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財前和真編9-1※公開自慰、女装
あの不意に出現したのであろう人格は何なのだろう。
いったい、彼は成長過程でいつからあんな風になってしまったのか? あれに和真と違う名前はあるのか? どこからどこまで和真を掌握している? 意志はいかようのものか。
知りたいことは山々だったが、一介の教師である想悟にはまだ和真の精神を深く理解することなどできない。
力が強まれば感じ取れる何かもあるかもしれないが……そう……きっと神嶽のように。
それにはもう少しだけ、和真の心を弱らせた方が好都合だ。
学園に近い公園は、日中は親子連れや、散歩する老人や、ジョギングに勤しむ者達でそれなりに人気がある。
そんな場所も、夜になると雰囲気が一変する。酔っ払いの休憩、あるいは浮浪者や不良少年少女の溜まり場。
『はぁっ……はぁ……ううぅ』
和真を木の幹に立たせたまま置いてきぼりにして来た想悟は、近くに停めた車から鷲尾と共に様子を伺っていた。
お互いにインカムを装着しており、会話や周りの音声を聴き取ることも可能だ。
今の和真の見た目は、生まれたままの姿という見慣れたものだったが、あまりに場違いなものだから少しだけ笑ってしまった。
ただ、いつもと一つ違うのは、母親の下着用の引き出しから勝負時のブラやパンティー、それも彼女の“夫以外”用のものを持って来させて着用させていることだ。
こう見ると、やはり母親の面影がある。それにしては、元より目鼻がはっきりとした顔立ちなので、なんだか彫りが濃いのだが。
それに、女ものの下着を着ているからと言って、背丈は想悟と同じくらいある長身だし、筋肉もある。
彼の雄らしい部分とのアンバランスさ。それがなかなか屈辱的で似合っている。
そういうコンセプトなのだと考えれば、十分モデルになりそうなのだが……。
夜だから顔はあまり見えないにせよ、主にその素晴らしいスタイルのせいで遠目からもかなり目立つ。
昼間はなんの変哲もないのどかな公園なのだから、和真は自らが置かれている状況に身震いしている。
緩やかな風が吹いて草木を揺らしたり、遠くで車や自転車の音が聞こえただけでも、和真は肩を跳ねさせては涙声で「本当にやらなきゃいけないのか」と、慈悲を乞うた。
和真には、今夜やるべきことを指示してある。しかし、それは視姦に弱い彼にとってはとてもリスキーである。
「早くしろよ。グズグズしてると本当に誰か来るぞ」
そう言われてから、ようやく和真は諦めたように頷いた。
震える手で、和真はいい歳をしてなお色気付いている透け透けのパンティーを掻き分け、不釣り合いなペニスを取り出した。
蒸し暑い夜であるのに、まるで寒さに怖気付いたように、ピクッと揺れる。
しかし、普通は萎えているのが当然だろうに、和真のそれは半勃ちだった。
「ずいぶん興奮してるんだな」
『してねぇよっ! も、もう……これでいいだろ?』
「はぁ? まだチンポ出しただけじゃないか。お前がやるべきことはちゃんと説明したはずだろ」
『で、でも……あんな、こと……絶対、ばれるから!』
「ばれる前に済ませりゃ良い」
『そんな……簡単に言うなよ……あんたホントにバッカじゃねーの……うぅ……』
言葉で悪態は尽きつつも、ずっと声は上擦ったまま。
別に耐え切れず逃げても良いが、今までの恥ずかしい画像や映像をばら撒くと言われては、和真に選択肢はない。
視線をあちこちにやって、人が居ないことを確認すると、和真は泣きそうな顔で片手をペニスに添えると、緩々と扱き始めた。
誰が来るかもわからぬ公共の場で、オナニーをさせる、というのが想悟の目的だった。
最近の和真は、単純にこの生活に適応してきているかもしれないが、以前よりは積極的に……というより、抵抗は少なくなっていた。回数を重ねるごとに、ある一定の羞恥心も薄まるのやもしれない。
半勃ちのものは摩擦の刺激を与えるたびにむくむく鎌首をもたげてきて、いつしか鈴口から透明な液体も漏れてきた。
そうなればもう、潤滑油代わりに竿全体に絡ませて、自分が一番気持ちの良いやり方で扱いていく。
『はっ……はっ……はぁ、う、ぁ……ヤ、ベ……』
インカム越しの声も、艶っぽいというよりなんだか湿り気がある。グチュグチュ音を立てているのもしっかり聴こえている。
「お前さぁ、車からでも完全に勃起してんの見えんだけど。恥ずかしくないのかよ」
『恥ずかしいに決まってる!! けど……やらなくちゃ……いけないなら、早く、終わらせたい、だろっ……』
本音半分、射精したい欲求が半分だろうな。
なんとか理性を押し留めているのは、母親の下着のせいだろう。これを見付けた時、どう思ったんだろう。自分が身に付けてみて、何を考えたんだろう。
案外、何も思わないものかもしれない。チンポがキツイな、とかそれくらい。
「……あ、茂みになんかいる」
『──ッ!!』
そう言ってみた途端、和真が身を硬直させた。
驚いて、もあるが、たぶんそれより、見られたかもしれないという倒錯した欲望の方が勝っている。
「あー……ごめん、ただの野良猫だった」
『そんなことで脅かすなよっ、クソッ……はぁ、あぁうっ……早くイカなきゃ……終わらせ、なきゃ……ならねぇのにっ……』
結果として萎えていないのだから、和真のM性も大したものだ。Mっていうか、度胸の類いかな、これは。
大勢に見られなければいけない仕事を目指しているのだから、とにかく引いては負けだ、という気概が多少なりともあるんだろう。……さすがに際どい作品以外では、ここまで身体を張ることはしないだろうが。
扱くスピードが速まってくる。聴こえてくる吐息も、抑えてはいるが荒い。
『──っはぁ、はぁ、は……あ! イッ、ク……ううっ!』
瞬間、身を固くして目を瞑った和真がビュルッと吐精しているのが見えた。
特別に我慢させていた訳ではないのに、こってりとしたゼリー状のものを噴出させていて、ものすごく感じていることはわかった。
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