
他愛もない雑談をしながら男達は好き勝手に快感を得る。
(うるせえうるせえっ! 俺だってちゃんと食事の価値くらい知ってるよ! っつーか誰も料理しねーからフツーにカップラーメン食ってるよ! お前らみたいな根っからのイカれ野郎とは違うんだよクソが、死んじまえ!)
なんだ……ってことは母親がネットに上げたり、本を出版したり、実際に学校行事で持ってくる手作り弁当ってやつも嘘か。
そこまでの真実を明らかにされると、さすがの想悟も同情気味だ。
彼の両親のいろいろな面での徹底ぶりはもはや天才的だとも思う。それほどの嘘を塗り固めてまで守りたい地位と名声なのか……時に損をするほど正直な父を持った想悟にはさっぱりわからない。
相変わらず人数も多いということもあり、回転率を重視した。
和真には何でもしていいし、そう……例えば会員の持参した玩具とか。それらでどんどん辱めて、射精したり、和真の反応が良いものであれば、金銭を支払ってもらう。
とてもわかりやすい買春だが、それが今夜、皆に化したルールだ。
と、早速和真の上下の口を使っていた男達が射精したようだ。
「ふうーっ、満足、満足……。ああ、そういえば金を払わなくてはならないんだったな。金額を自由に決めていいとなるといやはや、悩みどころだが……よし決めた」
男がおもむろに財布から取り出したのは、銀色の通貨一枚であった。
「っ……!?」
(う、嘘だろ……たった、百円……!?)
「俺は口だけだったから、半額だな」
(こいつは五十円っ……!? なんだよ……この俺がこんなに必死になって奉仕してやってるってのに、こいつら……あ、ありえない……)
合わせて百五十円という小銭が、器の中に投げられた。チャリン、とごく軽い音が反響する。
ノルマ五万に対し、安すぎる対価に、当の和真にとってももちろんだが、想悟でもこれはあまりにも酷だ……と思うものだ。
会員達は日頃金を持て余した人間しかいないだけあって、クラブも相応の参加費をとっている。
カードや札束しか持ち歩かない彼らは小銭を手にすることすらもう珍しく、「庶民気分が味わえる」だの「貧しい頃には戻りたくない」だのと各々こぼしてみせていた。
和真へ支払われるものなど、彼を絶望させる為の余興に過ぎない。
「……な、なにかの……間違いじゃ……」
「ハッハッハ! 生まれた時から金に困らないお坊っちゃまには信じられない金額だろうねぇ。しかし、クラブからは確かに『幾らでも良い』と言われたからね。別にずるをしている訳ではないんだよ」
「そっ……そんな……」
「おや、不満かね? これも儂らが普段真面目に働いて稼いでいる大切な財産だというのに、そんな態度をとられると払いたくなくなってしまうよ。こんなはした金でも受け取らないよりはマシだと思うがね」
「そうそう。俺が言うのもなんだが想悟くんもなかなかに冷酷な男だからなぁ、例え君が失神しようが何だろうが、本当に目標額に達するまでやめさせてくれないんじゃないか」
言われて和真は、己の痴態を観察している想悟に視線を移す。
想悟はお前達ほどじゃない、と少し心外だったが、怒りの矛先を会員に向けたところでどうにもならないと思い、代わりに和真を睨み付けた。
和真はそんな想悟の仕草を肯定と受け止め、震え上がった。
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